第20回
[後編]ネット仮想社会の可能性を探る ~ビジネスとしての可能性
デジタルハリウッド株式会社 ソリューション事業部
コンサルティンググループ 弓木 裕史 氏/池谷 和浩 氏

デジタルハリウッド株式会社
ソリューション事業部
コンサルティンググループ
弓木 裕史 氏/池谷 和浩 氏
- セカンドライフに参加する企業も増えているようですが、
どのような目的があるのか、また、どのような参加例があるのか教えてください。 - セカンドライフの特性を生かしたビジネスとは?
- セカンドライフ内でのビジネスを考えると、最終的に円に換金する仕組みが必要かと思いますが、直接換金できるようになりますか?
- セカンドライフにおける、企業の (仮想) 社会的責任とは?
- セカンドライフのような仮想空間サービスは、今後、ビジネスに
どのような影響を与えるのでしょうか? - PC以外に、ケータイなどのデバイスでも、利用できるようになりますか?
米国のリンデン・ラボが運営する「Second Life (セカンドライフ ) 」は、文字通り第二の生活、世界として楽しむことができ、ユーザー登録も800万件を超える勢いで増加しています。“ネット仮想社会の可能性を探る”後編となる今回は、セカンドライフ上でどのようなビジネスが行われており、またどのような可能性があるかについて、前回に引き続き、デジタルハリウッド株式会社ソリューション事業部コンサルティンググループの弓木 裕史氏と池谷 和浩氏にお話を伺いました。
セカンドライフに参加する企業も増えているようですが、
どのような目的があるのか、また、どのような参加例があるのか教えてください。
弓木氏 : セカンドライフをビジネスのマーケットとして注目する企業は増えています。これまでは、ニュースで取り上げられるパブリシティー効果を狙って、セカンドライフに参入する企業が多かったのですが、最近では、セカンドライフでのユニークな体験をユーザーに楽しんでもらい、ファンを獲得して購買につなげようとする動きも見られます。その例をいくつか紹介しましょう。セカンドライフをビジネスのマーケットとして注目する企業は増えています。これまでは、ニュースで取り上げられるパブリシティー効果を狙って、セカンドライフに参入する企業が多かったのですが、最近では、セカンドライフでのユニークな体験をユーザーに楽しんでもらい、ファンを獲得して購買につなげようとする動きも見られます。その例をいくつか紹介しましょう。

弓木氏 : たとえば、国内の通販会社様の活用例では、会社案内の動画を見ることができるほか、セカンドライフ内のその会社の入口にあるショーウインドウで、ユーザーが一定時間モデルとしてポーズをとることで、衣装 (オブジェクト) を無料で入手することができるようになっています。ポーズをとっているアバターのまわりに、順番待ちの行列ができているのは、現実の世界のようでおもしろいと思います。ちなみにこの衣装は、これから発売される最新モデルの洋服で、企業側にとっても良いPRになっているのです。

池谷氏 : 企業だけでなく、政府が活用する例もあります。たとえばスウェーデン政府は、セカンドライフ内に在米の大使館と同じ建物を建築し、館内で美術品や風景の写真を展示したり、ストリーミングでのラジオ放送などを行っています。
さらに、家具メーカーのIKEAと協力して、館内に展示した同社の家具をユーザーが持ち帰って使用できるサービスなども行っています。大使館オープンの除幕式では、現職の外務大臣がアバターとして参加し、テープカットなどを行いました。


セカンドライフの特性を生かしたビジネスとは?
弓木氏 : セカンドライフは、アバターを通じた表現力豊かなコミュニケーションが特長です。しかしサーバー負荷の問題があり、ひとつの場所に集められるのは50名程度といわれています。このことから、マス媒体としての活用よりも、お客さまと会話しながら商品をおすすめしていくような使い方が適しているといえるかもしれません。
マス広告からWebへ誘導し、さらに関心の高いお客さまをセカンドライフへ誘導し、質の高いコミュニケーションによって商品の購入に結びつけるようなクロスメディアの手法が効果的と考えられます。また、ほとんどのユーザーがセカンドライフ内で空を飛んで移動するため、空間広告という考え方も生まれてくるかもしれません。
セカンドライフ内でのビジネスを考えると、最終的に円に換金する仕組みが必要かと思いますが、直接換金できるようになりますか?

池谷氏 : リンデン・ラボは、リンデックスというリンデンドルと米ドルを交換できるサービスを提供しています。なかには日本円との交換を代行するサービスもありますが、日本ではオンラインギャンブルは違法とされており、純粋なビジネスであるにもかかわらずセカンドライフも同等ととらえられてしまう可能性もあります。
今後、セカンドライフ内でビジネスを本格的に行うにあたっては、リンデンドルを日本円に換える仕組みを議論する必要はあるでしょう。
セカンドライフにおける、企業の (仮想) 社会的責任とは?
弓木氏 : 現状では、仮にサーバーにトラブルが発生し、ユーザーのデータが消えてしまってもリンデン・ラボはこれを補償しません。参加企業はユーザーに対して事前に責任の範囲について明示しておく必要はあるでしょう。また、セカンドライフ内で社会的影響力の強いサービスを提供する場合には、現実と同様、社会的責任に対する意識をより強く持たなければならないと思います。
セカンドライフのような仮想空間サービスは、今後、ビジネスに
どのような影響を与えるのでしょうか?

弓木氏 : セカンドライフは、3次元で行われる今までにないサービスです。3次元の環境を感覚的に体感できるという長所があり、共同作業を通じて、ユーザー同士が体験を共有することもできます。
現実の世界では体験できないことを体感できるサービスの提供など、仮想空間ならではのサービスやビジネスが今後誕生し、それらが現実のマーケティング活動やプロモーション活動と相互に補完・連携し合うようになるのではないかと思います。
インターネットが広まり始めた頃は、まだホームページの重要性を認識する企業は少なかったですが、現在ではWebサイトを持たない企業はほとんどないと言えるまでになっています。
セカンドライフの場合は、シンクタンクや大手広告代理店など、トレンドの先端にある企業がいち早く注目している点からも、今後の普及が加速することが予想されます。
PC以外に、ケータイなどのデバイスでも、利用できるようになりますか?
弓木氏 : セカンドライフを楽しむには、現状では3D映像を処理できる高性能のPCが必要になります。残念ながら、今はまだ携帯電話で楽しむことはできませんが、野村総研の調査によれば、セカンドライフは2010 年頃から携帯電話で利用できるようになると予測されています。
編集後記
セカンドライフの普及は、今後ますます加速していくようです。現実社会との関係もより緊密なものになり、現実そのものが、PCやケータイの中に再構築され、暮らしやビジネスの場が拡張されていくというイメージになるのかと思えてきました。EメールやWebに次ぐ、インターネット上の重要アプリケーションへと進化するのかもしれません。
(2007年8月22日掲載)
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