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日本は自然災害が多い国だと言われます。特に地震は、世界中で起こるマグニチュード6.0以上の地震のうち、約20%が日本で起こっているという統計 (注) もあります。また、台風や大雨による河川の氾濫など、近年、被害が続いており、企業として平常時からのBCP (事業継続計画) の周到な準備が求められています。
阪神淡路大震災や熊本地震、東日本大震災、中越地震などの地震災害、2019年の台風19号による被害、2015年の東北豪雨での鬼怒川の氾濫など、大きな被害があった災害の記憶はまだ生々しいものです。世界的にも自然災害による経済損失の増加は話題となっており、その対策は企業の重要課題の一つです。復興において、企業がいち早く事業を再開することは大切です。被災からの生活の再建には、『仕事の再建』も含まれています。被害にあった方も、以前と同様に仕事ができることで、生活の復興につながります。
企業の災害からの復興、事業継続のために『BCP (事業継続計画)』を定めている企業が増えてきました。BCPでは、社屋や倉庫、店舗などが被害にあいにくいよう耐震補強をする、水害に耐えられるような防止措置を施すといったところから、電子データの保護、実際に被災後にどのように事業を再開するかを細かく設定しますが、そのなかで『従業員の安否確認』『従業員とのコミュニケーション』も重要視されています。災害発生時にまず安否の確認ができれば、会社として被災した従業員を支援することもできます。
関東地方に展開する医薬品卸 E社 | 従業員数600名 8支社を展開 |
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課題: 同業のL社が2011年の長野県北部地震で被災。従業員との連絡が取れず、事業再開に時間を要したという話を聞き、対策を考えている。
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E社は医薬品卸として、50年の歴史がある会社です。東日本大震災は経験しましたが、幸い大きな被害はありませんでした。しかし、2011年の長野県北部地震で取引がある新潟県の医薬品卸会社であるL社が被災しました。被災したL社は、社屋や倉庫の被害は小さかったものの、従業員の安否確認ができず、事業を再開したくても従業員との連絡が滞っていたそうです。結果として、事業の再開は遅れてしまったのですが、その話を聞いて、E社では自社の災害時の対策を検討することにしました。
BCPの策定と並行して行われたのが、スマートフォンの配布と非常時の連絡のルール化でした。身の安全を確保したら、スマートフォンでも活用できる「災害用伝言板」サービス、従業員用のSNSなどで、いち早く安否確認の連絡をすること。社長もすぐに会社の状況を知らせ、事業の再開方針が決まったら、SNSで通知することなどが定められました。
災害時対応をきっかけに、スマートフォンを活用した社内での連絡も活発になりました。万一の時に使い方が分からないのでは困るということで、日常の情報交換、連絡もスマートフォンのメッセージアプリやSNSで行うようにしたからです。
E社社長は「万一のときにこそ、医薬品の流通を早期に回復させる必要がある。これはライフラインの一つだ」と宣言し、積極的にBCPへの取り組みを行っています。
2016年4月に発生した熊本地震の際、安否確認、被災地間、被災地と自治体の連絡手段として、市長自らSNSで被災者に情報発信を行う、また被災者同士がSNSで情報共有しあうなど、SNSの活用に注目が集まりました。
企業側としても、災害にあった際の社内の連絡手段を決めておくといいでしょう。SNSの他にも、スマートフォンを会社で導入している場合は、法人向けメッセージアプリを活用すれば、登録している全社員に連絡の一斉送信と既読・未読も確認取れるため便利です。
被災後の事業復興に向け、BCPを策定している企業の割合は、業種によって差があります。卸売業、小売業は全体として低い傾向であり、これから積極的に取り組む必要があります。各自治体でも、BCP策定のガイドライン、アドバイスを行っています。
災害から会社を守り、復興させることは、会社を守るだけでなく、従業員やその家族、地域を守ることにつながります。ぜひ、できることから始めてください。
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