マネジメントメッセージ

お客さま体験価値を提供する
「ライフデザイン企業」への
変革を加速し、
持続的な利益成長と
株主還元の強化を通じて、
企業価値のさらなる向上を目指します。

代表取締役社長 田中 孝司
2017年9月

01. 2019年3月期に向けた中期目標初年度

当社は、2017年3月期から2019年3月期までの3年間の中期目標として、お客さま体験価値を提供する「ライフデザイン企業」への変革を掲げ、「国内通信事業の持続的成長」、「au経済圏の最大化」、「グローバル事業の積極展開」の3つの事業戦略に基づき、「持続的な利益成長と株主還元強化の両立」を目指しています。

中期目標のフレームワーク

持続的な利益成長と株主還元強化を両立

中期目標の初年度である2017年3月期は、国内通信事業におけるモバイル通信料収入の増加をはじめ、auのお客さま基盤をベースに通信以外のさまざまなサービスを提供するバリューセグメントや法人のお客さま向けに多様なソリューションサービスを提供するビジネスセグメントも好調に推移するなど、国内事業が増益を牽引しました。また、ライフデザイン企業への変革に向け、電力小売販売の開始や、金融サービスおよびコマースの大幅拡充など、ライフデザイン事業の強化にも注力しました。
この結果、業績面におきましては、売上高4兆7,483億円 (前期比6.3%増)、営業利益9,130億円 (前期比9.7%増) となり、中期目標の初年度として順調なスタートを切ることができました。

2017年3月期ハイライト

また、株主還元については、1株当たり配当金を前期比15円増配となる85円とし、配当性向は38.3%まで上昇しました。さらに、約1,000億円の自己株式取得も実施したことにより、総還元性向は56.5%となりました。

国内通信事業を取り巻く環境の変化

2017年3月期は、国内通信市場を取り巻く事業環境が大きく変化した1年でもありました。国内通信市場においては、モバイル各社が提供するサービスなどの同質化やMVNO (注1) 各社による格安SIMサービスの普及に加え、総務省による端末販売の適正化などに関するガイドライン施行などの制度面の変化もあり、モバイル各社が従来行ってきたビジネスモデルは大幅な見直しを迫られることとなりました。また、モバイル各社が新たな収益源の確保に向けて通信以外の分野へ事業領域を拡大する一方、MVNOの拡大に伴いさまざまな企業がモバイル市場に参入することで、業種の垣根を越えた競争の時代に突入しています。
こうした状況のもと、当社は、3つの事業戦略に沿って、さまざまな取り組みを着実に実行しました。

  • 注1)
    仮想移動体通信事業者 (Mobile Virtual Network Operator)

(1) 国内通信事業の持続的成長

国内通信事業においては、引き続き、お客さま数 (ID) およびお客さま1人当たり売上 (ARPA) の拡大を通じた通信料収入の最大化を目指していきます。
2016年3月期までの3年間は、フィーチャーフォンからスマートフォンへのシフトを背景に、国内事業戦略の柱である「3M戦略 (マルチネットワーク・マルチデバイス・マルチユース)」を具現化したサービス「auスマートバリュー (モバイルと固定通信のセット割引サービス)」および「auスマートパス (auスマートフォン向け付加価値サービス)」の推進により、お客さま基盤を拡大することができました。
しかし、2017年3月期に入ると、事業環境の変化などを背景にMNO3社間でのお客さまの流動が縮小するとともに、MVNO市場の拡大もあり、お客さま基盤の拡大は困難な状況となりました。このような環境変化を踏まえ、当社は、新たな取り組みに着手しました。

「モバイルID数」の拡大に向けて

MVNOの普及が進む市場環境への対応として、グループ会社のUQコミュニケーションズ株式会社や株式会社ジュピターテレコムなどがそれぞれUQ mobile、J:COM MOBILEのブランドで展開するMVNO事業において、各社それぞれの強みを活かした独自の取り組みにより、新たなお客さまの獲得に努めています。
また、お客さま基盤の拡充に向けて、2017年1月に、インターネット接続サービス事業やMVNO事業、FTTH事業などを展開しているビッグローブ株式会社を完全子会社化しました。これにより、グループ全体としてのお客さま数の増加と、新たなお客さま接点の獲得を実現しました。
こうした取り組みの結果、「au契約者数」とグループ会社の「MVNO契約数」を合算した「モバイルID数」は、前期末比約23万増となりました。引き続き、au + MVNOベースでの「モバイルID数」の拡大を図っていきます。

グループ全体でモバイルID数の増加を目指す

「auのリテンション強化」に向けて

中期目標の事業運営方針として掲げている「お客さま体験価値を提供するビジネスへの変革」に向けた取り組みのひとつとして、2016年8月より、auのお客さま向けの無料会員制プログラム「au STAR」を開始しました。au STARでは、長期的にauとお付き合いいただけるよう3つの特典を用意しており、そのうち、長期利用特典「au STARロイヤル」では、auのご利用年数とデータ定額料に応じて、毎月「WALLET ポイント」を還元いたします。この「WALLET ポイント」をau経済圏において循環させることにより、auのリテンション強化とau経済圏の最大化を図っていきます。
また、お客さまサポートの面においても、ご自宅への訪問もしくは電話と遠隔操作により快適なご利用をお手伝いするサービス「auスマートサポート」の提供など、auならではの充実したお客さまサポートに注力しました。

さらに、2017年7月には、auのお客さまのMVNO市場への流出対策として、新料金プランの提供を開始しました。安価な月額料金を志向されるお客さまや、データ利用状況に関係なく端末を長期間利用されるお客さまを中心に、幅広い層にとってメリットを享受していただけるプランであり、auのリテンション強化につながることを期待しています。
今後も、お客さまに選んでいただける企業となるため、こうした取り組みを着実に推進していくことにより、お客さま体験価値の提供に努めていきます。

田中社長

IoTを活用する新たなビジネスの創出

今後の成長分野であるIoTへの取り組みにも注力しています。2016年6月に、トヨタ自動車株式会社とコネクティッドカーに関するパートナーシップ協定を締結しました。現在は、高品質で安定した通信をグローバル規模で提供するための「グローバル通信プラットフォーム」の構築を進めており、他の事業者さまも利用可能なオープンプラットフォームとして、普及を目指します。
また、IoTを活用した新たなサービスの提供も開始しました。例えば、2017年2月に発表した「KDDI IoTクラウド ~トイレ節水管理~」は、人感センサーなどの活用により、水量を自動コントロールすることで、トイレの節水管理を可能とします。

法人のお客さまビジネスへの貢献

さらに、IoT時代における通信事業者としての新たなビジネスモデル構築に向けて、さまざまな基盤の整備も行いました。クラウドの導入設計から早期構築、保守までを一貫して行うクラウド関連事業などに強みを持つアイレット株式会社の連結化や、データアナリティクスにおいて豊富な知見を有するアクセンチュア株式会社との合弁で株式会社ARISE analyticsを設立するなど、IoTビジネスの本格展開に向けた準備を着実に進めています。
あらゆるモノとインターネットがつながるIoT時代の到来に向け、当社グループの総力を結集し、IoTを活用する新たなビジネスの創出を推進することで、あらゆる産業分野における法人のお客さまの事業成長に貢献していきたいと考えています。

(2) au経済圏の最大化

これまでは、国内モバイル市場の拡大やスマートフォン浸透率の上昇を背景に、厳しい競争環境の中でも大幅な利益成長を実現してまいりましたが、その牽引役であった国内通信事業が安定成長期に移行する中で、通信以外の領域において新たな成長軸を確立させるために、「au経済圏の最大化」を目指しています。当社は、その実現のために、厳格な本人確認を通じてご契約いただいているauの強固なお客さま基盤と決済プラットフォーム (auかんたん決済、au WALLET) をベースに、日常生活に密着するさまざまなサービスを、お客さまのライフステージに応じて総合的に提案するライフデザイン事業を本格展開していきます。なお、お客さまとのタッチポイントにおいては、オンラインの「auスマートパス」「au STAR」とオフラインの実店舗である「auショップ」を保有しており、さらなる強化を通じた「オムニチャネル化」を推進していきます。

au経済圏の最大化に向けて

au経済圏流通総額2兆円超に向けて

2017年3月末に、「auスマートパス (注2)」会員数が1,500万を突破し、「au WALLET (プリペイドカード+クレジットカード)」のカード発行枚数は2,000万枚超まで拡大しました。

  • 注2)
    auスマートパス + auスマートパスプレミアム

オフラインの決済手段の導入により、決済手数料収入を拡大

また、au経済圏の拡大に向けたライフデザイン事業の強化として、2016年4月の電力小売自由化に伴い提供を開始した「auでんき」、グループ企業との連携によるauブランドの金融サービス「auのほけん・ローン」、さらに、物販においても、当社が厳選したプレミアムな商品を提供する「au WALLET Market」、2016年3月に連結化したジュピターショップチャンネル株式会社によるTVショッピングサービス、新たなショッピングモール「Wowma!」などのさまざまなライフデザインサービスを新たに展開するとともに、さまざまなサービスと「WALLET ポイント」の連携も推進しました。
「WALLET ポイント」は、au携帯電話をはじめとする通信料金の支払いや「au STARロイヤル」による毎月の還元に加え、「au WALLET」によるお買い物代金の支払いに応じた還元など、あらゆる機会を通じて貯まっていきます。そして、貯まったポイントは、auの端末購入や通信料金の支払いに加えて、au WALLET クレジットカードの請求額への充当や、au WALLET プリペイドカードにチャージし、MasterCard (R) 加盟店世界約4,330万店舗 (注3) において現金同様にご利用いただくことも可能です。利便性の高いWALLET ポイントを、お客さまのさまざまな生活シーンでご利用いただき、au経済圏の中での好循環の創出を図ることにより、au経済圏流通総額の拡大につなげていきたいと考えています。

WALLET ポイントの還流によるau経済圏の拡大

以上の取り組みの結果、2017年3月期のau経済圏流通総額は1兆2,800億円となり、計画を上回る順調な推移となりました。
引き続き、魅力あるサービスの拡充と提案に努め、2019年3月期におけるau経済圏流通総額2兆円超の達成を目指します。

  • 注3)
    (出典) 店舗数: Nilson Report 2016年9月号。一部、利用不可の店舗あり

au経済圏流通総額

(3) グローバル事業の積極展開

国内市場における長期的な課題である、少子高齢化・人口減少の進行に伴う市場規模の縮小を見据え、グローバル事業を新たな成長軸として確立させる必要があると考えています。
当社のグローバル事業は、主に新興国において個人のお客さま向けに通信事業を展開する「グローバルコンシューマ事業」と、データセンターを核とし、全世界を結ぶ大容量かつ信頼性の高いネットワーク、ICT環境を提供するシステムインテグレーションを一括で海外の法人のお客さまに提供する「グローバルICT事業」の2つを主力事業として展開しています。
2017年3月期においては、期初の想定を上回る円高の影響に加え、今後の成長が見込めないと判断した一部の低採算事業を整理したことなどにより、グローバル事業は前期比で減収減益となったものの、新たな成長軸の確立に向けた取り組みを着実に推進しました。

グローバル事業の積極展開に向けて

新興国における通信事業の発展に向けた取り組み

2014年に参入したミャンマー通信事業においては、日本で培ったコンシューマ事業の経験や技術を活用することにより、携帯電話基地局の増設、高速データ通信ネットワークのエリア拡大、エリア最適化による通信品質の向上などに取り組みました。こうした取り組みの結果、ミャンマー国営郵便・電気通信事業体 (MPT) との共同事業運営契約締結時 (2014年7月末) に約600万加入であったモバイル契約者数は、約2,400万加入 (2017年6月時点) まで増加し、ARPUについても、競合他社との競争激化に伴い下落傾向が続いていた状況から、2017年3月期以降は安定化傾向にあります。
さらに、2017年5月に、新たに割り当てられた1.8GHz帯を用いて、ミャンマーの通信事業者としては初の4×4MIMO対応LTEサービスを開始しました。まず、ミャンマー3大都市であるヤンゴン・マンダレー・ネピドーにおいてサービスを開始しており、同9月末までに全国の主要30都市を提供エリアとしてカバーする予定です。ミャンマーでは、SNSや動画配信サービスの利用ニーズが高まってきており、高速通信の特性を活かしたリッチコンテンツの普及によるデータARPU上昇効果を期待しています。
モンゴル通信事業においても、連結子会社のMobiComCorporation LLC (モビコム) において、2016年5月に首都ウランバートル市内で4G LTEサービスを開始するなど、成長に向けた取り組みを推進しています。
引き続き、ミャンマーおよびモンゴルにおいて、お客さまから選ばれ続ける現地No.1の総合通信事業者を目指すとともに、成長余地のあるアジア新興国をターゲットエリアとして、新たなビジネスチャンスを求めていきます。

欧州を中心としたデータセンター事業の基盤強化・拡充

世界13の国・地域、24都市、48拠点で展開している「TELEHOUSE (テレハウス)」ブランドのデータセンター事業は、最高水準の接続性・高信頼性・高品質を誇るデータセンターとして、国内外のお客さまより大変高い評価をいただいています。特に、ロンドンにおいては、イギリス最大級の接続数を誇るデータセンターを運営しており、最新鋭の環境技術を導入した「TELEHOUSE LONDON Docklands North Two」を2016年11月に全面開業するなど、事業基盤の強化・拡充を図りました。
引き続き、特に競争力ある欧州でのサービスを中心に、高品質サービスの提供を推進していきます。

田中社長

02. 中期目標2年目「ライフデザイン企業」に向けて変革を加速

中期目標2年目である2018年3月期は、3つの事業戦略をさらに推進し、「ライフデザイン企業への変革」を加速させていきます。

中期目標1-2年目のポイント

2018年3月期の営業利益予想は、前期比4.1%増益となる9,500億円としており、中期目標で掲げているCAGR (年平均成長率) +7%を下回りますが、これは、持続的成長に向けた戦略的コストと位置づける総額約500億円を計画に織り込んでいることに起因しています。その主な使途としては、国内モバイル事業における大幅な環境変化を踏まえ、auのさらなるリテンション強化に取り組むほか、ライフデザイン企業への変革に向け、コマース事業の強化や販路改革などにも本格的に取り組む予定です。
当社は、2019年3月期までの中期目標の達成に加え、2020年3月期以降においても持続的成長を実現していくために、環境変化に迅速に対応しつつ、必要な施策を講じていきます。

営業利益

キャッシュ・アロケーションと株主還元方針

キャッシュの使途については、持続的な利益成長を実現するための成長投資を最優先に考えており、競争力の維持・強化を目的とした設備投資と、今後の新たな成長軸と位置づけている「au経済圏の最大化」および「グローバル事業の積極展開」に資するM&Aを中心に、着実に実施していきます。
2018年3月期においては、LTEの品質向上およびエリア拡大を中心に5,300億円の設備投資を見込んでおり、中期的にも同水準でコントロールしていくつもりです。
一方、事業成長に向けたM&Aについては、2019年3月期までの「3年間累計5,000億円規模」に基づき、さまざまな領域においてグループの競争力を強化するために、M&Aや業務提携を積極的に推進し、新たなノウハウの獲得やお客さま基盤の拡大などを図っています。引き続き、あらゆる成長機会やリスク要素などを見極めた上で投資判断を行っていきます。

ライフデザイン事業における提携・出資

「株主還元」については、財務面の健全性を維持しつつ、安定的な配当を継続していくことを会社の基本方針としています。2019年3月期までの3年間においては、配当性向「35%超」を最低限のコミットメントとして、持続的な利益成長に伴うEPS成長との相乗効果により、今後も増配を継続していきます。2018年3月期は、前期比5円増配・配当性向39.2%となる1株当たり年間配当金90円を予定しており、16期連続増配を目指します。
また、成長投資とのバランスに応じた自己株式の取得も実施していきます。2018年3月期は、2期連続となる1,000億円の自己株式取得を発表しています。なお、自己株式については、発行済株式総数の5%を目安とし、超過分については定期的に消却する方針としており、2017年5月17日に、発行済株式総数に対する「1.27%」相当を消却しました。

1株当たり配当金

03. CSR経営の原点が「KDDIフィロソフィ」です

KDDIは、「KDDIフィロソフィ」の実践を通じて、すべてのステークホルダーの皆さまから愛され、信頼される企業を目指しています。KDDIには、社会インフラを担う通信事業者として、24時間365日いかなる状況でも、安定したサービスを提供する重要な社会的使命があります。通信事業は、電波など国民共有の貴重な財産をお借りすることで成り立っているだけに、社会が抱えるさまざまな課題に対しても、高い志を持って、貢献していく社会的責任があると認識しています。このような企業としての姿勢、従業員の持つべき考え方をまとめたものが「KDDIフィロソフィ」であり、そこにCSR経営の原点があると私は考えています。
また近年、事業のグローバル展開を積極的に進めていく中で、各事業部門の連携強化とシナジー発揮のために、全従業員が共通の価値観を持って行動することが不可欠であると実感しています。KDDIは2013年の改定を機に、本フィロソフィの浸透に向けて、国内外の従業員に向けて啓発活動を行っています。今後も「KDDIフィロソフィ」を全従業員が共有し、一丸となって使命を遂行することでCSR経営を推進していきます。

04. 最後に

2018年3月期も、中期目標の達成に向けた施策を着実に実行し、引き続き「増収増益」を目指します。
我々は、当社を取り巻く事業環境が厳しさを増す中においても、持続的成長に向けて果敢に挑戦し、お客さまの期待を超える体験価値を提供する「ライフデザイン企業」への変革を加速させていきます。これまで以上にスピード感をもって、全社が一丸となって取り組んでいくことにより、引き続き企業価値の向上を目指していきます。

KDDI株式会社 代表取締役社長

田中孝司

KDDI

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