KDDIホーム 法人のお客さま 業務改善のヒント満載 お役立ちコラム ITの活用で実現できる『災害発生時への備え』とは

ITの活用で実現できる『災害発生時への備え』とは

災害対策 2 概要編 2 人・モノ・データを災害から守るには?

前回は、大きな災害に備えて、中小企業が『BCP (Business Continuity Plan=災害時の事業継続計画)』を策定する重要性について説明しました。今回は、その内容を受けて策定したBCPを本当に役立つものにするために必要なこと、そしてBCPを実現可能なものにするためのITの活用方法についてご紹介していきます。

BCPを本当に役立つものにするために

東日本大震災の時の事例です。
西新宿の高層ビル上層階にオフィスを構えるその会社では、日頃から防災に熱心に取り組んでおり、年に数回の避難訓練も実施されていました。ところが、震災当日、思いも寄らないトラブルが起こりました。非常用の飲料水や食料の備蓄はすべて地下倉庫に収められていたのですが、地震後にエレベーターがストップ、高層階からの移動が階段だけという状況になってしまい、備蓄を手に入れるには、重い荷物を持って20階以上も上がって来なければいけないことが判明したのです。

幸い、数時間でエレベーターは復旧し事なきを得たそうですが、避難訓練まで行っていながら、「本当に地震が起こったらどうなるか」をきちんと想定していなかったことが分かる事例です。

こういった事態を避けるためには、計画を作る『だけ』、訓練をする『だけ』ではなく、日頃から、「今、地震が起こったらどうなるか」「どこまで備えができているか。その備えは万全か」をチェックし続ける必要があるのです。

そのためには、下図のような継続的な改善を目指す手法が有効です。

  • 事業継続ガイドライン 第二版 (2009年11月 内閣府 事業継続計画策定・促進方策に関する検討会) より引用

ここでは、[方針]→[計画]→[実施及び運用]→[教育・訓練]→[点検及び是正処置]→[経営層による見直し]…を継続的に行っていくサイクルを紹介しています。

年に数度の避難訓練も大切ですが、それはこのサイクルの一部にすぎません。経営者や関連部署の責任者などを交えて、継続的改善を行っていくことが大切なのです

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人・モノ・データを災害から守るためにITでできること

BCPを策定し、継続的な改善サイクルを通して実現可能なものにしていこうと考える時には、『災害発生に備えた準備』と『災害発生後の活動』とで分けて考えていくことが大切です。そしていずれの場合も、ITツールを活用することが大きなポイントとなります。

■災害発生に備えた準備
ここでは災害発生直後の被害を最小限に食いとめるための『防災』が欠かせません。
つまり『人』と『モノ』への被害の備えということになります。例えば、オフィスの什器を固定する、食料や水を備蓄しておく、災害発生時の行動を決め訓練する、安否確認の仕組みを整備する…などが挙げられます。先述の企業では、非常用飲料水や備蓄食料について、その数量だけではなく消費期限のデータを表計算ソフトで管理し更新していたそうです。備蓄場所の問題はありましたが、いざというときに「期限切れになっている」という事態は避ける対策がなされていたわけです。

▼一般的な表計算ソフトを使った備品管理表の例

■災害発生後の活動
災害発生時直後にまず大きな課題となるのは『人』への『安否確認』です。現在では、災害に備えた緊急連絡用掲示板やSNSなどが整備されています。スマートフォンは、通常の通話やメール以外にSNSの活用がしやすいため、多様な連絡手段を一台で担える、緊急時の通信手段に心強いツールです。従業員には、個人用のスマートフォン以外に、仕事用の専用スマートフォンを持たせるなどし、定期的に安否確認の訓練をしておくと良いでしょう。

従業員や家族、周辺地域の安全性が確保された後は、『会社としてどのように行動し、どのタイミングで事業再開に取り組むか』といったことが重要になってきます

まず、何が被害を受けると、事業再開が難しくなるかを考えてみましょう。

例えばメーカーであれば工場、製造機器が被害を受けていると事業再開は難しくなります。また工場は問題なくても、原材料の入荷、製品の出荷の目途が立たなければ再開は厳しいことでしょう。

このようないわゆる『モノ』の被害に加えて、『データへの被害』も、事業再開には大きな障害となりえます

企業では、商品情報、顧客情報、取引情報など、多くの重要な情報を『データ』化し保有しています。仮に『モノ』の被害がなくても、『データ』が破損したために事業を再開できないという事態は十分に考えられるのです。

『データ』の被害への備えとして重要なのは『バックアップを取っておく』ことです。そして単にバックアップを取っておくことにとどまらず、バックアップへの移行や復帰計画などを策定して、避難訓練のように、災害時のデータ復旧訓練を実施しておくのが良いでしょう。
災害時には、停電による電源の喪失によりデータが失われることもあります。自家発電装置や非常用電源の稼動時間を超えた停電があった場合にどのように対応するかを想定しなければなりません。非常用電源がある内にバックアップを取るなどの行動計画も必要になります。

バックアップは、ハードディスクやCD-ROMなどの記録メディアに残すという従来のやり方以外にも『クラウドサービス』を活用した方法も注目されています

* * *

災害から守らなければならないものは、人・モノ・データの三つに大別できます。言いかえれば、これらを守ることができれば、企業は早期に事業再開でき、地域への貢献も可能となるのです。この早期の事業再開のためには、BCPの策定が欠かせないこと、それらを実現するにはITツールを活用することが大きなポイントとなるのです。

次回以降は、ITツールを活用した具体的な災害対策の事例などについてご紹介していきます。

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