第14回
[後編]IT時代の健康促進術 ~簡単体操でメタボリックも予防!
日常ながら運動推進協会 ダンベル健康体操指導協会 アロマフィットネス協会 会長 萱沼 文子 氏

日常ながら運動推進協会
ダンベル健康体操指導協会
アロマフィットネス協会
会長 萱沼 文子 氏
メタボリックシンドロームの解消を掲げ、政府が健康づくりの指針を発表するなど、社会的にも健康への関心は高まっています。肥満の解消には、食生活の改善や、運動をするのがよいようですが、どちらも簡単ではありません。また、運動と言っても、スポーツのような激しいものよりも、日常生活を通じて体を動かすほうが効果的なようです。「IT業界の健康促進術」後編となる今回は、簡単に続けられる効果的な運動方法について、前編に引き続き、カリスマ・インストラクターの萱沼文子氏にお話を伺いました。
メタボリックシンドロームの予防法
最近、メタボリックシンドロームという言葉を聞くことが多いと思います。これは、内臓に脂肪が蓄積したために、高血圧や高脂血症、糖尿病といった生活習慣病が起きやすい状態を指します。男性は85cm以上、女性は90cm以上のウエストサイズがその目安とされています。
内臓脂肪を減らすには、スポーツによる激しい運動よりも、日常生活で体を動かすほうがよいとされています。この根拠の1つとなるのは、1990年代後半に米国で発表された、「ニート」(NEAT: Non-Exercise Activity Thermogenesisの略で、運動ではなく日常生活で消費する熱エネルギーのこと。若年無業者 (NEET: Not in Education, Employment or Training) を指すニートとは異なる) という日常生活での熱エネルギーの消費に関する研究で、日常生活でこまめに体を動かしている人は痩せている、というものです。「日常ながら運動」は、日常生活を通じた何気ない運動により、ニートの値を高くして、メタボリックシンドロームを予防し、健康になることを目標としています。今回は、日常生活の中で無理せずにできる「日常ながら運動」の方法をいくつかご紹介したいと思います。
デスクワークで腹筋を鍛える
では、さっそく、メタボリックシンドロームを予防するためにも効果的な、日常ながら運動についてお話していきたいと思います。まずは仕事中にも簡単に行えるものをご紹介しましょう。デスクワークでは、座りっぱなしで、運動ができないと思いがちですが、そんなことはありません。
まず、基本となるのが、イスに座る姿勢です。猫背で机に向かっている人をよく見かけますが、それだと体が頭部や上半身を支えられずに腰痛や肩こりになりますので、猫背にならないように、背中はまっすぐに伸ばしておくことが大切です。また、イスの背もたれにはなるべく頼らないように浅く座るように心がけましょう。
イスに深く腰掛けることも間違いではありませんが、だんだんお尻が前にすべってしまい、お腹を突き出して寝そべっているような姿勢になってしまうことがあります。この姿勢は、肩にも腰にもよくないので、気づいたらすぐに座りなおすべきなのですが、悪い姿勢を挽回するために、座りなおす前にここで背中をほんの少しだけ浮かしてみましょう。すると、腹筋に力が入ると思います。これは効果的な腹筋運動なのです。姿勢に気がついて座りなおす前に、毎回10秒ほど行えば、年間にするとかなりの運動量になるでしょう。自宅に帰って腹筋をしようとしても、そう長くは続きませんが、この腹筋運動なら手軽で、かつ効果的なのです。

また、足を組んで座る癖のある人もいるでしょう。自分が足を組んでいると気づいたときに、左右を組み替えるだけでも下半身への負担は軽くなります。さらに、そのまま足を少し浮かしてみてください。太ももや腹筋にかなり負荷を感じることでしょう。これらの運動を意識して行うようにすれば、座りながら足の筋肉や腹筋を鍛えることができます。どちらもだれにも気づかれずにできるというのもメリットでしょう。

デスクワークで下半身とわき腹をシェイプアップ
イスから立ち上がるときや座るときに、一瞬、動きを止めるようにすると、スクワット運動のように、下半身を強化できます。これは、デスクワークだけでなく、接客時にも有効です。座った状態と立った状態の間に、間ができるため、正座から立ち上がるときの美しい動作のように、相手によい印象を与える効果もあります。

また、メタボリックシンドロームの解消を目指して、わき腹の脂肪を減らすには、体をひねる運動が有効です。下半身だけ前を向いたまま体をひねって、左右に置いた資料を取ったり、左右を向いて作業をするなどを心がけるとよいでしょう。男性の場合は特に、ウエストラインさえ引き締まれば、印象もよくなりますので、ぜひ実践してください。
通勤時などオフィスの外でできる簡単運動
通勤時や外出時には、「一駅手前で降りて歩く」ということがよく言われたりしますが、仕事をもっている忙しい現代人にあまり現実的な方法ではありません。利用する駅は普段通りでも、電車が来るまで構内を歩いたり、バッグのハンドルを強く握ってみたり、ひじを軽く曲げてみるなど、いつでもどこでも実践できる何気ない動作で体を使うようにすることが大切です。
また、エレベーターを使わずに階段を使うこともよいことですが、階段を上ったり下りたりすることは歩くことの5倍のエネルギーを必要としますので、最初のうちは1階分だけにして、慣れてきたら2階分にするなど、無理のないように行ってください。最初から5階分などと、無理にがんばってしまうと、「しんどいなぁ~」と感じられ、結果的に長続きしません。荷物のあるときや、ちょうどいいタイミングで来たというときには、エレベーターを使いましょう。
ショッピングも健康のためになる
休日はジョギングをする、ウオーキングをすると心に決めても、なかなか長続きはしないものです。そんな人でも買い物には、普通にでかけると思います。そこで、この買い物にちょっとだけ運動を組み込むのです。たとえばスーパーで買い物をするときに、これまで重いという理由で500ccの牛乳パックを買っていた人は、あえて1リットルのパックを2個買い、両手に提げれば、それだけでトレーニングになります。また、休日は家で寝ていて、買い物はネットでという人であれば、たまには実際のお店にでかけてみるとよいでしょう。目的の商品を見つけるために、あちこち歩き回ることで、知らず知らずのうちに、ウオーキングの効果が得られているはずです。
自宅でできることもいろいろ考えられます。ウエストが気になる人は、体をねじる動作を生活に組み込むことです。これには、トイレットペーパーをわざと後ろに置いて、使うときに体をねじったり、風呂掃除の際に、体をねじって浴槽の左右を洗ったりするなどの工夫をしましょう。
さまざまな発明によって現代人は楽ができるようになりましたが、目先の便利さで満足していると、10年後や20年後にその反動が来ます。病気の症状が出たときには、簡単な運動すらもできない体になっているかもしれません。特別な準備は不用ですので、将来の自分のためにも、体を動かしてみてはいかがでしょうか。
編集後記
快適な生活が送れるようになった現代ですが、体を動かすことが減り、健康を維持することがかえって難しくなっているという弊害も出ています。今後は、快適な生活を続けながらも、いかにして楽をしない工夫をするかが、健康を維持する秘訣になるようです。仕事をしているときの姿勢を時々意識して、ちょっとした動きを加えることで、出っ張ったお腹やハミ肉がスッキリするかもしれません。いますぐはじめてみませんか。
(2007年2月27日掲載)
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