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第1回

[前編]インターネットが株式投資にもたらした変化とは?
~個人投資家と専門家の投資情報リソース

トレーダー、 ファイナンシャルアドバイザー 若林 史江 氏

写真: 若林 史江 氏

トレーダー、
ファイナンシャルアドバイザー
若林 史江 氏

2005年11月には日経平均が約5年ぶりに1万5000円台に回復し、東証一部の売買高は45億株を超えるなど、一時は低迷していた株価は上昇し、株取引は活発化しています。これまで株に興味を持たなかった一般消費者も株取引を始めるなど、まさに今、株ブームが到来しています。

今回は、ラジオやテレビ、雑誌などでレギュラー・連載を多数お持ちで、トレーダー、ファイナンシャルアドバイザーとして活躍中の若林史江氏にオンライントレードの魅力や現状、株とインターネットの密接な関係についてお話ししていただきました。

専用回線が必要だった昔の株取引

私が株と出会ったのは、株が好きだったわけでも、興味があったわけでもありません。高校卒業後、家の事情で大学進学を断念し、「とにかく就職してお金を稼がなければ!」ということで、「高収入」に惹かれて入った企業が投資顧問会社 (注1) だったのです。その後、事務職から営業職に就いたものの、株に関しての知識がなく、営業では悪戦苦闘の日々が続きました。今のように初心者向けの株の解説書もなく、悩んでいたある日、同僚から「とりあえず、株をやってみなよ。何かわかるかもしれないから」とアドバイスをもらい、見よう見まねで株取引を始めたのが最初です。

今でこそインターネットでの株取引は一般的になりましたが、当時はロイターやクイック (注2) などの専用回線や端末がないと株の値動きは見ることができませんでした。一般投資家の場合は証券会社の店頭や電話で確認するという方法しかなかったのです。私の場合は勤め先にロイターの端末があったので、初めて株を購入した際には、自分の注文を画面で確認できました。頭ではなんとなく理解していましたが、実際に「株を買う」ことで、株取引をより身近に感じることができ、それ以来、株の世界へのめり込んでいったのです。その後は新聞やニュースのチェックはもちろん、気になる銘柄や企業は掘り下げて調べるようになりました。株の売買で私自身の世界観が変わり、今でも毎日が新しい発見になっています。そこが株の面白さであり、魅力なのだと思います。

  • (注1) 投資顧問会社とは、有料で資産運用または資産運用に関する助言を行う会社。
  • 注2) ロイター、クイックとは国内、海外の金融市場やメディアなどの幅広い顧客に向けて価格、決算・財務、企業関連ニュース・会社情報、アナリストレポートなど多様な情報を提供し、独自の情報収集網を持つ総合金融情報ベンダー (提供者)。

オンライントレードへの不安

私が最初に証券会社にオンライン取引 (オンライントレード) の口座を開設したのは2000年頃だったと思います。そのころはオンライントレードを取り扱っている証券会社も少なく、今のようにどの証券会社を選べばよいのか悩むといったことは、まったくありませんでした。私は初めてオンライン取引をする際にDLJ証券を選びました。なぜDLJ証券だったかというと、シンプルにロゴカラーが好きな色だったという安易な動機なんです (笑) 現在ではDLJ証券は楽天証券になりましたので、当時のロゴカラーはなくなりましたけどね。

現在、オンラインで株取引をすることへのセキュリティ面での不安などもよく聞かれますが、私自身はまったく気になりませんでした。当時は、今のように他人のパソコンに侵入してくるハッカーの存在や偽造カードなどを利用して口座からお金が引き落とされるといったようなことは想像もできなかったので、セキュリティ対策が必要かどうかまで考えていなかったこともあります。そういった意味では、今のほうが怖いかもしれません。しかし現在では、どの証券会社でもセキュリティ対策を行っていますので、セキュリティ上の問題はないかと思います。

システム系トラブルの影響

2005年の株式市場ではシステム系のトラブルが多発しました。東証のシステムダウンや名証のシステムトラブル、みずほ証券の誤発注など、オンライントレードに限らず株式市場の取引全体に影響しました。売買注文の執行が遅れることにより、多くの投資家の方が困られたかと思いますし、私自身もかなりイライラしました。これによりシステム開発者側への責任問題が追求されていますが、私はこのトラブルの責任を開発者側だけに押しつけるべきではないと考えています。

というのも、私の兄がシステム系の会社に勤めているのでわかったことなのですが、システム構築を発注する側が顧客数やその許容量を理解していない場合もあるため、構築側としても“どのくらいのキャパシティのものを作ればよいかわからない”“手探りの状態でシステムを構築しなければならない”という場合があるのだそうです。システム系のトラブルでは、構築側が問題視されることが多いですが、両者のコミュニケーションがうまく取られていない場合には、システム上のトラブルも起こり得ると思います。このとき、どちらに責任があるなどと言い切れるものではありません。今後は発注側と構築側が密接な関係を持ち、トラブルのないシステムを構築・運用してほしいと思います。

オンライントレードの自己責任とメリット

株に関するシステム系のトラブルが大きなニュースとして一般でも話題になることは、証券会社の口座数や個人投資家が増え、株が注目されているということを示しています (図)。最近では、オンライン証券 (注3) の普及に伴い、個人投資家も専門家と同じ土俵に立てるようになりました。以前なら店頭や電話で売買注文を行わなければならず、個人投資家には常に遅れた情報が届いていましたが、現在ではニュースも株価もリアルタイムで入手することが可能になりました。もちろん個人投資家と専門家とでは、同じ情報を入手できるわけではありませんが、投資に必要な最低限の情報や情報収集のためのサイトなど、情報の選択範囲に広がりが生まれ、専門家が入手できる情報に近づいていることは確かです。これこそがインターネットで株取引を行う最大のメリットになるのではないでしょうか。

オンライントレード売買代金と取引口座数の推移

図: オンライントレード売買代金と取引口座数の推移

出典:インターネット取引に関する調査結果 (平成17年9月末) について (日本証券業協会、2005年11月22日)

90年代後半は証券会社の証券マンによる個人投資家への不正が多かったように思います。それは、株が個人投資家の知り得ない世界であったという理由が強く、証券会社側に好き放題な取引をされていた部分も少なくありません。それがオンライン証券の参入により激減し、個人投資家と証券会社が対等な立場になってきたのだと考えています。また、投資家サイドの話をすると、これまでは個人投資家自身の判断で購入したはずの株で損をした場合に、証券マン側に責任をなすりつける個人投資家も多くありました。しかし、証券マンを介さずオンラインで取引する場合には、責任転嫁ができません。つまりオンライン証券は、個人投資家に「自己責任」という意識を芽生えさせるきっかけを作ったのです。

次回は、インターネットでの株売買や、情報収集の方法について具体的に解説しましょう。

  • (注3) オンライン証券とは、店舗を持たず、顧客がインターネット上で株の売買取引を行う証券会社

(2006年1月24日掲載)

  • ※ 掲載日以降、最新情報ではない場合があります。あらかじめご了承ください。

  • No.1 7年連続利用率 (注)
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注) 出典: 日経コミュニケーション2008年9月1日号ブロードバンド/モバイル/NGN時代の企業ネットワーク実態調査「広域イーサネット部門」で「KDDI Powered Ethernet」が7年連続第1位



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