KDDIホーム 法人のお客さま おすすめコラム 身近なITツールでこれほどの成果!? やる気向上を達成した2つの事例

身近なITツールでこれほどの成果!? やる気向上を達成した2つの事例

前回のコラムでご紹介したように、従業員のやる気に影響を与える要因はさまざまです。そうした中で、従業員のやる気アップに向けた基本的なアプローチとなるのが、魅力のある働きやすい労働環境づくりです。今回は、そのためのITツールの活用法を探ります。

コミュニケーションが組織の"やる気"を左右する

「従業員のやる気を左右する一番の要因はコミュニケーションにあります。それが端的に表れているのが、社会人であれば誰もが経験しているであろう、『言った』『いや言ってない』といった社内でのやりとりでしょう。原因は、部門や上司とのコミュニケーションの“壁”にありますが、そこでの理不尽な経験は社員のやる気を最もそいでしまいます」

こう指摘するのは、ITコーディネーターとして中小企業のIT活用の支援に数多く取り組み、ブリッジ・リサーチ&コンサルティングの代表を務める阿部 満氏です。阿部氏によると、コミュニケーション不足などによって従業員が退職した損失は、中小企業ほど甚大となるそうです。業務が属人的になりやすいため、新たに人材を採用しても、すぐには同様の働きを期待できないからです。

「そうした事態を回避し、働きやすい労働環境づくりの基本的なアプローチとなるのが、上司の指示とともに"情報"も、部門の壁を越えて自然に流れる仕組みを作り上げることです。中でも注目されるのが、スマートフォンなどのモバイル活用です。これらによって、場所を問わない連絡が容易に、しかも安価で実現できます。その効果は、システム化に遅れを取っている企業ほど大きいと言えるでしょう」(阿部氏)

[事例1] メッセージアプリで直行直帰のワークスタイル

モバイル活用によって社員のやる気アップを実現した企業の1つが、左官業のT社です。同社では50人の職人を雇用し、日々、翌日に向かう現場などについての連絡を業務終了後に事務所で行っていました。しかし、現場仕事の後に事務所に戻る負担は職人にとって決して小さくありません。そこで同社が着目したのが、携帯電話やスマートフォン用のメッセージアプリです。

「メッセージアプリによる業務連絡で直行直帰が実現され、職人の負担は大幅に軽減されています。加えて、ある現場で作業が遅れている場合には、別の現場の職人に助けを求めることが簡単に行えるようになり、職人同士の助け合いによる連帯感も確実に増しています」(阿部氏)

困った時に助けてもらったことがあれば、逆に困っている人を助けようというのが人情です。そうした人としての助け合いがメッセージアプリで簡単に行えるのです。外勤の多い業種では、特に効果を発揮しそうです。

[事例2] 本社と工場の間を、クラウド上で情報共有

グループウエアも、情報共有のための大きな力を発揮します。ゴム製品メーカーのM社では従来、過去に製造した製品データや各種指示、在庫情報などを紙に記録して、本社と工場で共有していました。しかし、紙は検索性が低く、特に再発注のために過去の製品データを探すために膨大な時間を費やしていたそうです。こうした状況の改善に向け、M社が取り組んだのがクラウド上でグループウエアなどをはじめとした各種システムでの情報管理と情報伝達です。

「まず、情報を探すための煩雑な作業がなくなり、従業員はストレスから解放されました。また、各種の指示も併せて見える化されたことで、伝達漏れに起因するミスも一掃され、ひいては、従業員も次に何をすべきかが判断しやすくなっています。つまり上司との"縦"、部門間の"横"のコミュニケーションがつながったことで、情報も円滑に流れるようになったわけです。職場の風通しが良くなったことはいうまでもありません」(阿部氏)

風通しが良くなれば、業務改善に向けた従業員の自発的な提案も多くなり、上司からの評価も高まり、従業員のやる気がさらに引き出されるという"好循環"も期待できます。

「業績が上がれば、その達成感から従業員のやる気が引き出されます、企業の利益が従業員にまで還元されればなおモチベーションがあがるでしょう」(阿部氏)

ITツール活用のポイント

ITツールのメリットを最大限に引き出すためには、押さえておくべきポイントがいくつかあります。

阿部氏がまず挙げるのが、「活用に腰を据えて取り組むこと」です。ITツールは業務に潜む煩雑さの解消というメリットをもたらしますが、上手な使い方を従業員全員が初めから知っているわけではありません。また、同じITツールでも、企業ごとに業務の内容や進め方が違うため、上手に利用するための方法も異なります。

「ITツールへの"慣れ"と業務への"関与度"によって、ツールが定着するまでの時間は異なります。M社の事例のように、企業の業務の流れを大きく変えるには、ITツールに慣れ、適切な活用法を見極めるために相応の時間が必要になります。活用の成果をより大きくするためにも、長期的な視野にたった継続的な取り組みが必要な面があることを理解しておく必要があるでしょう」(阿部氏)

興味深いのは、適切な活用法を見極めることに時間をかけた方が、最終的に成果につながりやすいということです。時間をかけ、実際に利用する従業員が試行錯誤しながら活用していくことで、利用する側から自発的な意見や工夫が生まれてくるからです。

また、ITツールに早く慣れてもらうためには、段階的に浸透させていくことも効果的だと阿部氏は言います。前述のT社のように、まずは業務に直接的な影響が少ないメッセージアプリなどから利用を開始し、慣れるにしたがってグループウエアや各種システムの利用に着手するというものです。

ITツールの利用により情報共有を進めることで、業務目標の設定や進捗も管理しやすくなります。そこで、目標達成に向けて従業員のやる気を高めるための企業文化・風土づくりも大切になります。

「明確な目標設定は、従業員の評価の透明性を高められる点でも、やる気アップに貢献します。目標達成に対する従業員のモチベーションを支えるためにも、自社がどう社会に貢献し、そのために一人ひとり従業員が何をすればよいのかといった理念や戦略を明示し、ITツールなどを活用して従業員に伝えることが大切です。こうした取り組みによって、努力の目的や意義についてより深い理解が促され、やる気をより高く保つことがます」(阿部氏)

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社員のやる気アップ。そのための職場作りに役立つITツールは、今回紹介した以外にも数多く存在します。それらを上手に活用することで、ワークライフバランスやワークスタイル変革などを実現することができます。今回の事例を参考に、まずは身近な携帯電話やスマートフォンなどの活用から考えてみてはいかがでしょうか。そこが突破口になって、好循環を呼び込み、次なる成長の扉が開くかもしれません。

新規ウィンドウが開きますブリッジ・リサーチ&コンサルティング合同会社

代表社員CEO 阿部 満氏

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