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光ファイバーを使用する放送信号統合デジタル光伝送システムの開発について
〜 日本で初めて、地上デジタル放送のデジタル信号による光ファイバー伝送を実用化 〜

No. 2005-258

KDDI株式会社
株式会社KDDI研究所

2005年11月17日

KDDIとKDDI研究所 (埼玉県ふじみ野市、所長: 浅見徹) は、地上デジタルテレビジョン放送番組ならびに地上アナログテレビジョン放送番組の中継伝送 (STL (注1)/TTL (注2)) に加え、番組素材の中継伝送 (TSL (注3)) を1本の光ファイバーで統合して行なう放送信号統合デジタル光伝送システムを開発しました。地上デジタルテレビジョン放送番組をデジタル信号のまま光ファイバーによりデジタル伝送する装置は、日本で初めての実用化となります。
本システムを使用したSTLは、放送大学学園の放送番組中継回線の一部として実用が予定されています。また、本システムは、11月16日より幕張メッセで開催される2005国際放送機器展 (InterBEE2005) で展示します。

●1. 開発の背景
現在、テレビ放送では、スタジオで制作された放送番組を送信所まで伝送する放送番組中継回線 (STL) や、送信所からサテライト送信所まで伝送する放送番組中継回線 (TTL) に、マイクロ波帯を中心とする無線伝送路等を使用しています。一方、近年、県庁所在地等の都市部では、高層ビルの建設によって送信所までの無線伝搬環境が悪化する可能性が考えられ、また自然災害などによる中継拠点の被害は、支線のサテライト送信所がカバーする地域に重大な影響を及ぼすことが予想されるため、放送信号伝送のためのバックアップ (冗長) 伝送経路の確保が重要となっています。さらに、取材現場からスタジオまでニュース映像等の番組素材の映像情報を伝送するための番組素材中継回線 (TSL) においても、ハイビジョン画質の映像伝送を経済的に行うことが求められるようになってきています。
また、光通信インフラの整備が急激に進んでいることから、重要回線の確保のため、経路バックアップ回線として光ファイバー網を活用することが有効と考えられます。そこで、この度、1本の光ファイバーで、地上デジタルテレビジョン放送番組ならびに地上アナログテレビジョン放送番組の中継伝送回線 (STL/TTL) に加え、番組素材の中継伝送回線 (TSL) を構築することができる放送信号統合デジタル光伝送システムを開発しました。これにより、信頼度の高いSTL/TTLやTSLを経済的に構築することができるようになります。

●2. 「地上放送信号統合デジタル伝送システム」について
本システムは、地上デジタルテレビジョン放送番組中継伝送 (デジタル放送STL/TTL) を行なうためのTS式 (注4) のデジタルTS送受信器、地上アナログテレビジョン放送番組中継伝送 (アナログ放送STL/TTL) やデジタル番組素材中継伝送 (TSL) を行うためのシリアルデジタル送受信器の2種類の光送受信器、これらの光送受信器の光信号を波長分割多重するための波長合分波器 (WDM-MUX) 、光信号を増幅中継するための光増幅器および各部を遠隔監視するための監視装置から構成されます。本システムは、1本の光ファイバーで最大32チャンネルのデジタル放送信号の伝送が可能であり、上記の2種類の光伝送装置と伝送方向を自由に組み合わせることが可能です。また、光増幅器を組合せることによって、光損失が大きな光ファイバー線路でも無中継の伝送システムを構築できるほか (0.35dB/km光損失換算光ファイバー線路で100km以上の無中継伝送が可能)、光分岐や中継を伴うネットワークトポロジーでも柔軟に対応することができます。以下に構成の一例を示します。

STL区間において、スタジオから送信所に向けて地上デジタルテレビジョン放送番組1本と地上アナログテレビジョン放送番組1本を伝送し、逆に送信所からスタジオまでは複数本の番組素材の中継伝送 (TSL) を行うことができます (添付図参照)。
TTL区間において、放送局様 (番組) 毎に専用の光波長を使用することで、それぞれ独立に複数の放送事業者様共同で1本の光ファイバーを利用して頂くことができます。

(1)  STL/TTL光送受信器
本装置は、地上デジタルテレビジョン放送番組中継回線 (STL/TTL) に必要とされる放送TS信号、OFDM変調用の同期クロック信号、フレーム同期信号および遠隔制御連絡信号を1つの光信号で同時に伝送する機能を持った光デジタル伝送装置で、以下の特長があります。

財団法人電波産業会 (ARIB) 標準規格STD-B31に準拠しており、マイクロ回線用のSTL/TTL装置 (64QAM変復調器) のインタフェースとの互換性を確保しています。したがって、マイクロ回線と光ファイバーを併用したSTL/TTLを容易に構築することができます。
本来の光通信方式であるデジタル (バイナリ符号) 方式を採用しているため、STL用64QAM変調波信号を光アナログ方式で伝送する方式と異なり、光回線状態 (光反射等) に影響されることなく、良好な伝送品質を得ることが可能です。
放送局様 (番組) 毎に専用の光信号を使用するため、独立 (非同期) した伝送が可能となり、また装置の保守性に優れています。

(2)  シリアルデジタル光送受信器
本装置は、マルチスタンダードのシリアルデジタルビデオ信号 (SD-SDIおよびDVB-ASIに対応、HD-SDIは対応予定) を伝送可能な光伝送装置であり、番組素材中継回線 (TSL) 用としてご利用いただけます。また、地上アナログテレビジョン放送番組信号をSD-SDI等のシリアルデジタル信号に変換することでアナログSTL/TTLを構築することができます。また、本装置はSDIパソロジカル (SDIチェックフィールド) 信号などの低周波数成分信号も伝送できるようになっており、低域周波数遮断特性を有する光増幅器を使用しても良好な性能が得られます。

●3. 商用化について
地上放送事業者を対象に、本システムや本システムを使用した伝送サービス (光ファイバ線路、回線監視・保守込) の提供を予定しています。
なお、2006年度中に、放送大学学園へ、本システムのSTLの機能を使用した伝送サービスを提供する予定です。

●4. その他
11月16日〜18日に幕張メッセで開催される2005国際放送機器展 (InterBEE2005) において、本システムの動態展示 (KDDI研究所ブース: 小間番号6107) を行います。

注1)  STL (Studio to Transmitter Link):
放送局のスタジオと送信所を結び放送信号を伝送するための回線

注2)  TTL (Transmitter to Transmitter Link):
送信所と送信所を結び放送信号を伝送するための回線

注3)  TSL (Transmitter to Studio Link):
現場やFPU (注5) からの映像信号を放送スタジオへ中継するための回線

注4)  TS式:
デジタル放送を電波として送出するために必要となる信号を伝送し、送信先の放送送信所において受信した信号からデジタル放送波を生成してこれを送出する方式。

注5)  FPU (Field Pick-up Unit):
映像信号を放送スタジオまたはTSLへ伝送するための無線回線



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