『ふるさと納税』が急拡大。2016年度からは企業版も登場へ

『ふるさと納税』は、『生まれ育ったふるさとに貢献できる制度』、『自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度』として2008年に創設されました。個人が選んだ自治体に寄附 (ふるさと納税) を行った場合、寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から全額が控除される制度です。年収に応じたある一定の限度枠はあるものの、自治体に寄附した金額と同等の税負担がほぼ軽減されることになります。

これだけでは寄附して税金対策するだけの制度ですが、寄附額に応じて返礼品を用意する自治体が増えてきたことで様相が変わりました。この返礼品は個人にとってはほとんど金銭的な負担なく手に入るため、『ふるさと納税』の注目度は一気に高まりました。

政府も『ふるさと納税』を『地方創生』を推進するための施策として重視しています。2016年度には、『企業版ふるさと納税』と位置付けられる『地方創生応援税制』の創設を計画しています。

今回は、『ふるさと納税』の現状を振り返りつつ、新設される『地方創生応援税制 (企業版ふるさと納税)』の概要について解説します。

過熱する『ふるさと納税』の自治体競争

『ふるさと納税』の寄附額の推移は図1の通りです。自治体の返礼品が注目されるようになってきた2014年度から寄附件数、寄附額ともに急増していることが分かります。全額控除の限度枠の拡大、確定申告が不要になる『ふるさと納税ワンストップ特例制度』が始まったことにより、2015年度はさらに増加傾向が加速、4月~9月の上半期ですでに2014年度実績を上回りました。最終的には1,000億円を突破する見込みです。

総務省 ふるさと納税に関する現況調査について (2015年9月30日時点)

  • 受入額及び受入件数については、各地方団体で「ふるさと納税」と整理しているもの (法人からの寄附を含む地方団体もあり)。
  • 平成23年東北地方太平洋沖地震に係る義援金等については、含まれないものもある。

総務省が2015年10月にまとめた『ふるさと納税による現況調査』によれば、2014年度に最も寄附を集めた自治体は長崎県平戸市でした (表1)。

総務省 ふるさと納税に関する現況調査について (2015年9月30日時点)

平戸市は、有効期限のないポイント制を導入し、返礼品をカタログから自由に選べるようにした使い勝手の良さが支持されたと言われています (図2)。

新規ウィンドウが開きます長崎県平戸市 ふるさと納税特設サイトより

  • 外部サイトへ移動します。

2015年度上期 (4月~9月) の結果を見ると、平戸市は第4位と上位につけていますが、第1位に躍り出たのは宮崎県都城市でした。都城市は返礼品を特産品の肉と焼酎に絞り込み、高額寄附の返礼品を大盤振る舞いしたことでさまざまなマスコミが取り上げ、その効果もあって続々と寄附が集まるようになりました。

今後も自治体による過熱した返礼品の知恵比べ競争が続くでしょう。

地方創生を企業が応援できる『地方創生応援税制 (企業版ふるさと納税)』

ふるさと納税ブームの流れにのって2016年度に創設されようとしているのが、『地方創生応援税制 (企業版ふるさと納税)』です。自治体が実施する事業に対する企業の寄附について、法人住民税、法人事業税、法人税の新たな税額控除の仕組みを用意し、地方創生に取り組む地方を応援する制度と位置付けられています。

この制度で寄附の対象となるのは地方版総合戦略に位置付けられた自治体事業に限定されます。例えば雇用創出や結婚・出産・子育てなどの観点から効果の高いと期待される事業です。寄附対象とするには自治体が地域再生計画を策定し、内閣府の認定を受ける必要があります (図3)。ただし、東京都、23特別区、東京圏に所在する不交付団体 (18市町) は対象外となります。

2016年1月14日「まち・ひと・しごと創生本部 地方創生に関する都道府県・指定都市担当課長説明会」配布資料4-1より

寄附をする企業側からすると、現状、寄付税制の損金算入によって約3割が減税されていますが、この制度でさらに法人税、法人住民税、事業税から税額控除を受けられ、これらを合わせて寄付金額の約6割が減税されることになります (図4)。また、寄附額の下限を10万円からとし、少額寄附にも対応できるようにすることが特長です。

2016年1月14日「まち・ひと・しごと創生本部 地方創生に関する都道府県・指定都市担当課長説明会」配布資料4-1を元に作成

自治体の具体的な取り組みに注目

個人向けの『ふるさと納税』では自治体が返礼品を用意することで普及に拍車がかかりました。これに対して『企業版ふるさと納税』では、寄附を行う企業に対して経済的利益を与えてはならないとされています。こうした制約の中で、寄附する企業に対してどのようなメリットを提示できるかは、今後の自治体のアイディアの見せどころになります。

一方、企業の立場では、創業地を寄附で応援するなど、手軽に地方を支援できる仕組みとして活用できます。経営戦略の一環として企業姿勢をアピールするツールとして活用することができるでしょう。

どの地域のどんな事業が『地方創生応援税制 (企業版ふるさと納税)』の対象になるか、今後の各自治体の対象事業は要注目です。

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