BCM (事業継続管理) 編 [第3話] 「ネットワークの冗長化」
ネットワークの冗長化
現在、企業が使用するシステムの多くは、スタンドアロンで使用することは少なく、本社や支社間、データセンターなどにある各サーバーがネットワークで連携するシステムとなっています。こうした環境では、仮にWANに障害が発生した場合、その回線が復旧するまでは業務そのものが停止してしまい、経済的なダメージを受けることはもちろん、顧客の信用も失いかねません。経済産業省の「事業継続計画策定ガイドライン」で紹介されている調査でも、「通信の故障」が業務中断の原因の3番目にあげられています。

ネットワーク (WAN) の障害リスクに対するBCMの対応策としては、予備のネットワークを用意する冗長化対策などが考えられます。この冗長化にもいくつかの方法がありますが、代表的なものを3つほどご紹介します。まずは、比較的簡単に行えるものとして、アクセス回線の冗長化があります。拠点間接続に広域イーサネットやIP-VPNなどのWANサービスを利用している場合、主契約のアクセス回線とは別のバックアップ回線を用意する方法です。ネットワーク障害のビジネスへの影響がそれほど大きくない場合には、リーズナブルなDSL回線などをバックアップ用として検討するとよいでしょう。
バックアップ回線を用意しても、障害発生時にはルーターで切り替える作業が発生するため、復旧に数分程度かかってしまいます。この時間を数秒単位にまで短縮させることを可能にする最新の冗長化手法を次にご紹介します。これは、KDDIの「Powered Ethernet」のオプションとして提供している「デュアルアクセス」というサービスで、広域イーサネット網内のエッジ・スイッチから利用者宅内に置かれたSPU (Select Port Unit) と呼ばれる回線切替装置までを2重化します。万が一故障が発生した場合には、SPUが故障を感知して自動的に主契約回線から予備回線への切り替えを行います。
最後にご紹介する冗長化対策は、完全に別系統 (別の通信事業者) のWANサービスを用意する方法で、キャリアダイバシティなどと呼ばれることもあります。まったく別のネットワークが用意されるため、完全な冗長化を実現できますが、それぞれにサービス利用料が必要となり、運用管理の手間も増えることになります。通信事業者の中には、まったく別系統の光ケーブル通信網を用意し、1社でネットワークダイバシティを実現し、運用管理や利用料も一括で効率的なサービス提供を行える事業者もあります。

ネットワークの構築や運用について、WANだけでなくLANや固定電話網、移動体網も含めて考えてみますと、LANはA社、WANはB社、固定電話網はC社、移動体網はD社といったように、構築や運用をサポートする事業者が分かれていることも多いと思います。仮に本支店間のデータ通信ができなくなったという場合、その原因が、サーバーにあるのか、LAN内のネットワーク機器にあるのか、またはWAN側にあるのかなどを突き止めなければ、どの事業者にサポートを依頼すればよいのかもわからず、結果的に、復旧までに多くの時間を費やしてしまうことになります。しかし、WAN、固定/携帯電話網、データセンターといったICT環境全体の構築と運用を1社に依頼することができれば、障害の原因も早急に突き止めることができ、また、復旧も速やかに行えるようになります。
ワンポイント
ネットワークの冗長化は、一元的に運用・管理できるかが鍵
(2007年07月18日掲載)




