なぞることで、ミライに安心を。

ヒューマンエラー防止

慣れた作業や動作なのに、うっかりやってしまう人為的なミス、ヒューマンエラー。
なかでも、業務でメールを使うすべての人に起こりうるのがメールの誤送信です。
1万人以上のKDDI社員が使うメール誤送信抑止ツール「なぞり~な」を開発。
ヒューマンエラー防止に挑む開発エンジニアが見つめるミライとは。

KDDI研究所ネットワーク運用管理部門
サービス運用開発グループ

開発エンジニア中村 麻奈美(なかむら・まなみ)

うっかりミスが情報漏えいや大事故を引き起こす。

私が所属するサービス運用開発グループの役割は、ネットワークなどインフラを管理する部門のためのシステム開発。その中で、画面構成などのユーザーインターフェース(以下UI)や操作性を改善することで、いかにヒューマンエラーを防ぐかを開発テーマにしています。
慣れた作業や動作であるからこそ、確認を怠り、ついうっかりやってしまうミス。こうしたミスが情報漏えいや大きな事故を引き起こし、会社の信用を失墜させてしまうこともあります。ネットワークの役割が増大しているからこそ、ヒューマンエラーは許されないし、もっともっと追究しなくてはならないテーマではないでしょうか。

人は何を不便に感じるのか。
人間観察から、開発のヒントを見つける。

これまでに手掛けた中で印象に残っているのが、ネットワーク監視業務のプログラミング画面の改善をしたとき。黒背景に同じ大きさの白文字で書かれたソースコードがずっと並んでいるので、文字の大きさを変えたり、ところどころ色をつけたり。こうした変更や改善が画面への注意喚起を促し、ヒューマンエラーを防ぎます。
インフラを管理する部門の支援とはいっても、実際にその部門から依頼が来ることはほとんどありません。私自身が何を開発するか、まずは見つけてこないとならないのです。だから、何を不便に感じているか、さまざまな部門によく話を聞きに行きます。駅のタッチパネル式自動券売機で切符を購入している人や、スマホやタブレットに夢中になっている人をじっと見つめるなど、日々の人間観察から、そのヒントを探ることも多いですね。

子どもの頃の夢は?

保育士、監察医、整備士といろいろありましたが、一貫して変わらないのは、手に職を持ちたいという思いでした。

KDDIを選んだのはなぜ?

新しい価値観を世の中に提供できる会社だと思ったから。当時、ケータイをコミュニケーションツールとしてだけでなく、コンテンツサービスとしていち早く紹介したのがKDDIでした。

研究をしていて、一番うれしいときは?

自分がアイデアをだしたものが、最初にかたちになったとき。ユーザーから「使いやすくなった」などのポジティブな意見が聞こえてきたときは、さらにうれしいですね。否定的な意見であっても、ならばもっとがんばろうと思います。

休みの日は?

クロスバイクにハマってます。風をきって、街中を走るのが気持ちいいです。そのあとのビールも楽しみ。

正しくなぞると、赤から青へ。
ひらがなや会社名のフキダシも。

メール誤送信は、インフラ管理部門に関わらず、メールを業務に使う人誰にも身近なヒューマンエラーです。以前にも抑止ツールを担当したことはあるのですが、そのときは画面構成を見やすくつくりかえただけでした。もっと根本的に、誤送信を抑止できないか。メールアドレスをなぞるという行為で着実に確認できると考え、生まれたのがメール誤送信抑止ツール「なぞり~な」です。
通常のPCならマウスで、タッチパネルなら指先で、宛先に入れたメールアドレスをなぞると、なぞり箇所のアルファベットをひらがなか会社名に変換し、フキダシで表示します。さらに、メールアドレスの下にある矢印が、なぞったところは赤から青になります。確認ができないくらい、早すぎるなぞり方は×。一定のスピードできちんと確認すると、矢印が青になり、送信できるようになります。

面倒という声も。
手間は増えたが、メール誤送信は大幅に減少。

つづりに間違いがないか、誰もがやったことがある、なぞって確認する行為をメール送信に応用できないか。「なぞり~な」のアイデアは、そこから生まれました。出かけるときや就寝前、ガスの元栓や冷暖房、鍵閉めをしたかをチェックする、指さし確認もヒントになっています。
なぞることで、メールアドレスが合っているかしっかりと確認できるだけでなく、なぞる感覚がより安心感につながるのではないでしょうか。
今では、KDDIグループ全体で1万人以上の社員が利用していますが、開発当初の2014年夏頃はトライアルとして利用してくれる部門を見つけるのに苦労しました。いざトライアルが始まると、「面倒だ」という声も。また、本人がなぞって確認するだけでなく、第三者によるダブルチェックを必須とした場合、「ダブルチェック者にお願いするのが負担」という声もあがりました。
そこで、ダブルチェックやなぞり操作そのものを社外宛てだけにするなど、部門ごとでカスタマイズできるよう、改良を重ねました。なぞることによる手間は増えましたが、その後メール誤送信の件数は大幅に減少しました。今後の目標は、社内だけでなく、社外に向けた、世の中の価値観を変えるようなモノを開発すること。もちろん、ヒューマンエラー防止についても引き続き取り組んでいきたいです。

なぞって確認する操作は、メールだけでなく、他にもいろいろ利用できます。
例えば、ネットショッピングでの特記事項。
ざっと見もせずに確認ボタンを押してしまう人がほとんどではないでしょうか。
大切なところをなぞって確認すれば、万が一のトラブルはなくなります。
いずれ、多くの契約書がデジタル化されるでしょう。
重要な条文をなぞるようにすれば、安心して契約が結べるミライになりますね。

開発エンジニアになりたい
人たちへのメッセージ。

アイデアを出したものをつくれる楽しさは格別です。
実現するには、自分の力だけでなく、まわりの人の協力が不可欠。
エンジニアというと、黙々とつくっているイメージがありますが、
なにより大切なのはコミュニケーションです。

心の壁を
するっと乗り越える、
同期で一番の
ムードメーカー。

同期入社の中村さんとは、二人で海外旅行に行くくらいの仲良しです。私は人見知りなのですが、彼女は初めて会ったときからとても話しやすく、心の壁をするっと乗り越えてしまうような女性だなと感じました。同期の集まりでは、場を盛り立てるムードメーカー。彼女が率先してイベントの計画を立ててくれるおかげで、同期みんなとても仲がいいんです。明るくてさばさばしているのに、実は繊細なところも。聞き上手でもあるので、これからもユーザーの悩みや思いを聞き出して、解決するツールを次々に開発してくれると思います。

KDDI研究所 アプリケーションプラットフォームグループ中澤昌美

相手が誰でも
物怖じしない。
開発チームの
思いを一つにした
パワフルな女性。

「なぞり~な」開発チームのメンバーとして、中村さんと一緒にUI・操作方法の検討、導入部署探し、社内プロモーションを担当しました。とにかくパワフルで、肝の据わった女性です。相手の役職がずっと上であろうが、物怖じも緊張もすることなく、しっかり伝えるべきことを伝える。社内向けの展示会でも、とびぬけて説明が上手だったのが印象的です。
「なぞり~な」開発チームが思いを一つにして、仕事ができたのは、彼女の求心力があってこそ。唯一英語だけが苦手らしいのですが、ぜひ海外にも飛び出してほしいですね。

KDDI研究所 開発センター 開発マネージャー大木朱美