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前回コラムでは、2016年4月から施行された『女性活躍推進法』の設立背景やその概要を紹介しました。今回は、この法令に沿って取り組むことで、特に女性が活躍しやすい環境をどのように作ることができるのか、ある企業での具体的な取り組みを紹介します。
女性の"働きにくさ"を考えた時、大きな問題になるのが、妊娠~出産~育児の時期です。子どもができるまでは、時間的に男性と働く条件に差がないことが多いでしょう。しかし、出産を期にどうしても時間的な制約ができてしまいます。仮に子供を保育園に入れることができて早々に職場復帰できたとしても、以前とまったく同じ働き方は困難です。朝夕の送り迎えはもちろん、日中に子どもが熱を出せば、早退せざるを得ない状況も大いに考えられるからです。
しかし、そのような時間的制約を持たざるを得ない女性社員が自身の能力を最大限発揮できる職場環境でなければ、女性の活躍は促進されないのです。そういった環境を整えるのは企業の責任であり、それを義務付けたのが今回の法律です。
これまで、一部の大企業では、福利厚生として子育て支援制度が充実しているケースがありました。しかし今後は、301名以上の従業員がいる企業ならば必ず (300名以下の規模の企業でも努力目標として) 女性の活躍推進に具体的に取り組むことが求められています。これは法で決められた企業の義務ではありますが、女性の活躍を促すことで、全体的に生産性向上を促すものとなることも期待されているのです。
女性活躍推進のためには、産休、育休などの制度面だけではなく、働き方を変えていかなければなりません。社員間で業務を共有したり引き継いだりしやすい仕組み、在宅勤務など場所を問わずに働きやすい環境作りなどが、これからの企業には求められています。
IT機器販売業A社の場合を例にケーススタディを紹介します。
まずはA社の課題から見ていきましょう。
<課題>
A社では、7割の女性社員が30歳半ばを前に退職しています。貴重な人材の損失と認識し、役員レベルで問題を共有。課題解決のため、前コラムで触れた『女性活躍推進法』で義務付けられているポイントに沿って、状況把握と課題分析をすすめ、行動計画を策定していくことにしました。
<調査・分析>
育児休業制度をはじめ、出産、育児に関する制度は充実しています。しかし、その制度が利用されず、退職につながっている背景には、『全社的な長時間労働体質』があるということが分かりました。
<取り組み方法>
社内に、女性活躍を念頭に置いた"働き方改革プロジェクト"を発足。徹底的な長時間労働是正をはじめとして、働き方の変革に着手することにしました。その活動内容としては、『制度+仕組み』の両輪でプロジェクトを成功させようというものでした。
まず、制度面の整備を実施。社内の労働環境の意識改革を目的としたフレックスタイム制や在宅勤務制度、裁量労働制などを導入しました。そして役員や管理職が率先してこれらの制度を活用したり、有給休暇を取得したりすることで、『使える制度』であることを社内にアピールし、社員の利用度を上げていきました。
次に仕組みの面。制度化した、フレックスタイム制や在宅勤務制度などを現場でも活用できる環境作りに着手しました。
例えば在宅勤務を実施する場合、以下のような課題が想定されましたが、これらへの対応には、ITツールを使った仕組み作りが有効でした。
ではこれらの課題を解決するために、A社ではどのような取り組みをしたのでしょうか?
具体的な事例で見ていきましょう。
■解決策となるツール・サービス
『女性活躍推進法』への取り組みでは、目標設定とそれに基づく行動計画の策定が義務付けられています。しかし義務を順守することにとらわれ過ぎるのではなく、労働生産性の向上や働きやすく離職しにくい職場作りなど大きな観点から取り組むことをおすすめします。