マネジメントメッセージ

新たな事業分野へ挑戦し、
持続的な利益成長と
株主還元の強化を通じて、
企業価値のさらなる向上を目指します。

代表取締役社長 田中 孝司
2015年8月

01. 中期経営目標2年目を終えて

当社は、2014年3月期から2016年3月期までの3年間を「本格的な利益拡大フェーズ」と位置付け、「連結営業利益の毎期2桁成長」を中期経営目標として掲げています。

中期経営目標2年目である2015年3月期は、国内モバイル事業における「auモメンタムの持続」に加え、「新たな成長ステージを目指す」方針のもと、「au WALLETの開始」や「ミャンマー通信事業への参入」などの新たな取り組みにも着手した1年となりました。

業績面では、モバイルにおける通信料収入の増加と販売手数料の削減が、新たな事業成長に向けた先行コストなどのコスト増加を吸収し、連結営業利益は7,413億円 (前期比11.8%増) と、2期連続の2桁成長を達成することができました。

通期ベースでのau通信ARPU反転と好調なau純増数

この中期経営目標において、持続的な利益成長を牽引するのは、連結営業収益の7割強を占めるパーソナルセグメントのモバイル通信料収入の増加です。中期経営目標の初年度となる2014年3月期は、純増モメンタムは好調に推移していたものの、au通信ARPUは通期ベースでまだ下落局面にありました。そこで、2015年3月期は、今後の市場環境の変化を見据え、安定した利益成長を可能とするために、通期ベースでのau通信ARPU反転をコミットメントとして掲げました。

期初計画に織り込んでいなかった音声通話定額プラン導入による減収影響はあったものの、スマートフォン浸透率の上昇に伴う堅調なデータARPU上昇と毎月割設定額のコントロールにより、通期ベースでのau通信ARPUの反転を実現しました。当社のスマートフォン浸透率は、2015年3月期末の段階で54% (LTEに限定すると50%) となり、将来的には米国や韓国並みの70%超まで上昇すると想定しています。

また、au純増数は、期初から順調に増加、第4四半期の3ヶ月間では110万純増を記録するなど好調に推移し、通期296万純増 (前期比5.1%増) となりました。

通信業界を取り巻く環境の変化

2015年3月期は、日本の通信市場において、いくつかの大きな変化がありました。

1つ目は、NTT東西の光アクセス回線卸売を利用した競合他社による「モバイルと固定通信のセット割引 (バンドルサービス)」の開始です。

2つ目は、2015年5月以降に発売する機種を対象とした「SIMロック解除」です。

3つ目は、「MVNO市場の拡大」です。今後も新規参入が続くMVNO市場に対して、我々は、モバイルビジネス展開の意向を持つ企業をパートナーとして支援するための子会社「KDDIバリューイネイブラー株式会社 (以下、KVE)」を2014年9月に設立しました。MVNO事業を推進するKVEを経由してauの高品質なネットワークをパートナーに提供し、MVNO市場の発展および活性化に貢献することにより、KDDIグループとしての収益確保とスマートデバイス利用者の裾野拡大を両立させていきたいと考えています。

モバイルの競争力維持・強化

当社は、2015年3月期を迎えるにあたり、株式市場から2つの大きな懸念を抱かれていました。

1つ目は、2014年3月期第4四半期に起こったモバイル3社間における販売競争激化の再燃、2つ目は、競合他社による「モバイルと固定通信のセット割引 (バンドルサービス)」開始に伴うauモメンタムの低下でした。

結果として、auのモメンタムを測る上で特に重要視しているKPI (解約率、MNP純増、au純増数) はいずれも鈍化することはなく、各キャリアとも他キャリアからのユーザー獲得から自社ユーザーのリテンションをより一層強化する方向にシフトしたこともあり、競争環境は2014年3月期と比べて安定化した1年であったと見ています。

当社において、auスマートフォン契約者の50%、auひかり (FTTH) 契約者の60%が、解約率の低いauスマートバリュー (バンドルサービス) に契約中であり、この強固なお客さま基盤と、モバイルおよび固定通信の販売チャネルを通じた販売施策により、引き続き競争力の維持・強化を図っていきます。

なお、市場の同質化やMVNOの拡大など、競争環境は日々変化していることから、これらの競争環境への対応もスピード感を持って進めていく必要があると思っています。

  • ※1
    auスマートフォン契約者に占めるauスマートバリュー利用者の割合
    ※2
    auひかり契約者に占めるauスマートバリュー利用者の割合
    ※3
    2015年3月31日時点
    ※4
    2014年9月末時点のauスマートバリュー対象世帯数 (KDDI集計ベース)

新料金プランの導入

2015年3月期において、各キャリアは、スマートフォン利用者の拡大に対応したお客さまに対するデータ利用プランの選択肢増加と、スマートフォン1台当たりのデータ利用量増大に伴う収益拡大を目的として、「音声定額制+データ従量制」プランを発表し、当社も2014年8月に新料金プランを導入しました。

また、スマートフォン利用率が相対的に低いシニアおよびジュニア層向けの専用のスマートフォンと一般のスマートフォン料金に対して割安な料金プランを導入することで、スマートフォンへのシフトを促進しています。

02. 新たな成長ステージを目指して

このように、モバイルにおけるモメンタムの維持と着実な利益成長を達成する中で、当社は、2015年3月期を「新たな成長ステージを目指す1年」と位置付け、国内事業戦略の柱である「3M戦略 (マルチネットワーク・マルチデバイス・マルチユース)」の推進と、グローバル戦略の一環としての「ミャンマー通信事業への参入」などの取り組みを進めてまいりました。

マルチデバイス推進によるau通信ARPAの拡大

「3M戦略」の発表以降、フィーチャーフォンからスマートフォンへのシフトによるau通信ARPUの上昇と、モバイルと固定通信のバンドルを通じた契約数 (ID) の拡大を軸にモバイル通信料収入の成長を遂げてきました。

一方、2015年3月期は、マルチデバイス化が大きく進み始めた1年でもありました。2015年3月末時点のタブレット端末累計契約数は、スマートフォンとのセット販売キャンペーンなどにより、前年同期比2.5倍にまで拡大しました。

当社では、本格的なマルチデバイス化の推進に向け、モバイルにおける重要KPIとして、従来の一般端末ベースのau通信ARPUから、タブレット端末をはじめとするマルチデバイスの収入を反映した「au通信ARPA (Average Revenue Per Account)」に変更しました。

今後は、マルチデバイスの推進により、これまでの端末1台当たりの収入拡大からお客さま1人当たりの収入拡大を目指します。

  • ※5
    MVNOおよびプリぺイドを除くモバイル通信料収入÷au契約者数

マルチユース推進による付加価値ARPAの拡大

当社は、3M戦略における「マルチユース」の推進を通じて、通信料以外の新たな収益源となる付加価値売上の拡大にも積極的に取り組んでいます。今後は、さらにauのお客さま1人当たりの付加価値売上である「付加価値ARPA」の拡大を目指します。日本では、モバイルコンテンツサービスの決済手段としてキャリアビリングが浸透していますが、当社はこれまでこの決済プラットフォームを活用し、オンラインサービスでの付加価値売上の中核であるauスマートパス会員数の拡大を推進してきました。auスマートパスは、サービス自体が付加価値売上の増加に繋がることに加え、音楽・映像・電子書籍などの使い放題サービスへのアップセルに繋がるお客さま接点としても重要な役割を果たしており、2015年3月末時点における同サービスの会員数は1,289万会員、付加価値売上は1,249億円まで成長しました。

このようなauスマートパスをはじめとしたオンラインサービスに加えて、オフラインサービスによる付加価値売上を取り込む新たな決済プラットフォームとして、2014年5月21日より「au WALLET」サービスを開始しました。「au WALLET」は、auの各種ネットワークサービスを利用するための認証キーである「au ID」に、リアル店舗でも利用可能な決済機能を追加したプリペイド式の電子マネーカードです。

「au WALLET」は、MasterCard (R) との提携により世界3,810万店舗で利用可能であり、また、当社キャリアビリングサービスとの連携によりチャージの利便性も向上させています。早期にauのお客さまへの浸透率を高め、オフラインサービスにおける決済プラットフォームとして整備することにより、2大決済プラットフォームである「キャリアビリング (「auかんたん決済」)」と「au WALLET」を合わせた2017年3月期における流通総額1兆円超を目指しています。

グローバル戦略の推進

「国内事業におけるau経済圏の拡大」と並び、今後の成長戦略の柱として考えているグローバル事業においては、ミャンマー国営郵便・電気通信事業体 (MPT) との共同事業に係る契約を締結し、「ミャンマー通信事業への参入」を果たしました。

主要都市における通信品質の向上とエリア拡大、さらにコールセンター拡充などによる通信事業の基盤強化に加え、各種プロモーションや販売チャネル強化による顧客獲得も順調に進んでおり、2014年9月のMPTとの共同事業開始から約7ヶ月で累計800万枚を超えるSIMカード販売を達成しました。

同国の経済や産業の発展、国民生活の向上に貢献していくとともに、当社の成長戦略の柱となるよう注力してまいります。

03. キャッシュ・フロー・アロケーションと株主還元

設備投資とフリー・キャッシュ・フロー

2015年3月期の設備投資額は、LTEのエリア拡大・通信品質向上のための投資を継続的に進めたことに加えて、2014年3月期に連結化したJ:COMや好調なデータセンター事業などへの投資を進め、ほぼ期初計画通りの5,762億円 (前期比0.8%増) となりました。

2016年3月期においては、IFRSへの会計基準変更に伴うUQコミュニケーションズ株式会社の連結化影響650億円を含む総額6,000億円の設備投資を見込んでいます。なお、すでにLTEのエリア構築が一巡したことから、UQ連結化影響を除く既存ベースでは前期比で減少する計画となっています。

また、2015年3月期のフリー・キャッシュ・フローは、EBITDAの増加などにより、前期比618億円増加の2,877億円となりました。今後は、利益成長とともに安定的に創出されるキャッシュを、当社の成長領域への投資 (M&A) に積極的に活用し、新たな成長を実現してまいります。

株主還元方針

株主還元については、持続的な利益成長によるEPS成長とコミットメントである配当性向30%超の両立による増配継続を軸に、引き続き強化していく予定です。2015年3月期の1株当たり年間配当金は、前期比40円の増配となる170円 (※6)、連結配当性向は33.2%となり、13期連続の増配を実現しました。現行中期経営目標の最終年度である2016年3月期においても、連結配当性向30%超をコミットメントとして、利益成長に伴うEPS成長との相乗効果により、着実に増配を行う方針です。

  • ※6
    2015年4月1日効力発生の株式3分割を考慮しない額

04. 国際財務報告基準 (IFRS) の導入

当社グループは、2016年3月期からの国際財務報告基準 (IFRS) 導入を決定しました。これにより、今後グローバルにビジネスを展開していく上で、財務情報の国際的な比較可能性の向上を通じ、投資家をはじめとするさまざまなステークホルダーの皆さまに対し、より有用性の高い情報を提供することが可能になると考えています。

05. 企業人としての行動の原点、「KDDIフィロソフィ」の大切さ

KDDIには、社員が持つべき共通の考え方、行動規範を示した「KDDIフィロソフィ」があります。一人ひとりの個性を尊重するのは当然のことですが、志や倫理観の異なる社員ばかりでは、企業経営はうまくいきません。

当社は、社会インフラを担う企業として、いかなる状況下でも、安定した通信サービスを提供する社会的使命を背負っています。また、国民共有の貴重な財産である電波をお借りすることで成り立っている事業であり、全社員が心と行動をひとつにしなければその責務は到底果たしうるものではありません。

人々の幸せと社会の発展を願い、人として企業人として世の中にどんな価値を提供できるかを日々考え、共有し、信頼を強固にするためのフレームワーク、これが「KDDIフィロソフィ」であり、そこにCSR経営の原点があると私は考えています。

06. 最後に

3年間の中期経営目標の最終年度となる2016年3月期は、「連結営業利益の2桁成長」を目指すとともに、次の成長の柱を立ち上げる1年にしたいと考えています。

我々は、当社を取り巻く環境の変化に迅速に対応しながら、持続的な成長を実現しつつ新たな時代を先導していくために、成長戦略である「3M戦略」および「グローバル戦略」をより一層深化させ、信頼性の高いネットワーク、付加価値の高い商品・サービスの提供を通じて、企業価値の向上に取り組んでまいります。

KDDI

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