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前回は『働きたくなる職場』を作ることで、会社の生産性向上に成功した例をご紹介しました。今回は、より直接的に特定の業務における生産成向上、つまり効率化に取り組んだ事例を中小企業、特に従業員数100名以下の企業において紹介します。
生産性向上は突き詰めていくと効率化、つまりムダの排除という側面も持っています。しかし単純にムダの排除と言っても、極端な効率化はむしろ従業員のストレスを増やして生産性を低下させるという話もあります。ここで考えたいのは『目に見えないムダ』を見つけて、無理なくそれを減らしていくことです。
例えば、営業担当者であればお客さまに相対する時間、提案書の作成、内容の吟味など、直接売上に貢献する業務が優先されるはずです。ところが日常業務をよく見ると、見積書の承認をもらうための稟議書の作成に何時間もかかっている、日報の提出のために出先から毎日一旦帰社している、担当しているお客さま間の移動に時間がかかりすぎているというようなことが、往々にしてありがちです。これらは『営業担当なら当然のこと』という考え方もあるでしょう。しかし、これらのムダは少し工夫するだけで削減できるのです。
また、工場で働く職人にも一日の行動をよく見ているとムダが見つかることがあります。休憩時間以外でも、定期的に事務所に移動している職人がいました。ベテランで作業も早く正確な人です。事務所に行く理由は、細かな仕様書や次の作業内容の確認がほとんどでした。作業が早く、正確な『生産性が高い人』ほど確認が増え、ムダな動きが多くなっていたのです。
こういったムダを見つけ、なくすことが生産性の向上につながります。
関西圏で地元の中小工務店を中心に建材の卸をしているM社。営業担当者は一つの県で二人を基本ルールとして、合計14名 (大阪・兵庫は3名) がお客さまのもとへ日々訪問しています。各県に営業所を置いていましたが、営業担当者から担当エリアの見直しをしてほしいとの要望が複数あがってきました。よくヒアリングしてみると、県単位で担当を決めているので、隣接しているエリアでも県が違えば担当が異なる、道路事情の問題で同じ県内でも移動に時間がかかるエリアが多い、ということが分かりました。そこで、県単位の担当性を再検討することに決めたのですが、他にも数多くの問題がありました。
毎日お客さまのところへ訪問しているにもかかわらず、簡単な書類作成や申請が会社や事務所でしかできないため、残業時間を増やしてまで会社に移動する必要がある状況だったのです。
そこでM社では、グループウエアを導入して、全社員にタブレット端末を支給しました。見積書の作成・承認、稟議書の作成・提出・経費精算、日報の作成・提出と言った書類に関わる業務は、すべてグループウエアに集約して外出先からもできるようにしました。同時に勤怠管理もグループウエア上でできるようにして、直行直帰を推進、ムダな動きを最小限にできるようにしました。従来は本社で開催されていた会議も、多くはオンライン化して、移動時間・コスト削減を実現しました。
他にも、工場で各工作機械と担当者のところにタブレット端末を置き、社内のグループウエアで仕様書・作業割当予定・工程表を共有するようにしました。職人は工場内の担当工作機械の前から移動せずに作業内容を確認し、次の作業に移行できるようにしました。すると何度も事務室に移動して作業の確認をすることがなくなり、20%も作業効率があがったという話があります。
こういった『ムダを省く取り組み』は、一見地味であるうえに、それまでずっと変わらなかった業務の進め方や社内の慣習にメスを入れることになるため、なかなか積極的に取り組みにくい心理的な背景があります。
その『今までの当たり前』に疑問を持つことが、見えないムダの発見・削減につながるのです。労働生産性は、大企業に比べて中小企業のほうが低いという調査結果があります。だからこそ、積極的に取り組まなければならないといえるでしょう。厚生労働省が平成28年度に作成した『働きやすく生産性の高い企業・職場表彰 魅力ある成長企業 事例集』では、100名以下の企業も複数紹介されています。今回紹介した事例でも、この資料を参考にしたものがあります。
今、社会の環境は刻々と大きく変化しています。これからの10年を企業が生き抜くためには、生産性向上への意識は必要不可欠です。一見地味に見える『ムダをなくす』『効率化を推進する』ことは、会社の事業全体を見ている経営者が取り組まなければならないことです。なによりも、経営者が本気で取り組むことが大切だと言えるでしょう。
生産性向上に成功した中小企業、特に従業員数100 名未満の企業での事例を紹介しています。