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第5回

[前編]ワンセグ時代の携帯サイト ~モバイルコンテンツとワンセグの可能性

株式会社ゆめみ 代表取締役 深田 浩嗣 氏

写真: 深田 浩嗣 氏

株式会社ゆめみ
代表取締役
深田 浩嗣 氏

携帯電話の技術は日進月歩で進化し、その機能は単なる通信端末の枠を超えて広がっています。ここ一年を振り返っても、非接触型ICカード技術を搭載した端末の登場や、「ワンセグ」の放送開始など、話題に事欠きません。技術の進歩に伴い、サービスはどう変わっていくのか? 携帯サイト構築を専門に手がける株式会社ゆめみ代表取締役の深田浩嗣氏に、携帯サービスの最新動向や、同社の取り組みについて伺いました。

生活に密着したネット環境は携帯が主役

私が大学の同志とともにゆめみを設立したのは今から6年前の2000年になります。ちょうどITバブルが始まり、Webで新しい変化が起こるのではないか、という期待が世の中にあふれていた頃で、我々自身もWebの世界で何か新しいことができるのではないかと思っていました。

当時すでにWebの世界は一般化しており、Webサイトを利用するPCユーザーも多かったのですが、我々は、“インターネットやネットワークの恩恵を受けられるのがPCユーザーだけというのはおかしいのではないか?”“もっと日々の生活に密着した使い方があってもよいのではないか?”と感じていました。そこで、インターネットやネットワークと密着した生活は、PCではなく携帯で作るものではないかと着目し、携帯電話のシステム構築に特化した会社を設立しました。

また、Webに限らず、情報技術は米国主導の傾向がありますが、携帯電話でのWebサイトの閲覧やメール交換などは日本が先行していると言えます。携帯向けのサイトを構築したところ、ユーザー数が予想を超えて増え続け、今後の成長が期待できると考えたのも、理由の1つです。

携帯向けコンテンツとシステム

携帯向けに限らず、Webサイトの作成は、「コンテンツ制作」と「システム構築」の二本柱で成り立っています。一社で構築することもありますが、弊社の場合は、システム構築を主軸にしています。たとえば、メール配信システムの構築やサーバー向けソフトウェアの開発などを行っています。

これまでは、ユーザーとの接点はコンテンツが主役で、システムの方はどちらかというと縁の下の力持ち的な存在でした。しかし、最近は、システムの機能がコンテンツに結びつくことも多くなってきました。どういうことかと言いますと、ブログや掲示板など、システムを構築してサービスを開始すると、サイトを訪れるユーザー自身がコンテンツを作り出していくというようなことが起こりはじめたのです。今後は、システムが直接ユーザーとの接点となることも考えられます。システムがユーザー同士を結びつけるプラットフォームとなり、そこから新しいコンテンツが生み出されていくというようなことです。B2C型のビジネスに直結するシステムが増えてくるかもしれません。

弊社はこれまで受託型の携帯システムの構築が多かったのですが、今後はこうしたシステムの開発も積極的に展開していきたいと思います。ユーザーがどんな場所にいても情報にアクセスでき、ネットワークに参加して情報を発信できるシステムを構築したいと考えています。

ワンセグが変える携帯コンテンツ

4月1日から「ワンセグ」が本放送を開始しましたが、新しい携帯コンテンツを生んでいくシステムやサービスの1つとして注目しています。PCでのインターネット利用者数は頭打ち感がありますが、携帯での利用者はまだまだ増加傾向にあります。9200万台(※1)という携帯電話の所有者数を考えても、ワンセグのような新しい携帯向けのサービス登場が起爆剤となり、携帯でのインターネット利用者数が急増することは十分あり得ます。

ワンセグとは、携帯などのモバイル端末向けの地上デジタル放送で、端末がワンセグを受信さえできれば、どこでもテレビを視聴することができます。映像が映される画面の下には情報用の画面が表示され、この情報画面下にあるリンクボタンをクリックすると、インターネット経由でWebサイトのコンテンツにアクセスできる機能を持っています。現在はサイマル放送(※2)のみの放送ですが、将来的には携帯独自の番組が制作され、放送に連動して携帯向けのコンテンツも利用できるようになると思います。

図: W33SAでワンセグを表示させている画面写真

従来の携帯サイトでコンテンツを利用するには、メニューボタンを押して、公式メニューを選択、カテゴリを選んでいくといった、煩雑な手順が必要になります。一方、ワンセグでは、コンテンツへのリンクが画面に表示されます。興味があれば、そのままクリックするだけで簡単に目的のサイトにアクセスできるのです。この便利さは、ワンセグの大きなメリットであり、携帯サイトの利用を後押しすると思います。

  • ※1 電気通信事業者協会、5月10日発表の4月末時点での契約数合計。
  • ※2 サイマル放送とは 現行のアナログ放送とデジタル放送で、同一番組を同時に放送することを指す。具体的には民放のネット系列をまたぐ形で同時放送を行う場合、あるいはテレビとラジオで同時放送を行う場合のことを指す。デジタル放送への移行にあたり、現行のアナログ放送しか受信できない世帯がほとんどのため、アナログ放送とデジタル地上波で同じ内容を放送することが放送事業者に義務化されている。

“携帯デバイド”は消滅する

さらにワンセグによって、携帯でのインターネット利用者層は大きく変わると予想しています。現状では、携帯でWebサイトやメールを頻繁に利用するかどうかは、世代によって大きく異なります。10代後半から20代前半の世代では、私のような30代以上の世代からは異様に感じるほど携帯に没頭している傾向があります。彼らにとって、一日に数十通のメールを送受信するのは当たり前で、携帯でショッピングも難なくこなし、携帯のブラインドタッチも珍しくありません。ラジオや雑誌、新聞といった既存のメディアに接触するより、携帯と接触する時間が多い世代であるということが顕著な世代なのだと思います。中にはテレビを見る時間より携帯に接触している時間の方が多い人もいるようです。しかし、この世代は携帯ユーザーの1~2割程度でしかありません。

一方、20代後半よりも上の世代では、携帯の利用は限定的なものになります。通話用途が大半を占め、メールの数も減ります。携帯でショッピングができることすら知らないユーザーもいるほどです。当然、携帯よりもテレビに接する時間のほうが多いのです。しかしこうした世代でも、ワンセグが普及すれば、野球やサッカーの中継をワンセグで視聴し、表示されるリンクをクリックして携帯サイトの詳細情報にアクセスする、というように、自然にインターネットを利用するようになるでしょう。

ITを使える人と使えない人の格差をデジタルデバイド(※3)と言いますが、これに倣って私は携帯の世代間の格差を“携帯デバイド”と呼んでいます。しかし、ワンセグがフックとなり、残りの8、9割の携帯ユーザーがインターネットを利用するようになれば、この格差は無くなってくるだろうと思います。

後編では、ワンセグを含めた新しい携帯サービスの展望や、新しいビジネスチャンスについて、お話しをしたいと思います。

  • ※3 デジタルデバイドとは 情報格差の意で、パソコンやインターネットなどの情報技術(IT)を使いこなせる者と使いこなせない者の間に生じる、待遇や貧富、機会の格差。個人間の格差の他に、国家間、地域間の格差を指す場合もある。

(2006年5月30日掲載)

  • ※ 掲載日以降、最新情報ではない場合があります。あらかじめご了承ください。

  • No.1 7年連続利用率 (注)
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注) 出典: 日経コミュニケーション2008年9月1日号ブロードバンド/モバイル/NGN時代の企業ネットワーク実態調査「広域イーサネット部門」で「KDDI Powered Ethernet」が7年連続第1位



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