第25回
[前編]現代人の超コミュニケーション術 ~夢を実現させるコツ
株式会社ピークパフォーマンス
代表取締役 平本 相武 氏

株式会社ピークパフォーマンス
代表取締役 平本 相武 氏
外国語を習得しよう、ダイエットをしようと頑張ってはみたものの、途中で挫折してしまったり、やりがいを感じられず仕事に身が入らないなど、現代人はさまざまな悩みを抱えています。今回は、メンタル・コーチ、心理カウンセラーとして、個人や企業、スポーツ選手など幅広い分野のサポートでご活躍されている株式会社ピークパフォーマンスの平本相武氏に、「夢」や「やりたいこと」の実現方法についてお話を伺いました。
思いを貫き、夢を現実に
私は貧乏な家庭に生まれ育ち、親からは勉強するよりも働けと言われてきました。中学生から新聞配達やウェイターなど、さまざまなアルバイトをしていました。働きながら周りを見ると、お金持ちでもいつも不満を言っている人や、肉体的に健康でも夫婦げんかが絶えない人などがいて、「幸せって何だろう」と考えるようになりました。
心理学を学べばその答えがわかると思い、大学進学を決意しましたが、当時の私は偏差値37、I、my、meの区別もできないほどの学力しかありませんでした。アルバイトをしながら3年間の浪人生活を経て、ようやく大学に入りました。実際に心理学を学んでみると、心の病を抱えている人への治療法が主体で、私が求めていた心身の健康や人生の充実については深く知ることはできませんでした。大学院、心理学講師やクリニックでの心理カウンセラーを経て、カウンセリング先進国の米国に渡りました。クリントン元大統領やボクサーのマイク・タイソンなど各界の著名人のコーチングを行っていたアンソニー・ロビンス氏やCTI (コーチングトレーニング団体) のセミナーなどさまざまな出会いがあり、知識や体験を深め、経験を積みました。
カウンセリングやコーチングで人それぞれの夢実現の手伝いをしたいという思いを胸に2001年に帰国、手元には10万円しかなく、しばらくは知り合いの家で寝袋生活をさせてもらっていました。当時、日本は不景気のさなかで、知り合いから「コーチングじゃ食えないよ」と言われることもありました。自分自身は、「絶対に実現させてやる」と思っていました。今ではさまざまな企業やプロスポーツ選手などのコーチングを行い、青山にオフィスを構えています。夢をあきらめず、その実現に向け突き進んできたことが、今の自分につながってきたのだと感じています。
自分との対話で“自分軸”を見定める
「自分にとって本当に大事なこと」、「将来自分が本当になりたい姿」をしっかりと見定めることを、わたしは“自分軸”をしっかり持つというように表現しています。“自分軸”をしっかりさせることで、自分の価値観に沿った夢を描くことができ、その実現に意識を向けることができるようになります。当たり前のことのように思われるかもしれませんが、意外と意識できていないことも多いのです。
たとえば、以前、ある女性から「どうしてもダイエットができないのでコーチングしてほしい」という相談を受けたことがあります。来月までに3kgやせる、というような目標を決めても、全然成功しないのだそうです。この女性にダイエットをしたいその理由について掘り下げて聞いてみたところ、英語学校のお気に入りの講師と海辺でお茶を飲んで数時間デートしたいから、ということでした。その女性にとっては、やせることではなくデートをする自分が「なりたい姿」だったのです。その女性へのコーチングは、デートを実現させるためのものだけを行い、ダイエットの方法については一切触れませんでした。結果、数週間後にその女性はデートを実現させ、ついでにダイエットにも成功していました。夢に描いていたデートが徐々に現実になろうとする間の期待感で、好きなお菓子がのどを通らなかったため、苦労せずにやせることができたのです。
“自分軸”を見定め、夢を実現させるプロセスは、旅行にたとえるとよりわかりやすいかもしれません。皆さんは、明日から1週間休みで、金銭的な心配もないとしたら、どこに行きたいと考えるでしょうか。仮に、温泉でゆっくりしたいので、どこか静かな山間の温泉地に行きたいと思ったとしましょう。この“温泉でゆっくりしたいので”という旅行の理由には、その人の価値観が表れています。そして、“どこか静かな山間の温泉地”という旅の行き先は、価値観が達成される場所、自分のありたい姿が見える場所、つまりビジョンということになります。また、車や飛行機、電車などの交通手段は、行きたい場所に向かうための手段や方法ということになります。
旅行の行き先や理由もなく、先に交通手段が決まるなどということがないように、人生や仕事においても、どんな人生を送りたいのか、会社で何をしたいのかがわからないままに先に手段を決めてしまえば、いずれ迷いや後悔となって表れてきます。手段とは自分の「価値観」や「ありたい姿」を実現させるための方法、つまり、人生や仕事の場合、資格や就職は手段なのです。目標設定も、方法の一部ということになります。

いつでもベストを発揮する方法
“自分軸”をしっかりさせ、夢や目標の達成を目指すとき、私たちはとても大きなエネルギーで突き進むことができるようになります。多少の苦しみやプレッシャーにも負けない強さを発揮することもあるでしょう。私が現在、カウンセリングやコーチングを行っている方たちの中には、スポーツ選手や役者さんなど、極度のプレッシャーや緊張感と向き合うことを強いられる職業の方たちがいます。スポーツ選手も役者さんも、多くの観衆に囲まれる中で、勝負に勝ち、記録を残し、観客を魅了させる役を演じることが求められます。
自分のベストのパフォーマンスを常に発揮することはそう簡単なことではありません。そうした方たちに私がサポートしている中から1つご紹介しましょう。これまで自分がベストの状態だったときを思い出し、その意識状態を何度でも再現できるようにするという手法です。
何年何月何日のベストの状態だったあのときの自分が、どんな姿勢で、何をどんな風に話していたか、何を考えていたか、ありありと思い出します。そのときの見え方、たとえば、明るかったのか、焦点は近くにあったか、鮮明だったのかなども、詳細に思い出します。聞こえ方、身体の感じ方も同じように詳細にわたって思い出し、いつでも再現できるようにするという手法です。
この手法が有効なのは、スポーツ選手や役者さんに限るわけではありません。たとえば、以前は好成績をあげていたのに今はさっぱりという証券ディーラーの方から相談をされたときに、自分が絶好調のときはどんな状態だったかを質問していきました。足がつるくらいに力を入れて踏ん張り、マウスを握りしめて歯を食いしばっていた状態だったと彼はありありと思い出していきました。そして、そのときと同じ状態を再現できる手法を一緒に練習しました。しばらくして会ったときには、実際に職場でもその手法を実践することで、「以前のように他の証券会社には負ける気がしなくなりました」と明るく語り、好成績をあげられるようになったと報告してくれました。
このように、自分の内面と対話をして“自分軸”を見つけ、ベストな状態を常に出せるように自分をコントロールすることで、夢に向かう力を強化することができるようになります。また、自分自身との対話だけでなく、人とのコミュニケーションも夢の実現には重要な要素となります。後編では仕事におけるコミュニケーションのコツについてお話したいと思います。
(2008年1月9日掲載)
- ※ 掲載日以降、最新情報ではない場合があります。あらかじめご了承ください。




