「CSR&アニュアルレポート2013」に対する第三者意見

写真: 株式会社インテグレックス 代表取締役社長 秋山 をね氏

株式会社インテグレックス
代表取締役社長
秋山 をね氏

慶應義塾大学経済学部卒業。ファイナンス修士。2001年に、SRI (社会責任投資) およびCSRの推進を行う株式会社インテグレックスを設立、代表取締役に就任。

1. 評価したい点

統合報告書を発行して2年目となる本年は、事業とCSRの融合をより意識し、アニュアルレポートとCSRレポートの「合冊」を超えた本来の「統合」報告を目指していることが感じられます。
冒頭の企業理念に続く「KDDIアウトライン」の「KDDIの成長基盤」では、同社の事業での強みに加え、「持続的な成長を支える基盤」として、明確にCSRの取り組みを位置づけており、「KDDIフィロソフィ」の根底にある経営とCSRの一体感が感じられます。また、「マネジメントメッセージ」では、業績と事業戦略の説明と共に、「KDDIフィロソフィ」の大切さと、そこにCSR経営の原点があると明確に語られています。
従来のアニュアルレポートのセグメント別活動報告においては、経済的価値に加えて、事業活動がどのような社会的価値を創り出しているかを「Social Value」としてまとめ、事業とCSRが一体であることを伝えるよう工夫しています。
「CSR」の報告では、本年も「CSR目標・実績・課題」を表示し、前年の取り組みに基づく課題を本年の目標として、活動の実績、評価、次年度の課題をまとめており、見直しを行いながら、取り組みが続けられていることがわかります。また、本年は、ISO26000の中核主題をテーマに計3回実施された有識者とのダイアログでの主な意見を掲載しています。
具体的な取り組みでは、特集1の「復興支援室」の活動は、事業の強みを活かして被災地を支援しようとするもので、社員公募で選ばれ、仮説住宅で生活しながら、グループや他社と連携して活動にあたる社員の心意気が印象的です。環境負荷低減と災害対策の両立を目指すトライブリッド基地局と基地局バッテリーの24時間化の拡大、災害時に備えた船上基地局の取り組みも興味深いものです。また、「見守り歩数計 Mi-Look」を使用した自治体への支援は、高齢化が進む社会の課題解決に貢献する取り組みといえます。

2. 期待したい点

ステークホルダーと対話し、各部署における目標設定の参考としていることは評価できます。今回は、ISO26000の中核主題をテーマにダイアログを実施し、各テーマの専門家からの意見を聞きました。それらの声を各部署で共有し、今後のより良い取り組みのために有効に活用されることを期待します。また、今後の取り組みにおいては、中核主題のうち、特に自社の事業に重大な関わりや影響を持つ分野を絞り込んで重点的に活動を進めるといったメリハリのきいた取り組みの展開も大切と考えられます。
マイナス情報について、「通信障害についてのお詫びと報告」にあるように、事業上の問題について報告していることは評価できますが、今年5月に報道された「LTE」の広告における対応サービスエリアの表示問題についての経緯や対応への説明もほしいところです。企業にとってのピンチはチャンスであると捉え、積極的な対応により、本当の意味でのKDDIファンを増やしていくことが望まれます。

3. 未来に向けて

ICTは、人と人、企業と企業、社会と企業を結ぶ (一円融合) ための情報通信機能といえ、社会のさまざまな課題解決にICTが果たし得る役割は大きいといえます。一方、「スマホ中毒・ネット依存」という言葉に表されるように、モバイル・ネットの進化・拡大と共に、新たな社会的な課題も生じています。
モバイル・ネット社会が生み出すメリットだけでなく、新たな社会的な課題すべてに対して積極果敢に取り組み (一円融合)、イノベーションにより持続的に成長をされることを期待します。

第三者意見を受けて

「日本のCSR経営元年」ともいわれる2003年から今年で10年、その節目の年に発行した報告書に、秋山様から「KDDIフィロソフィの根底にある経営とCSRの一体感が感じられる」とのご評価をいただき、大変嬉しく思っております。
とはいえ、KDDIフィロソフィの全社への浸透という意味では、ご指摘のありました「LTE」の広告における対応サービスエリアの表示問題などにみられるように、まだ課題も多く、地道な努力を継続していかなければならないと認識しています。

昨年度、当社はISO26000に沿った初めてのステークホルダーダイアログを実施致しました。全社を巻き込んで行ったダイアログは、我々の事業がサプライチェーンを通じ、世界の様々な国や人々と繋がっていることや、グローバルな視点で社会的責任を果たしていく使命があることに改めて気づかされるなど、大変実り多きものでした。
また、ダイアログに啓発された社員が、早速組織を超えて業務改善に取り組むなどの動きも出ており、第三者視点を採り入れた意見が当社の革新的な商品やサービスへと繋がる土台となりつつあります。
このダイアログで、企業が調査やデータ集積から独りよがりの「顧客ニーズ」を探し当てるのではなく、社会の課題と、その解決のためにとるべきアクションをステークホルダーの皆さまとじっくり話し合い、共に「価値創造」することの重要さを痛感致しました。

秋山様からもご提案頂いたように、震災復興、高齢化、デジタルディバイドなどの社会課題へのICTの果たす役割の大きさを認識し、そのご期待に沿えるよう、KDDIならではの新たな価値創造を目指し、実践していきたいと思います。

  • 「LTE」の広告における当社の対応については、web版で公開しております。
写真: KDDI株式会社 執行役員 コーポレート統括本部 総務・人事本部長 村本 伸一

KDDI株式会社 執行役員
コーポレート統括本部
総務・人事本部長
村本 伸一

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