IoTを支える、ミライのネットワーク。

5G無線通信方式

4G LTEに次ぐ5番目の規格として、世界中で開発や実験が進む第5世代移動通信システム「5G」。
5Gでは、大容量高速通信が必要とされた4G LTEまでとは大きく異なる通信方式が求められます。
IoT(Internet of Things)時代の多様なニーズに適応する通信技術を研究。
5Gの根幹となる、新しい無線通信方式に挑む研究員が見つめるミライとは?

KDDI研究所
無線通信方式グループ

研究員橋本 典征(はしもと・のりゆき)

5Gの実現は、単なる通信の世代交代ではない。

5Gは、今の通信業界の最重要課題です。KDDI研究所の中でも、5Gに向けていくつものプロジェクトが進行しています。私も、2年前に研究所に配属になってすぐに、5G無線通信方式開発プロジェクトのメンバーになりました。
無線通信の世界では、10年ごとに新しいシステムが誕生しています。2010年頃から普及し始めた4G LTEの後継として、2020年を目指した5Gの開発が進んでいるわけですが、今回は単なる無線通信の世代交代ではありません。
5Gでは、大容量・高速の通信方式だけでなく、膨大な数のデバイスがインターネットでつながるIoT(Internet of Things)向けの通信方式が必要となります。
モノのインターネットとも呼ばれるIoT。世の中のあらゆる物体(モノ)に通信機能を持たせて、インターネット接続や相互通信をさせます。すると、多くのモノの遠隔操作や自動認識、自動計測などが可能となりますが、小さなデータのやり取りが莫大に増大し、大容量高速通信を得意とする4G LTEには適さなくなります。

限界間近!? 第4世代は小さなデータが苦手。

高速・大容量に適した4G LTEでは、あくまでも人が使うことを前提としています。そのため、高画質の動画を送受信したり、常時インターネットを接続したりといったものは得意なのですが、小さなデータをやり取りすることは苦手です。でも、IoTによってデバイスが大量に増えると、小さなデータのやり取りが増大します。
4G LTEで小さなデータをやり取りするということは、1個の飴玉を重箱に入れて送るようなもの。周波数リソースや消費電力のムダが発生しないよう、飴玉には飴玉に適した包装をすべきです。
通信の遅れにもつながります。0.1秒の遅延であっても、危険を察知するためのセンサーでは、それが致命傷となることも。触覚を伝える通信などでも、遅延があると、大きな違和感が生じます。
そこで私たちは、IoTなどの小さく膨大な数のデータを効率的に送受信し、低遅延・低消費電力を実現できる通信方式を研究。電波の波形の生成方法から見直し、IoT向け低消費電力、低遅延、かつ4G LTEよりも高速・大容量な通信との共存、これらすべての条件を満たす通信方式の開発に成功しました。

子どもの頃の夢は?

ゲームクリエイター。ドラゴンクエストのようなゲームをつくりたいと思ったのですが、高校生のときに無線通信やネットワークの技術に出会い、その道に進もうと決意しました。

KDDIを選んだのはなぜ?

ケータイが急成長した時期に思春期を迎えたためか、無線通信の技術やサービスに興味がありました。愛用機がauだったので、自然にKDDIを選んでいました。

KDDI研究所のいいところは?

あらゆるジャンルの専門家が近くにいるところ。この分野ならこの人、あの分野ならあの人と、気軽に話を聞くことができるのは、心強いですね。

休みの日は?

今はゴルフにハマっています。始めて2年で、100前後でコースを回れるようになりました。このあいだ、研究所のコンペにも参加しました。

未知のサービスや技術を想像する力が求められる。

通信方式の開発では、さまざまな評価・検証が必要になります。通信方式そのものだけでなく、5Gによって新たに生まれるサービスを想定し、その評価も行います。どんなサービスを想定し、どんな評価・検証をするか。開発の過程で、最も苦労したのはそこでした。
通信業界の進歩や移り変わりは速く、研究員には未知のサービスやこれからやってくる技術を想像する力が求められます。たいへんですが、研究のおもしろさも常に新しい技術に携われるところにありますね。
今はKDDIが開発した通信方式が国際規格となれるよう、5Gの国際規格を標準化する会議に向けて、準備をしているところです。通信方式がどうなるかによって、KDDIだけでなく、5Gそのもののサービスの可能性が大きく変わるので、そこは順調にいってほしいと願っています。

小さな成功の積み重ねが、研究のモチベーションに。

研究員といっても、研究、研究の毎日というわけではありません。発表や会議も多く、コミュニケーションスキルが求められる場面も多い。研究員にとってのやりがいは、自分の開発した技術が実際に動いているのを見ることですが、やった!と思える時はそれだけではないんです。
プログラミングや計算がうまくいった、想定した理論がぴったりハマった、想定していた通りの電波が生まれた、納得いく評価結果が出た、研究結果の発表で大きな反響があった……など、開発の過程でうれしい瞬間はたくさんある。もちろん、苦労や迷いもたくさんありますが、こうした小さな成功を積み重ねることが研究のモチベーションとなっていると感じます。
研究所を希望してKDDIに入社したのですが、入社後4年間はKDDI本社で携帯電話の基地局の開発を担当していました。正直最初のうちは、研究員でなかったことにがっかりもしたのですが、今思うとあの経験が社会人、研究員としての基盤となっているなと感じます。
今後の目標は、無線通信を通じて、多くのお客さまに新しい可能性を提案すること。5GによるIoTが実現し、通信できるモノが増えて情報が活用されることで、人々に恩恵を与えてくれるもっと多くのサービスが実現されると信じています。

2020年の東京オリンピック。
世界各国からやって来るたくさんのお客さまの国や目的に合わせて、表示板の案内を自動でパーソナライズ
空港からホテルまで、ホテルから競技場まで、ロボットたちがご案内。
さらに、警備や巡回など、セキュリティなどの安全面でも、IoTが大活躍。
5G無線通信がベースとなったIoTで、心からのおもてなしができるミライがやって来ます。

研究員になりたい
人たちへのメッセージ。

新しいことにどんどん取り組んでください。
そして、それを世界に発信してください。
その技術を使って、日本をもっと素晴らしい国にしましょう。

無線への情熱は研究所一では。次世代の無線通信を引っ張る存在に。

私と共に、5G無線方式のプロジェクトを引っ張ってくれています。夜遅くまで調べ物をしている日も多く、妥協をしない努力家で勉強熱心。無線に関する知識はチームでダントツです。メンバーに自分の意見を述べるときも、しっかり事前調査をし、根拠まで伝えるので、周囲からの信頼は厚いですね。研究成果の発表会でも、良い発表にこだわり、直前まで内容を練っていました。その甲斐あり、うちのチームが印象に残った発表の1位に選ばれたんですよ。
このプロジェクトに彼の知識とau 4G LTE基地局開発の経験は欠かせません。このまま知識を極めて、次世代の無線通信を引っ張っていってほしいですね。

KDDI研究所 無線通信方式グループ 研究主査柴山昌也

入社3年目で、彼が大プロジェクトをやり遂げたことは、私の誇り。

本社で基地局開発を担当していたときの上司が私です。私のアドバイスをいつも真摯に受けとめ、翌日からちゃんと実行する。こういうタイプは伸びるなと思いました。印象に残っているのは、新しい基地局の機能が効果的に良いサービスを提供できるか評価する、フィールドトライアルを入社3年目の彼に任せたこと。ツールの準備から評価結果の分析まで、初めての大プロジェクトを見事やり遂げたときは、上司として誇りに思いました。
今も、意欲的に仕事に取り組む姿は変わらないようで、たまに話すと私も大いに刺激を受けます。KDDIの事業に貢献する視点を持ち続ける研究者として、さらに成長を遂げると信じています。

KDDI コンシューママーケティング 2部戦略グループ宇佐美星治