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2016年4月から施行された『女性活躍推進法 (女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)』では、301人以上の労働者を雇用する企業すべてに、女性活躍促進のための行動計画策定、届出、従業員への周知・公表などが義務付けられました (300人以下の企業は努力義務)。この法律で、企業が何をしなければならないのか、ポイントをまとめました。
現在の大きな社会問題の一つとして少子高齢化による労働力人口の減少が挙げられます。労働力人口の減少はすでに始まっており、今後、さらに減少スピードが加速していくことが予測され、日本の経済力低下は避けられないのが実情です。このような状況の中、労働力減少に歯止めをかける切り札として期待されているのが、『女性』の労働力なのです。
下図は平成25年度の性別・年齢別の就業率を示したグラフです。
女性の労働力人口比率が20代後半~30代に低下する傾向がお分かりになるかと思います。仕事のキャリアも重ね、今後の活躍が期待される一方、結婚・出産・育児などを理由として離職や休職を余儀なくされている人がまだまだ多く、それがこの年齢層の女性の労働力低下に結びついているのです。このような、働きたいのに働けない層 (就業希望者層) を『潜在的労働力』と呼び、この数が特に多い女性が働きやすい勤務体系や職場のルール環境を作り上げることで、『潜在的労働力』を労働力化したいというのが、『女性活躍推進法』の設立目的の一つとなっているのです。
そもそも、女性の社会進出が叫ばれるようになったのは、高度経済成長期。当時はウーマンリブという言葉が産まれ、女性にも男性と同じ権利を求める運動が起こりました。1986年には『男女雇用機会均等法』が施行。それまでは、同じ職場でも男性と女性が果たす役割や待遇が異なることが当然でしたが、それを見直し、女性が働くために不利な環境を是正することが目的の法律でした。
『男女雇用機会均等法』の成立から30年が経過した今。未だに職場によっては男女差があるということも多いでしょう。長時間労働を是とする、休暇が取りにくいなどの職場風土のため、男性優位な職場環境になってしまっている会社もあるかもしれません。
しかし近年、そもそもこのような働き方に疑問を呈する主張が増えてきています。
それが、多様な人材の活用を目指す"ダイバーシティ"や、多様な働き方を実現しようとする"ワークライフバランス"を大切にしようという考え方です。このような考えを推進し、今まで以上に女性が活躍できるための環境を作ることを目指したことが『女性活躍推進法』のもう一つの設立目的になります。
『女性活躍推進法』の成立により、301人以上の労働者 (注) を雇用する企業には、次の3つのことを実施する義務が生じました (300人以下の企業は努力義務)。
この3項目を達成することは、女性活躍を推進するためのステップになっています。まず現状把握と分析を行い、それに応じた行動計画の作成、実行、そして届出、最後に情報公開という流れになります。では順を追って具体的な内容を見てみましょう。
●ステップ1: 状況把握と課題分析
まず取り組まなければならないことは、社内の状況把握です。『自社の女性の活躍状況を把握し、課題分析』を行う必要があります。下記の4つの項目は、『基礎項目』とされており、最低限この項目については正確な数字を知る必要があります。そして、調査の結果、著しい男女差が見られた場合、その理由を分析しなければなりません。
さらに、社内制度についても把握する必要があります。就業規則、評価制度、キャリアプランなどが整備されているか、また整備されているだけではなく、利用度とその男女差まで把握すべきだとされています。つまり『制度がある』ことにとどまらず、『制度がどれだけ社内で認知されており、利用されているか』まで踏みこんで把握することが求められているのです。
●ステップ2: 行動計画の策定、社内周知、公表
ステップ1での状況把握、分析を踏まえて、どの様に改善するかを具体的な行動計画として作成します。計画策定には、厚生労働省が提供する『行動計画策定支援ツール』を利用するのも便利です。
行動計画は、絵に描いた餅に終わらないよう期限を設定し、社内の誰が主導権を取ってプロジェクトとして進めていくかまで決めなければなりません。加えて、その内容を社内に周知徹底していくことが求められています。
そして、作成した行動計画は『都道府県労働局』に届け出る必要があります。
●ステップ3: 女性の活躍に関する状況の情報の公表
女性活躍推進のために社内で整備している制度やその利用状況、女性管理職の割合などを社外に広く公表しなければなりません。具体的には、企業ウェブサイトへの掲載、採用メディア (求人サイトなど) への掲載などが必要になります。
『女性活躍推進法』の思想の大元には、"男女を問わず誰にとっても働きやすい環境を作る"という考え方があります。男女の別なく家事や育児、介護などにかかわりやすくなることで、より豊かな生活を送ることを実現できる職場環境が求められているのです。企業規模の大小にかかわらず、取り組んでいく必要がある重要な課題です。
一方で、ITサービスの普及により、さまざまな形での働き方ができるようになるなど"女性が活躍できる職場"の実現が難しくなくなってきていることも事実です。次回コラムでは、『女性活躍推進法』で義務付けられた事項に沿って取り組むことで、どのように女性が活躍しやすい環境を作ることができるのか、ITサービスを活用した、より具体的な事例を紹介していきます。