青森県青森市の新町商店街において子育て世代を対象とした商店街ツアーを実施
~慶應義塾大学「コ・モビリティ社会の創成プロジェクト」の取り組み~

慶應義塾大学コ・モビリティ社会研究センター
大日本印刷株式会社
KDDI株式会社
青森市
青森市中心市街地活性化協議会 (まちなかマーケティング市民委員会)

2009年12月1日

慶應義塾大学コ・モビリティ社会研究センター (注1) (以下慶應義塾) は、同大学の「コ・モビリティ社会の創成プロジェクト」(注2) の一環として、大日本印刷株式会社 (注3) (以下DNP)、KDDI株式会社 (注4) (以下KDDI)、と共同で、青森県青森市 (注5) (以下青森市)、青森市中心市街地活性化協議会 (注6) (以下青森中活協) の協力の元、「コミュニティ形成支援」のための子育て商店街ツアーを12月4日に青森市で実施します。

  • 注1) センター長: 川嶋 弘尚 (理工学部教授)、所在地: 神奈川県川崎市
  • 注2) 慶應義塾大学「コ・モビリティ社会の創成」
    担当責任者: 金子 郁容 慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科教授
  • 注3) 代表取締役社長 北島 義俊、本社: 東京都新宿区
  • 注4) 代表取締役社長兼会長 小野寺 正 本社: 東京都千代田区
  • 注5) 青森県青森市 市長 鹿内博
  • 注6) 青森市中心市街地活性化協議会 青森まちなかマーケティング委員会 代表 工藤 健 小山内 世喜子

●1. 背景

中心市街地は、都市における経済の中心であり、同時に最も人々が賑わう場所です。そうした青森市の中心市街地の魅力を高めるために、昨年度、慶應義塾は、青森中活協と協力し、青森市の中心市街地の生活価値の調査分析「まちなかハッピネス調査: (別紙参照)」を進めてきました。今年度は、分析によって明らかになった生活価値の中で、重要性が高いがニーズへの対応が不十分である、子育て世代を取り巻く生活価値の向上に焦点を当てて活動を進めています。

2009年7月より、青森中活協関係者と、子育てサークル「こもも」(注7) が集まり定期的に議論を重ね、子育て世代向けへのサービスについて検討してきました。これまでの議論の中で、子育て世代を取り巻く生活価値の向上には、「中心市街地の魅力の発信と共有」、「子を連れた親の移動に対する、物理的、心理的負担の減少」が重要になってくることが明らかとなりました。

  • 注7) 子育てオーダーメイド・サポートこもも 代表 橋本歩

●2. ツアーの内容・特色

「まちなか子育てツアー (別紙参照)」は、子育て世代のお母さんを対象としたもので、これまで商店街が取り組んできた「逸品お店回り」ツアーを子育て世代のお母さん向けにアレンジしたものです。中心市街地の魅力を発信するとともに、ツアーの企画の過程で、中心市街地関係者の子育て世代向けサービスに対する認識を高めてもらう狙いがあります。
商店街ツアーの企画・実施にあたって、「中心市街地の魅力の発信と共有」を促進するために、「情報クリッピングシステム」(DNP提供) と「実空間透視ケータイ」(KDDI提供) の2つのアプリケーションを、実験的に導入します (別紙参照)。
「情報クリッピングシステム」は、位置情報を自動で取得し、その位置に関連する写真やコメントを表示することができます。ツアーを企画した、まちなかマーケティング市民委員会やこもものメンバーは、その機能を使い、まちなかのお薦めスポット情報 (106ヶ所) をマップ上に掲載し、ツアー企画の参考にしました。商店街ツアー時、参加者はKDDIの貸与携帯を持ち、「情報クリッピングシステム」のアプリケーションを起動してツアーに参加します。お薦めスポットに来ると、携帯が振動し、お薦め情報があることを伝えます。この機能は、将来的には、商店街ツアー以外でも使われる予定です。
「実空間透視ケータイ」は、KDDIが研究開発した携帯端末を使った技術で、利用者の立つ現在地の周辺に存在するまちなかのお薦めスポット情報を、携帯端末の画面をかざすだけで表示できるようにしました。技術的には、内蔵されたセンサにより、端末の傾きや方位を検知し、端末を中心とする方向・距離感に適合した表示方法により、写真やアイコンの形で対象を高速に描画します。この機能 (アプリケーション) は、直感的に周囲の状況を把握する上で効果的なユーザ・インタフェースと考えられ、今後は様々な局面でのまちあるきや、地理情報と結びついた各種のコンテンツを利用者に知らせる手段として広く活用する可能性が期待されます。

●3. 今後期待される取り組み

慶應義塾と青森市、青森中活協は今後、このたびの商店街ツアーの来春以降の継続に向けた準備をすると共に、まちなかの子育て世代向けサービス課題の検討、子育て世代向けまちなかマップの作成、「情報クリッピングシステム」や「実空間透視ケータイ」を活用した中心市街地の情報発信などに取り組んでいきます。

さらに慶應義塾は今後、このたびの取り組みで得た成果をもとに、本事業をはじめとして、他のいくつかの自治体等との共同研究や最先端の情報システム・移動体システムの研究を進め、子どもから高齢者までが盛んな交流ができ、自由に移動できる、安心安全で活発なコミュニティを作ることを目指した『コ・モビリティ社会の創成』のための社会基盤の構築に取り組んでいきます。 また、DNP、KDDIは、今回のプロジェクトに参加協力することにより、IT・ネットワークを中心としたソリューションとして、子育て・福祉分野に貢献していきます。

商店街ツアーに関する詳細は別紙を併せてご参照下さい。

〈参考〉

「コ・モビリティ社会」とはコミュニティ (地域社会) やコミュニケーション (情報伝達)、(共同) などをあらわす「コ」と、移動 (モビリティ) を合わせた造語で、すべての人が自由に安全に移動でき、交流しやすい社会のことです。

本企画は、文部科学省科学技術振興調整費における「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」(注8) により実施しており、最先端の情報・通信・移動体の技術を活用して、子育て世代と青森中活協関係者 (「まちなかマーケティング市民委員会」や「新町商店街青年部」) のコミュニティを形成し、中心市街地の子育て世代に対するサービス創出を支援し、子育て世代を商店街に多く呼びこむことで、コミュニティのつながりを実感できる商店街と、子育て環境の実現を目指すものです。

  • 注8) 文部科学省「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」プログラムは、イノベーションの創出を可能とし、次世代を担う研究者・技術者を育成する機能を備えたシステムを実現することを通じて、10~15年後に新たな産業の芽となる先端技術を確立するものです。
  • ※ ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。
    商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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