第16回
[前編]IT英語のステップアップ術 ~IT業界で必要な英語力
株式会社エイブス 代表取締役 阿部 淳一 氏

株式会社エイブス
代表取締役 阿部 淳一 氏
ITを活用した新ビジネスの台頭や企業のグローバル化、外資系企業の参入など、現在の職場環境はドラスティックに変化しています。こうした動きをチャンスとしてとらえ、キャリアアップしていくには、自身のスキルを磨くことが大切です。そのスキルの一つとして重要視されるのが国際化に対応できる英語力です。今回は、技術翻訳サービスや翻訳者の派遣、技術翻訳スクールでの教育事業などに携われている株式会社エイブス代表取締役阿部淳一氏に、IT業界で必要とされる英語力についてお話を伺いました。
IT技術者が英語を学ぶメリットとは?
現在、私は技術翻訳に特化した会社を運営しています。ドキュメント (技術文書) やソフトウエアを日本語や英語に翻訳する業務と、この技術文書の翻訳者や翻訳文書をチェックするエディター、通訳者を派遣または紹介する業務、そして技術翻訳スクールでの教育事業という3つの業務を展開しています。私がこうした仕事を行うことになったのは、システムエンジニア (以下SEと表記) として勤めていた会社が、海外企業との合弁会社を設立することになり、技術サポート担当のSEとしてカナダに派遣されることになったことがきっかけです。それまで、あまり英語を使う機会もなく、決して英語が得意だったわけでもなかったのですが、このカナダ派遣を契機に、実際に英語を仕事で使うようになりました。帰国後も、英語がわかる技術者ということで、製品マニュアルなどを翻訳する部署に配属されるようになり、以降、技術英語 (IT英語) とのかかわりが続いているというわけです。
SEとして英語を学んだことで良かったなと思うことは、まずは、海外の英語版のソフトウエアを使用することに抵抗がなくなったことです。また、ソフトウエアのリリースノートやマニュアルなどのドキュメント、およびIEEEなどの技術標準についての原典など、知りたい情報が英語のまま読めるようになったのもメリットだと思いました。英語を身につけ、日本語以外の資料からも情報を吸収することは、技術力の向上にもつながると思います。
英語を身につけてスキルアップ
もちろん、英語が必要になるのは情報収集のときだけではありません。たとえばソフトウエアハウスなどでは、受注した開発の発注元や外注先などが海外の企業であることが最近増えてきました。そうした場合、相手企業との交渉に英語は必須のものとなります。また、ソフトウエアやWebサイトの開発などで各種の仕様書類を書く場合、日本語でなく英語で書けば、海外にソフトの開発を依頼するときもしやすいですし、文字コードの違いによるトラブルを防ぐことにもなります。逆に海外で開発されたプログラムの仕様書やプログラム内のコメントも把握することができるでしょう。一方外資系の企業で働く場合には、海外の本社とのやりとりはもちろん、社内での外国人スタッフとのコミュニケーション、本社と日本支社間でのドキュメントの翻訳、本社の在日顧客などへの技術サポートでも英語が必要とされます。
英語力があれば、現在の仕事を発展させ、キャリアアップすることもできるでしょう。たとえば、海外支社の現地スタッフや、海外企業との交渉を行う担当者として働いたり、外資系企業に転職するなど、可能性は広がります。ちなみに私の場合は、海外のソフトウエア製品の技術サポートや、製品マニュアルの日本語化などでのローカリゼーション・ノウハウを生かせる仕事を推進したいと思うようになり、IT分野に特化した技術翻訳の会社を設立しました。

求められる英語力とは?
次に、IT分野の仕事でどの程度の英語力が必要なのかについてお話ししたいと思います。企業では、英語力の目安を、たとえば海外の技術者と英語でコミュニケーションができるか、正しい英文メールが書けるか、TOEICの点数はどれくらいかなどで判断しているようです。要求される英語力は、職種によって当然異なってきます。
外国人と接する機会が少ない技術者であっても、英語のマニュアルやWebサイトを読むことはありますので、読む力は必要となります。プログラマであれば、コメント程度は英語で書けることが望まれます。また、海外に製品を販売するメーカーで、海外とのやりとりを行うエンジニアになろうとするなら、製品に関連するドキュメントを読む力や、メールで英文を書く能力などが求められます。海外の顧客を持つセールスエンジニアであれば、これに加え、英会話能力も必要となります。このように、仕事によって要求されるレベルは異なってきます。
もっとも、どんな仕事であれ、英語力さえあればよいというのではありません。技術力やコミュニケーション能力なども必要となります。その内容やレベルは企業ごとに異なるでしょうから、まずは以下のような表をつくり、自分が足りない能力を考えてみるとよいでしょう。自分がビジョンとする仕事をするために、現状の英語力が不足しているとわかったら、具体的に英語の学習予定を立てるとよいと思います。

英語力は一朝一夕には身につきません。コツコツと努力することが大切です。できれば、業務で使用する技術的な用語や表現についてもマスターしておきたいところです。
後編ではIT英語の勉強方法についてお話ししたいと思います。
(2007年4月10日掲載)
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