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2012年度ステークホルダーダイアログ (人権・労働慣行)

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人権・労働慣行への取り組みとKDDIへの期待

人権・労働慣行の分野に詳しい2名の有識者をお招きし、「人権」と「労働慣行」をテーマに、KDDIの各担当者と活発な対話を行いました。

お招きした有識者の皆さま

写真: 株式会社損害保険ジャパン CSR部 上席顧問/ISO26000作業部会 エキスパート 関 正雄氏

株式会社損保保険ジャパン
CSR部 上席顧問/ISO26000作業部会
エキスパート
関 正雄氏

ダイバーシティ&キャリアアドバイザー 柴山 純氏

ダイバーシティ&キャリアアドバイザー
柴山 純氏

第1部 ダイバーシティの推進など、社会課題を先取りして取り組むべき活動とは

女性の活躍推進がダイバーシティ実現への第一歩

柴山: KDDIではダイバーシティの取り組みを重要課題に掲げられていることもあり、育児・介護との両立支援制度をはじめ、プログラムや研修など、整備されていると思います。これらの制度を全社員が活用するために取り組まれている内容をお聞かせ下さい。

KDDI: 私たちの課題は、社員にテレワークなど様々な制度を上手く組み合わせて活用するスキルを身に着けてもらい、最大のパフォーマンスをあげてもらえるよう推進すること、です。 また女性の活躍推進がうまくいっている企業は、他のダイバーシティの取り組みにも好影響があると言われており、今年は経営戦略として女性活躍推進に取り組んでいるところです。

写真: 柴山 純氏

柴山: 女性活躍推進で企業が悩まれている点は、制度や仕組みを整備しても、一部のトップタレントは上手く活用してキャリアアップしていく一方で、それ以外のボリューム層に拡がらないという話を伺います。そうしたボリューム層の方は、リーダーシップやキャリアアップという価値観が自分には無縁と思い込んでいるのです。ところがキャリアカウンセリングで話を伺うと、皆さん、それなりのキャリアを持たれている。それを気付かせる声の支援が必要な時期にきていると思います。
KDDIさんの場合、ダイバーシティ推進は成熟されているので、次のステージ、つまり、寄り添った支援が無いと進めないボリューム層を意識した取り組みが一つのポイントではないでしょうか。

KDDI: 当社の場合、制度は確実に整っており、部門によって若干差があるものの女性活躍推進も進んできている。しかし、ワーク・ライフ・バランスのワークの方に偏りがちな社員もいることが事実です。しかし、育児休職期間を短期間で終え、早めに復職してライン長を務める女性んもいる。前者の人が多くなれば、社内のワークライフバランスに対する理解も浸透する。ですから、自分のキャリアを将来に渡って会社に貢献していきたいという強い意志を持った人が、制度を良い方向で積極的に利用してもらいたいという思いがあります。

柴山: ボリューム層に対してトップタレントと同じアプローチをしても変化は起こりません。これらの方には、まずは一度、自分のライフに重点を置いてキャリアを振り返る機会を与える事、提供する機会を与えてあげることで、ワークが自分の人生にとってどのような意味を持つのか理解が変わると思います。それぞれの層のニーズに合わせた支援を社内のリソースを活用して、今までと違ったサポートをすることで、この先のダイバーシティ推進が進むと思います。

写真: 関 正雄氏

関: 育児・介護の両立支援制度でよく問題になることは、上司の制度に対する理解の低さです。 そこで、損保ジャパンでは、制度啓発の研修を上司と部下が一緒に出席するという啓発を試みていますが、まだまだ道のりが遠いということが本音です。

KDDI: 今おっしゃっていた上司と部下が一緒になって理解を深めるというのは非常に面白い取り組みだと感心しました。KDDIでは、育児休職者の復職者向けセミナーで、復帰する社員に対して、単に戻ってくるだけではなく、業務パフォーマンスを上げるために戻ってくることを伝えています。これは休職者向けにしかできておらず、上司と本人が、どのように仕事をしていくのかコミュニケーションをとる事は課題としてあがっています。 高い意識をもって復職してくる女性が多くなっているので、今後は、このような人が活躍できる事を考えていく必要があると思います。
今年度は、女性活躍推進の中でも特にライン長登用といったところにフォーカスをした取り組みをはじめました。会社の意思決定の場に女性が存在することで会社が変化すると考えているからです。今日、お話しを伺って気づいた事は、私たちはキャリアの側面だけで、この取り組みを進めようとしていましたが、個々のライフの側面も踏まえて、施策を進めていく必要があると感じました。

正規社員以外の待遇の従業員への対応

司会: KDDIの正規社員以外の待遇の従業員への対応の状況はいかがでしょう?

関: 非正規社員の方の中には非常に優秀な方がいる。本人が望んだ場合には、正規社員として登用する制度を作り、さらにその実績を作ることが大事だと思います。

写真: KDDI

KDDI: 欧州では正社員と非正社員の同一価値労働同賃金などが課題になっていますが、この問題は業務領域やキャリアが同じでない評価できないと思うのです。そういう点で、当社の場合、同じ職務領域で正社員と契約社員が入り混じっていることがない。日本の企業の多くは、同じような状況ではないでしょうか。

KDDI: 本体の社員の状況把握はできていますが、海外拠点のナショナルスタッフについては、正直なところ、殆ど状況を把握できていないことが事実です。 そこで、昨年度から海外の現地法人社員に対しても、本体同様に意識調査を実施し、状況把握をしています。また、国内のグループ会社においては、勤務体制や就業規則のある程度の統一など、一部取り組んでいる部分もありますが、各社の状況もさまざまですから、全て統一することは困難なのが事実です。
CSR活動含めて、グループ会社全体のコーポレート部門としての役割意識が今まで欠けていました。まさに、これからKDDIグループ全体の状況把握をするために、意見交換や方針の意識合わせもしていこうと思っています。

関: 会社によっていろいろな事情や違いはありますが、例えば、ある企業では、人権に関しては欧州が最高レベルにあるので、グループ全体の人権に関する推進はヨーロッパの法人が推進していくという手法をとっています。ですから、全て本体で推進するのではなく、グループ全体で考えることも一つの手段です。 また、国連の障害者権利条約は、障害者に障がいがあるのではなく、それを受け入れられない社会に障がいがあるという発想で作成され、聾学校や盲学校という場所ではなく、普通の小中学校で障害者の生徒が勉強できるように環境整備をしていく必要があるという考えです。そういう観点では、特例子会社というのはおかしい。この権利条約ができて、やがて日本もこのような考え方を取り入れていかなければならないと思います。

第2部 今後のグローバル展開を鑑み、人権問題で配慮すべき課題とは

人権デューディリジェンスの重要性

司会: 日本企業が急速なグローバル化を図っている今、日本企業が配慮すべき人権問題とはどのような点ですか?

関: 日本企業において人権問題とは、同和問題やセクシャルハラスメント、パワーハラスメントなどが中心です。グローバルな視点では、ラギーレポートで言われているような視点で企業は人権問題に取り組み、方針を定め、活動し、情報開示を行い、見直しを行うというPDCAサイクルを確立する必要があると思います。
アジアと欧州では民族も価値観も全く違う。単純に欧米だけの基準だけで決めるのではなく、視点を大きくとらえる必要もあります。

バリューチェーン全体を見通した人権への取り組みを

司会: KDDIでは、これらの人権に対して未然防止、または起こってしまった事象に対してすぐにキャッチアップしていくような制度・仕組みはどのようなものがありますか?

KDDI: 日本国内の取り組みとしては、内部通報制度を整え、申告窓口として企業倫理ヘルプライン、セクシャルハラスメント、パワーハラスメントのホットラインの2つを設置しています。事件が発生したときには、ひとつひとつを丁寧に対処するようにしています。 また、グローバルの取り組みの一環として、企業倫理ヘルプラインの適用範囲を海外グループ会社にも拡げています。経営に大きく影響を及ぼすような大きな問題はこれまで起こっていません。しかし、KDDIでは外国人の採用を増やしていますので、私たちが想定している以上に、人権問題が顕在化するかもしれないと、お話しを伺って思いました。

関: 人権問題は、社員だけではなく、消費者に対しても考える必要があります。KDDIの場合は、外国人のユーザーもいらっしゃる。ユーザーに対する配慮も必要です。 そして、本体だけでなく、自分たちが直接関わらないが影響を与える範囲、サプライチェーンやバリューチェーン全体に視野を広げなくてはならいとISO2600では言われています。この点もこれからは重要になってきます。

KDDI: 今までお話しを伺ってきて、当社の企業倫理委員会においては、PDCAマネジメント体制を構築しているものの、幅広い意味での人権リスクと向かっていませんでした。今後は、視野を広げ対応していく必要があると感じています。私たちのビジネスを継続し、発展するために要求される水準はどこなのかという点を見極め、方針、計画していきたいと思います。

関: KDDIにはさらに一歩先を行く取り組みを期待しています。新しい働き方を会社の強みとしてやっていくなど先進事例をぜひ作っていただきたい。それが結果的に日本企業全体のCSR活動の底上げにつながると思います。 人権に関しても、リスクを下げるだけではなく、バリューチェーン全体を見通したもっと広い取り組みを推進していただきたいと思います。

KDDI: お話しを伺い、改めてグローバルの視点で、自分たちが対応すべき範囲を明確にしていくことが課題だと感じました。また、我々の強みであるICTを生かした新しい働き方を生み出し、それを世の中に役立て、真の意味でワークライフバランスにも貢献していきたいと思います。 いろいろな意味で、KDDIが社会にとって存在価値のある企業になることが理想です。CSRは、経営そのものとしていく必要がありますので、今後の活動に反映させるよう努めていきます。

本日はありがとうございました。

KDDI

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