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eラーニングで社員のスキルやモチベーションをアップする

人材教育の方法として大企業を中心に導入が広がってきた、「eラーニング」。eはelectronicの意味で、コンピュータなどの情報通信技術を使った学習という意味です。今日では、ネットワーク環境の整備やモバイル端末の普及、動画コンテンツの一般化、サービス業者の多様化などによって中堅中小企業にとっても採用しやすい環境が整ってきています。今回は、eラーニングを取り巻く現状と、活用のポイントについてご紹介します。

ネット環境の整備やモバイル端末の普及で、eラーニングが拡大

企業は人なり――今も昔も、企業の競争力を維持・向上させるためには、さまざまな教育を通じた社員の知識やスキルの底上げが欠かせません。その手段は、職場の上司や先輩が、仕事を通じて部下や後輩の能力向上を支援する「OJT」、職場を離れたところで集合研修などを行う「Off-JT」、社員の主体的な学習である「自己啓発」の3つに大別されます。

多くの企業においては、これまで特にOJTを中心とした社員教育が行われてきました。しかし、OJTだけでは思うように人材を育てられないと感じている企業も多いはずです。「景気低迷による社員の減少や業務負担の増加によって教える側の余裕が失われ、OJTが十分に機能しなくなってきています。そうした中で、特にここ数年、eラーニングを活用したOff-JTや社員の自己啓発に取り組む企業が増えてきています」と語るのは、eラーニングの普及や標準化活動を推進している日本イーラーニングコンソシアム会長の加藤 憲治氏です。

加藤氏は、さまざまな技術革新がeラーニング普及の追い風になっているといいます。「インターネットの発展、ブロードバンド通信の広がり、モバイル端末の普及により、eラーニングの特徴である場所や時間を問わない学習が文字通り実践できるようになりました。また、コンテンツの面では、動画の扱いが容易になったことで、分かりやすいコンテンツが増えていることもeラーニング普及の弾みになっています」

中でも、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を利用したeラーニングは、ここ最近急激に増加しています。日本イーラーニングコンソシアムが2015年4月に発表した「モバイルラーニングに関するWebアンケート」の結果でも、回答者の67%がモバイル端末でのeラーニング経験が「ある」と回答。まだ、スマートフォンが登場する以前の2006年の4.8%と比較すると、急激に拡大しています (図1)。また、同調査の利用分野を見ると、語学関係、IT・コンピュータ関係、さらには、経理や法律といったビジネス知識やビジネスマナーの習得などに活用されていることが分かります。

図1: モバイルラーニングを行った人の割合

クラウド型サービスなどの利用で、より身近に

では、eラーニングによって企業はどのようなメリットを享受できるのでしょうか。まず挙げられるのが、研修・教育をより手軽に実施できることです。特に中小企業では専任の教育担当を確保することは現実的に難しく、各種研修の実施を困難にさせてきました。しかし、eラーニングであれば、サービス事業者から提供されるコンテンツを利用するなどして、担当者の業務負荷も実際にかかるコストも軽減できます。また、社員の学習の進捗や理解度などをシステム上に履歴として管理できる仕組みがあるものもあり、より密なフォローや研修内容の見極めを通じて、効率的な人材育成を行うことも可能です。

また、これまでの集合研修などでは、研修施設への移動や宿泊に伴うコストが悩みの種でした。これについても、eラーニングによって負担が一掃されます。近年ではワークスタイルの見直しに着手する企業も増えており、社員が自宅で業務を行うケースも増えています。こうした変化に対しても、eラーニングであれば容易に対応可能で、「主体的な学習環境の整備がモチベーションを刺激し、自己啓発の一助にもなる」(加藤氏) といった効果もあります。

一昔前までは、eラーニングのためのシステムを用意するために、かなりの初期費用を負担する必要がありました。しかし、クラウド型のサービスなども登場しており、少ない初期費用でeラーニングを始めることができるようになってきました。中には月額3,000円程度で数百ものコンテンツが利用し放題というサービスも登場しています。このことから、料金の低廉さもさることながら、学ぶことのできるジャンルの広がりやスキルに応じたコンテンツが用意されていることをうかがい知ることができます。

eラーニング活用の3つのポイント

加藤氏はeラーニングを上手に利用するポイントとして次の3点を挙げてくれました。

まず1つ目は、「必要とする人材の定義」です。いくらeラーニングによる学習支援に力を入れても、企業が求める材像が明らかでなければ、学習効率は思うように上がりません。
「経営層が先頭に立ち、求める人材像を最初に明らかにすることが肝要です。その上で、過去の学習履歴を基に、社員の育成パスを考え教育を実施するという、トータルな人材育成の支援策が必要とされます」(加藤氏)

2つ目は、「社内ノウハウをライブラリとして活用」することです。企業には長年の業務を通じて、競争力の核となる各種のノウハウが蓄積されてきました。しかし、その伝承は思うように進んでいないのが実態です。
「製造現場などの高度な技術を動画撮影してコンテンツ化するといった活動を通じ、技能伝承のための基盤が整えられ、貴重なノウハウの喪失を回避することが可能となります。撮影に必要な機材や編集ツールが広く出回っており、自社でのコンテンツ制作も決して難しくありません」(加藤氏)

コンテンツの作り方や活用法も、技術革新を背景に変わりつつあります。例えば、短い動画コンテンツをつなぎ合わせたり、講義などをテキスト化したりした上で、それらの検索の仕組みも整えることで、業務中の、マニュアルとしてのコンテンツ利用が拡大しているそうです。結果、学習と業務の融合を通じ、業務の『質』も確実に底上げされます。

3つ目は、「ワークショップの併用」です。eラーニングはいわば、一方的に情報を受け取る学習手段と言えますが、そこで得る情報の多くは机上のもの。それらを実務に生かすためには、理論と実践の溝を埋める作業が欠かせません。そこで加藤氏が必要性を訴えるのが、実務を想定した学習内容について議論することです。
「OJTが十分に行えない中、イノベーションの創出に見向けた新たな気づきの機会を与えるためにも、eラーニングの学習プログラムに社員同士の議論を組み込み、自ら考えさせることがより重要です」(加藤氏)

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eラーニングに対する企業の関心は、今後、高まることはあれ、薄れることはないでしょう。そうした中、他社との差別化のためにも、より効果的な活用に向けた模索が、今後、あらゆる企業で進められるはずです。他社に一歩でも先んじるためにも、今回のコラムを参考に、人材研修の見直しに取り組んでみてはいかがでしょうか。

取材協力

新規ウィンドウが開きます特定非営利活動法人 日本イーラーニングコンソシアム

日本イーラーニングコンソシアム 会長 加藤 憲治氏

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