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第20回

[前編]ネット仮想社会の可能性を探る ~“Second Life”とは?

デジタルハリウッド株式会社 ソリューション事業部
コンサルティンググループ 弓木 裕史 氏/池谷 和浩 氏

写真: 弓木 裕史 氏/池谷 和浩 氏

デジタルハリウッド株式会社
ソリューション事業部
コンサルティンググループ
弓木 裕史 氏/池谷 和浩 氏

ネットワーク上に構築された仮想的な世界として「Second Life (セカンドライフ) 」が注目を集めており、ニュースで取り上げられる機会も増えてきました。ユーザーだけでなく、参加する企業も増えているようです。今回は、セカンドライフに関わるさまざまな企画やコンサルティング事業などを展開しているデジタルハリウッド株式会社のソリューション事業部コンサルティンググループの弓木 裕史氏と池谷 和浩氏に、セカンドライフがなぜ注目を集めているのか、その理由や特徴について、お話を伺いました。

セカンドライフが雑誌やテレビで取り上げられるようになりましたが、
そもそもセカンドライフとは何か、教えてください。

弓木氏 : 「Second Life (セカンドライフ) 」は、コンピュータネットワーク上につくられた仮想的な世界の中で、自分の化身であるキャラクター (アバター) を操作できる、ユーザー参加型の3Dインターネットサービスです。
セカンドライフの中では、自由に歩き回って他のユーザーとコミュニケーションを図ったり、商品を購入したりと、日常生活同様に、さまざまな体験をすることができます。この世界を開設、運営するのは、元リアルネットワークスのCTOであるフィリップ・ローズデール氏が設立した米国のベンチャー企業、リンデン・ラボです。また、世界中で大ヒットとなった都市育成シミュレーションゲームの開発者のロビン・ハーパー氏が開発に携わったり、表計算ソフトで有名なロータスの創業者であるミッチ・ケイパー氏が会長を務めるなど、IT業界での大物が参画しています。

2003年6月にサービスを開始して以来、参加ユーザー数は拡大し、2007年7月現在の登録数は800万件を超えました。このうち、約5%にあたる42万件が日本のユーザー登録数となります。ローズデール氏とリンデン・ラボは、ビジネスに革新をもたらしたことで、2006年にWIRED誌から表彰を受けたことも記憶に新しいことです。

写真: セカンドライフの画面

セミナーを開催されたりしていますが、デジタルハリウッドと
セカンドライフはどのような関係にあるのでしょう?

写真: 池谷氏

池谷氏 : デジタルハリウッドは、リンデン・ラボの開発者を招いてセミナーを開催するなど、同社と協力して日本でのセカンドライフの普及活動を行っています。
こうした協力関係は、セカンドライフの登場当初から研究を行っていたデジタルハリウッド大学院の三淵啓自教授が、リンデン・ラボと懇意にしていたことに始まります。現在、大学院では「セカンドライフ研究室」を開設し、研究活動の拠点とするとともに、仮想空間内で活動するために必要な技術やノウハウを習得できる「セカンドライフトレーニング講座」も開催しています。

ほかには、セカンドライフに関する各種企画・制作・コンサルティング事業も展開しています。大手広告代理店と協業して、国内企業向けの情報交換の場として「セカンドライフ研究会」を発足し、ヒットコンテンツの分析や、コンテンツの方向性などを研究しています。また、仮想都市である「バーチャル東京」を開設し、企業を誘致して土地、建物を提供し、イベントを開催するというプロジェクトも進めています。

セカンドライフには、だれでも参加できるのでしょうか?

写真: 弓木氏

弓木氏 : セカンドライフは、氏名やメールアドレスを登録してアカウントを発行すれば、だれでも参加することができます。一般的なSNS (ソーシャル・ネットワーキング・サービス) のように、だれかから紹介してもらう必要もありません。
ちなみにアカウントには、無料のベーシックアカウントと、月に1000円程度かかるプレミアムアカウントの2種類があります。セカンドライフ内でリンデン・ラボが管理するメインランドに土地を購入したり、店舗を持つには、プレミアムアカウントが必要になります。ベーシックアカウントでも十分楽しめますので、まずは、無料のベーシックアカウントを作成して、セカンドライフに慣れることをおすすめします。

以前受けた質問に、「アカウントを作成してログインしたけど、何をすればいいのかわからない」というものがありましたが、今のセカンドライフでは、歩いたり座ったり、持ち物を持ったり、相手と話をする、車に乗るなどの、基本的な動作についてのトレーニングを行えるようになっています。操作方法を把握したら、後は好きな場所にテレポートして、セカンドライフを楽しんでほしいと思います。

これまでにもオンラインゲームはありましたが、
それとセカンドライフはどのように違うのでしょうか?

弓木氏:まず、理解していただきたいのは、セカンドライフとオンラインゲームは異なるということです。オンラインゲームでは、コンテンツのすべてをゲームメーカーが提供しています。たとえば、モンスターを倒すとお金が手に入り、武器を購入して、最終的にボスキャラを倒すといったストーリーがあらかじめ決められているわけです。
一方、セカンドライフの場合は、単に仮想的な世界があるだけで、何をするかはユーザーに任されています。いろいろな場所に旅行して、見知らぬ人と交流するのもいいでしょうし、土地を購入して商売を始めてもいいわけです。現実社会のように、自分自身で目的を決められるのが、セカンドライフの特徴の1つです。

また、セカンドライフの中では、ユーザーが作成したオブジェクトは、そのユーザーに著作権があり、作成者の情報は保持されるため、不正なコピーを防げるという特徴もあります。ほかには、セカンドライフが3DCG (3次元コンピュータグラフィクス) を使った新しいコミュニケーションツールであるという点も注目すべきところだと思います。
アバター同士で顔を合わせて、チャットをしながら喜怒哀楽の表現をすることもできますし、商品の3D映像を見ながら詳細を相手に聞くこともできます。今後はマイクを通して音声チャットによる現実の世界との直接的なコミュニケーションも可能になる予定です。

セカンドライフの中で商売が繁盛してお金持ちになっても、
やはり現実ではないわけですよね?

池谷氏:セカンドライフでは、リンデンドルという通貨を使用します。土地や商品の売買など、セカンドライフ内での取引は、すべてリンデンドルで行います。リンデンドルは、セカンドライフの中でアルバイトをしたり、作成したオブジェクトを販売するなどして取得 (稼ぐ) ことができますが、カード決済で購入することもできます。
確かに、それだけだと、まだゲームのように思われるかもしれません。しかしセカンドライフでは、リンデンドルから現実の通貨に戻せる (交換できる) 仕組みもあり、現実のビジネスも可能であるという特徴も持っています。これにより、仮想世界が現実世界とつながってくるわけです。

図: セカンドライフのおもな特徴

セカンドライフを楽しむにも、そこでビジネスをするにも、
英語が必要なのでしょうか?

写真: 弓木氏

弓木氏 : 確かに、セカンドライフは米国で始まったサービスなので、英語が多く使用されています。また、以前はアカウントの作成画面も英語で表示されていました。しかし現在では日本語の画面でアカウントを作成できるようになり、利用に必要な専用のブラウザも日本語版に対応しています。インターネットのホームページと同様に、日本のユーザーが増えれば、日本語が使える世界も増えてきますので、英語ができなくても心配することはないと思います。

実際、セカンドライフを利用する日本人の増加に注目し、参入する日本企業も増えています。すでに、数多くの企業が自社製品のプロモーションに活用しているほか、個人ユーザー向けに土地をレンタルして、セカンドライフ内でビジネスを始めている企業もあります。今後、セカンドライフのサーバーを各企業などが運営できるようになれば、バーチャルコミュニケーションの標準として、さらに普及するのではないかと考えられます。

セカンドライフは単なる遊びやコミュニケーションの場だけでなく、ビジネスの新しいフィールドとしても魅力があるようですね。
次回はビジネスの可能性について、詳しくお伺いさせてください。

(2007年8月1日掲載)

  • ※ 掲載日以降、最新情報ではない場合があります。あらかじめご了承ください。

  • No.1 7年連続利用率 (注)
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注) 出典: 日経コミュニケーション2008年9月1日号ブロードバンド/モバイル/NGN時代の企業ネットワーク実態調査「広域イーサネット部門」で「KDDI Powered Ethernet」が7年連続第1位



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