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第31回

[前編]テレビとネットワークの融合 ~アクトビラ入門編

株式会社アクトビラ 取締役 (兼) 経営企画グループGM 広報・法務・経営企画担当 坂下 弘典 氏

写真: 株式会社アクトビラ 取締役 (兼) 経営企画グループGM 広報・法務・経営企画担当 坂下 弘典 氏

株式会社アクトビラ
取締役 (兼) 経営企画グループGM
広報・法務・経営企画担当
坂下 弘典 氏

CSデジタル放送やCATVによる多チャンネル化が進み、自分が見たい番組を選ぶという視聴スタイルが定着しました。そんな中、ブロードバンド回線の普及によってユーザーが急増しているのが、ネットワークを利用してビデオコンテンツなどを楽しむインターネットテレビです。今回は、2007年9月からインターネットテレビによるVOD (ビデオ・オン・デマンド) サービスを開始した、株式会社アクトビラ取締役 (兼) 経営企画グループGMの坂下弘典氏に、会社設立の背景やサービスの概要について、お話を伺いました。

アクトビラとは

私は現在、株式会社アクトビラの経営企画グループ責任者として、おもに広報活動や経営企画などの業務を担当しています。当社は「acTVila (アクトビラ)」というデジタルテレビ向けのサービスを展開していますが、まずはその概要についてお話ししたいと思います。「アクトビラ」は、インターネット回線を通じて、デジタルテレビに動画やニュースなどのコンテンツを配信するサービスです。2006年の7月7日、ソニーと松下電器産業が発起人となり、シャープや東芝、日立製作所、ソネットなどの協力も得て会社を設立、2007年2月からサービスの提供を開始しました。

「アクトビラ」には、Webサイトのようにさまざまな情報を入手できる「アクトビラ ベーシック」と、映像をVOD (ビデオ・オン・デマンド) で視聴できる「アクトビラ ビデオ」、さらにハイビジョン映像などを全画面で楽しめる「アクトビラ ビデオ・フル」の3種類のサービスがあります。実は「アクトビラ」の登場前にも、テレビ向けの情報配信サービスは存在していました。しかし、これらのサービスはそれぞれのテレビメーカーが独自に運営していたもので、コンテンツの品揃えや将来のサービス展開に課題がありました。そこで、テレビメーカー5社で協業してインターネットテレビの標準仕様を作成し、サービスを提供することにしたのです。

写真: 「アクトビラ」のホームページ (PC版、PR用)

サービスを利用するには、基本的には「アクトビラ」に対応したデジタルテレビと、ブロードバンド回線が必要になります。この2つがあれば、チューナーやセットトップ・ボックスのような特別な機器などは不要で、事前の申し込みや登録などの必要もありません。テレビが家に届いたら、LANケーブルを接続するだけですぐに利用することができます。ちなみに、対応テレビを持っていない場合は、セットトップ・ボックス (ソニーから発売) を用意してサービスを利用する方法もあります。

今年5月末での対応テレビ数は、8メーカー、141機種となります。これは、日本で発売されているデジタルテレビの約4割に相当します (2008年3月の販売実績ベース、出典: GfK)。現在、接続されたテレビ台数の累計は40万で、今年中に接続台数100万を目標にしています。当社の試算では、3年後のアナログテレビ放送の終了時期には、デジタルテレビの普及台数は1億台となる見込みで、そのうちの7000万台を「アクトビラ」に対応させることを目標としています。接続率を15%と仮定すると、接続テレビ台数は1000万となり、大きな目標ですが、テレビメーカー様と協力しながら、実現させたいと考えています。

図: デジタルテレビの普及と「アクトビラ」対応機器の普及台数 (出典: アクトビラ)

テレビがレンタルビデオ店に変身

テレビ向けのVODサービスである「アクトビラ ビデオ」や「アクトビラ ビデオ・フル」は、レンタルビデオと同じように、見たいコンテンツを自分で選び、好きなときに視聴するしくみです。レンタルビデオと違うのは、借りたり返しに行く手間もなく、貸し出し中で借りられないこともないことです。返さなくてよいので延滞料金の心配もありません。コンテンツによってはハイビジョンで視聴できるというのもメリットです。

視聴するには、まず、対応テレビのリモコンにある「アクトビラ」ボタンや、「アクトビラ」トップページへのリンクボタンを押して、「アクトビラ」サイトに接続します。メニューが表示されるので、そこから見たいビデオを選択し、決定します。現在のところ、視聴できるコンテンツの数は、約2000タイトルになります。映画やドラマはもちろん、アニメやバラエティー、音楽ライブなど、ジャンルもさまざまです。料金については、会費や毎月の基本料金などは不要で、見たいときに見たいビデオの料金だけを支払うというシステムです。料金は1本105円~840円で、コンテンツによって異なります。連続ドラマやシリーズものなどでは第1話が無料だったり、何話分かをまとめたお得な料金パックもあります。プロモーションを兼ねて、一時的に無料で提供しているコンテンツも多くあり、たとえば矢沢永吉さんのライブビデオや、浜崎あゆみさんのビデオクリップなどは、問い合わせが殺到するほどの人気となっています。

写真: 「アクトビラ ビデオ」のメニュー

4ケタの数字入力だけで決済も簡単

こうしたコンテンツ料金の決済には、クレジットカードなどが利用できますが、有料コンテンツを視聴するごとに長い会員番号などを入力するのは面倒だという声もありました。そこで、今年4月から、「かんたん決済」サービスを開始しました。このサービスは、あらかじめ「アクトビラ会員」としてクレジットカードを登録しておけば、携帯電話のサイトのように、4ケタの数字を入力するだけで決済ができるというものです。一度決済を行うと、視聴可能期間中は何度でも視聴が可能です。現時点ではHDレコーダーなどに保存することはできませんが、本年度内にはダウンロード型サービスも開始する予定です。

ちなみに、「アクトビラ ビデオ」の場合は約6Mbps、「アクトビラ ビデオ・フル」の場合は約12Mbpsの回線速度が必要になるため、FTTH (光) 回線の利用を推奨しています。もちろん、ADSLなどでも利用は可能ですが、前述した回線速度が得られないと、うまく視聴できない可能性もあります。そこで、コンテンツ料金の決済を行う前に、テスト映像を流すことによって、トラブルを防ぎ、安心してコンテンツを購入いただけるようになっています。

アクトビラの誕生と日本の環境

高速なブロードバンド回線を使ってビデオを配信するというサービスは、すでに日本以外の国でも開始されています。しかしセットトップ・ボックスなどを利用せずに、標準的にテレビ本体に機能を実装させてハイビジョン映像を配信するというサービスを提供している例は、ほかの国にはありません。これは、日本でFTTH回線が広く普及してきたこと、そして、日本国内に優れたテレビメーカーが数多くあるという好条件に恵まれたことが、その背景にあるためだと思います。

「アクトビラ」はデジタル著作権管理 (DRM) に、国際的な共通仕様「Marlin (マーリン)」を採用しています。また、映像圧縮方式はARIB (電波産業会) の標準規格に準じたMPEG-2とH.264を利用しています。もちろん、ネットワーク・プロトコルはインターネットで標準的に利用されているTCP/IPです。

後半では、ほかの動画サービスとの違いや、「アクトビラ」と携帯電話やパソコンとの使い分け、連携についてお話ししたいと思います。

(2008年6月25日掲載)

  • ※ 掲載日以降、最新情報ではない場合があります。あらかじめご了承ください。

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注) 出典: 日経コミュニケーション2008年9月1日号ブロードバンド/モバイル/NGN時代の企業ネットワーク実態調査「広域イーサネット部門」で「KDDI Powered Ethernet」が7年連続第1位



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