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売上向上のためにモノやサービスの付加価値を高める方法と事例を紹介している本シリーズ。
前回は、卸売業D社が取り組んだ、配送状況の可視化により顧客との信頼関係強化を実現させた事例についてご紹介しました。今回は、顧客満足度向上に成功したホテル業E社の事例を取り上げ、課題解決のために行った具体的な施策についてご紹介します。
近隣県に複数の旅館・ホテルなどの宿泊施設を展開しているE社。丁寧な接客でゲストをもてなすのがE社のモットーでしたが、社員から「ここ数年、スタッフがお客さまとゆっくり会話をする時間が減ってしまった」という報告が上がりました。もっと接客時間を増やしてきめ細かなサービスを提供することで顧客への満足度を高め、リピート顧客を増やしていきたいという思いから、E社はまず現状把握を開始することにしました。
さまざまな部門のスタッフから話を聞いてみると、『接客時間が減ってしまった』理由が見えてきました。
理由のひとつは、人件費削減のため、スタッフが減少したことでした。このため、事務や経理、売店業務、フロントと、複数の業務を兼任しながらシフトをこなす必要が生じました。スタッフは接客と事務業務を両立させねばならず、負荷が増大していました。
特にシフト管理業務は、それぞれの稼働時間を細かく把握して給与に反映させる必要があるため、負荷の高い事務作業でした。
このためスタッフが事務室にこもる時間が増えてしまい、思うように接客の時間が取れないという課題が生じていたのです。
元々E社では、特に接客面におけるスタッフ教育に注力してきました。スタッフたちは接客マナーの向上セミナーや観光情報の勉強会などに参加し、日々接客スキルを高めていたにも関わらず、何か聞きたそうなゲストを見かけても忙しさのあまり見て見ぬふりをせざるをえない…というジレンマに陥っていたのです。
事務仕事を軽減できれば、接客の時間をより創出でき、スタッフの接客力を最大限に発揮できると気付いたE社。そこで、煩雑化していたシフト管理業務の見直しと、接客教育の強化に着手しました。
さまざまな部門のスタッフが、フロントスタッフを兼任しなくてはならない現状で、大きな問題となっていたシフト管理やスケジュール管理などの勤怠報告事務。E社は、スマートフォンやタブレットから数タップで簡単に出勤、退勤、休憩始め、休憩終わりを報告・スケジュール共有できる仕組みを導入することにしました。これにより、紙で行っていたシフトやスケジュール管理に比べて、大幅に効率化。月に換算して2営業日かかっていた事務処理が、2時間程度に短縮できました。
■解決策となるツール・サービス
スタッフ同士の情報交換のため、チャットやウェブ会議ができるツールを導入。ロビーと駐車場など離れた場所にいても来客状況を即時チャットで連絡したり、複数の施設間でウェブ会議を行ったりするなど、コミュニケーションが取りやすくなりました。結果、スタッフ間の連携が密になり、チームワーク力もアップしていきました。
■解決策となるツール・サービス
スマートフォンやタブレットから、接客マニュアルやスキルアップセミナーの動画などをいつでもすぐに確認できる環境を整えたことで、スタッフが空き時間に学習できるようになりました。これによりスタッフが空き時間に学習できる環境を整えました。また、最新の観光情報などもツールにアップしておくことで、ゲストに聞かれた質問に対しその場で資料を確認して回答するといった使い方もでき、よりよい『おもてなし』を実現。お客さまからも「丁寧に接客してもらえてよかった」「スタッフ教育が行き届いていて気持ちが良い」といった好評価をいただけるようになりました。
■解決策となるツール・サービス
事務処理の時間を削減し、ホテル業にとって大切な接客の時間を創出したE社。スタッフの接客品質という付加価値を高めることで、多くのお客さまから「次回もまた泊まりたい」と高い評価をいただき、指名予約されるホテルへの第一歩を踏み出しました。
口コミの広まりにより今後の集客力もアップも大いに期待できると考えています。
すぐに活用できるヒント満載。自社商品・サービスの価値を上げ、他社に差をつけるための具体的な事例もご紹介します。