第1回
[後編]インターネットが株式投資にもたらした変化とは?
~インターネットを活用した株式投資の情報収集方法
トレーダー、 ファイナンシャルアドバイザー 若林 史江 氏

トレーダー、
ファイナンシャルアドバイザー
若林 史江 氏
Iオンライン証券の口座数が増加する一方、株に関するさまざまな情報が氾濫しているため、初心者は自分の投資スタイルをしっかり確立させることが重要になります。そのためには、正しい情報収集の方法を知っておくことが大切です。
今回は、ラジオやテレビ、雑誌などでレギュラー・連載を多数お持ちで、トレーダー、ファイナンシャルアドバイザーとして活躍中の若林史江氏にインターネットを利用した情報活用法や初心者へのアドバイスをお話していただきました。
証券会社選びに迷う必要はない
最近、これからインターネットでの株式取引を始めたいという方に、証券会社の選び方を聞かれることがよくあります。私自身は証券会社ならどこを選んでもいいと考えています。なぜなら、どこを選んだとしても、現状ではほとんど変わらない、差がないといえるからです。これは初心者の方にありがちなパターンなのですが、最初どこに口座を開設すればよいかを延々と悩まれる方があまりにも多いのです。手数料やツールなど細かい差はありますが、株式投資をすることが重要なのであって、証券会社選びはそれほど大切ではないのです。手数料の10円や20円の差を気にするよりも、口座を開設することが先決なのです。
ただ、将来的に国内株式だけでなくほかの金融商品も売買してみたいと考える方は、証券会社によって異なる取扱商品を調べておく必要があります。例えば中国株やインド株のファンド、FX (外国為替保証金取引) を取引したいと思った場合でも、その商品を扱っていない証券会社もあるわけです。各証券会社を調べるのが面倒な場合は、とりあえず有名な証券会社すべてに口座を開設してみるという方法もあります。通常、口座開設には3週間ほどかかりますので、やりたいと思ったときにすぐできるようにするためにも、この方法は有効なのではないでしょうか。私自身も数社の口座を持っていますが、実際に利用しているのは1社ですし、それで十分だと考えています。つまり、証券会社選びが重要なのではなく、何がやりたいかがなによりも大切なのです。
正しい情報収集は企業のウェブへ
銘柄を選ぶ際に重要となるのが、情報収集です。私の場合は調べたい企業のウェブサイトを見るようにしています。最近は、企業が株主にしっかりと情報を伝えてくれるようになり、たいてい「株主様へ」という欄が用意されています。そこには会社の経歴や、株主優待や業績に関しても掲載されていますので、何か知りたいと思ったときには、その会社がウェブサイトで開示している情報を見るのが一番の近道になるでしょう。間違った情報を入手するよりは、一番安全な情報を自分の目で見て判断することが大切です。
また、証券会社のツールを利用するとさらに便利です。私の場合、楽天証券のマーケットスピードというツールを利用していますが、「四季報」に掲載されている情報や調べたい企業のみに関連するニュースを一覧で表示することが可能です。これにより、その企業に起きている直近のニュースを知ることができますので、銘柄選びの材料として有効になります。あとは1日の値上がり率、値下がり率ランキングもチェックしてみるとよいでしょう。「なぜこの会社は値を上げたか?」「なぜこの会社は値が下がったのか?」などを考え、調べてみることで、企業の新しい面を発見できるかもしれません。
発注時は慌てないことが重要
オンライン証券のほとんどは「前受け制度」を利用しています。この制度は証券会社の口座内に購入に必要な残高がなければ株式の買い付けができないという規定です。これにより、注文時に残高がないのに買いすぎてしまうということはなくなりました。しかし残高に余力がある場合、その範囲内で注文数を間違えるケースは多いようです。
それにより予想していた以上の損をする場合もありますので、注文時には入力する数字を間違えないように気をつけてください。株を注文する際には、慌てないことが大切です。慌てて注文を出すケースは、注目していた銘柄の株価が上昇を始めたときがほとんどだと思いますが、あえて一歩引いてみる、余裕を持って考えることも大事なのではないでしょうか。
ホームページで株の面白さを配信
ここまでは、実際に株取引をするときに覚えていただくと便利なことをお話させていただきましたが、最終的に一番大切なのは「株を楽しむ」ことだと思っています。私は自分のホームページでメルマガの配信や日記、コラムなどを掲載しています。つい先日もリニューアルしたばかりなのですが、当初はインターネットを利用して株の面白さをより多くの方に伝えることができれば……と思い、半分遊び感覚で始めました。しかし株ブームの到来により、現在は1日2~3万ほどアクセスしていただき、メルマガに関しても約2000人の方に登録していただいていますので、インターネットによる反響の大きさに驚かされました。そこで、皆さんの期待に応えるためにも、今後は私自身がお会いした著名な方々とのインタビューなどをウェブで公開できればと考えています。雑誌や書籍の対談では伝えきれない、本当の株の面白さ、楽しさを私なりの視点で自由に展開していければと考えています。
まずは口座を開設することが大切
最後に、これから株を始める方にお伝えしたいのは、株はどんな天才が取引しても損をするものだということです。つまり、1回や2回損をしたからといって簡単に諦めないでください。損をした原因を追求し、解消することが次の利益につながることを知っておくことが大切です。また、株は5万、10万などの少額から投資が可能ですし、最近は「ミニ株」や「るいとう」などの単元未満株 (注1) でも売買できるようになっていますが、必ず自己資産のなかの余裕資金を利用してください。生活費に手をだしたり、借金をしてまで株を買うのだけは絶対にやめていただきたいです。
さらに、あまりに多くの知識を身につける必要はありませんが、初心者向きの解説書を1冊でよいので読んでいただきたいです。これにより、しなくてよい失敗をすることがなくなり、リスクを軽減させることができるはずです。ただし、難しすぎることばかり覚えてしまうと、逆にそれがリスクになる場合もあります。株式投資に関する初歩的な知識だけで構いませんので、その本を熟読していただき、最低限のルールを覚えていただければ、株を楽しむことへの近道にもなるはずです。
また、これだけ個人投資家が増え、口座開設数が増加しているのですから、今後は銀行口座のように証券口座を持つことがあたりまえになってくるかもしれません。だからこそ、少しでも株に興味のある方は、なによりもまず口座を開設してください。初心者の方は、口座開設前から銘柄選びを優先させる傾向がありますが、口座の開設には約3週間かかります。株価やチャートを見て、その時点で買い時であったとしても、3週間後にはどう変化するかわかりません。それよりも、口座開設準備期間である3週間を勉強期間にすることで、時間を有効的に使っていただければと思います。
- (注1) 単元未満株とは、1単元の株式数に満たない株式のこと。1単元とは売買に必要な最低取引株数で、1単元ごとに1議決権がもらえ、配当金や株主優待を受け取る基準となっている。
編集後記
インターネットの普及により、従来は専門家が主体だった株式投資の世界に個人投資家が参入できるようになりました。株に限らず、外国為替保証金取引を始める方も増えています。専門家と個人投資家との壁を取り除いたインターネットは、単なる回線以上の意味があると実感しました。
(2006年2月7日掲載)
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