通信が
つなげられるものは、
まだまだある。

通信の進化が
かなえるもの

技術統括本部
技術企画本部 技術戦略部

黒澤 葉子

"遠く離れた人と、そばにいるようにつながれる"。そんな通信の力に惹かれ、KDDIへ入社。一貫して技術開発に携わり、3Gから5Gに至るまで3世代に渡るモバイル通信システムの開発を担当。現在は5Gを超える"Beyond 5G"の開発とその活用に取り組む。

新世代の通信で
"ワクワク"を届けたい

初めて携帯電話を使ったとき、初めて通信システムの世代がアップデートされたとき、多くの人が「すごい!」「早い!」と驚いたはず。私たちは、そんな"ワクワク感"を今後もお客さまに感じていただけるような技術を研究・開発し、発信しています。いま、5G (第5世代移動通信システム) が普及しつつありますが、私たちが着手しているのは、次世代の6Gを見据え、5Gをさらに高度化した"Beyond 5G"の開発です。

さらなる高速・大容量、多接続を目指すことでどんなサービスや用途が可能になるのか、私たちも想像つかないことも多くあります。しかし、通信の発達やスマホの普及によってSNSや動画サービスが発展したように、革新的なサービスは通信環境の進化に基づいて生み出されるものです。

私たちが担うのは、そうしたサービスやアプリの開発者が、創造力や技術を制限なく発揮できるような通信システムを作っていくこと。真のイノベーションとは、通信技術とサービスがともに成長してこそ生み出されるものだと考えています。

地域課題にも役立つ、新しい通信の力

SDGsとも密接にかかわりのある「Society 5.0」の推進には、まず5Gネットワークの普及と整備が不可欠です。私たちは5Gサービスを開始するにあたり、全国さまざまな地域で多様なユースケースを想定した実証実験を行いました。5Gによって、都市部はもちろん、高齢化や人材不足といった地方の社会課題解決もお手伝いできると考えています。

たとえば福島県の酒蔵との協業では、もろみ熟成の管理に4K映像での遠隔監視を利用して効率化を図ったり、北海道の競走馬の育成モニタとして8Kライブ映像をドローンから5Gで伝送したりと、これまでにないコラボレーションも実施しました。

5Gの普及が進めば、さらに多彩なサービスが広がっていくでしょう。5G以上のポテンシャルを秘めているBeyond 5Gや6Gも、身近なものとなる日が一日でも早く来るように研究を進めていきたいですね。

目指すべきは、
サステナブルな技術開発

これからの時代に必要なのは、便利なだけではなく、持続可能な社会を見据えた技術を開発すること。スマホなどの通信機器は使えば使うほど電力を消費するのが当たり前とされていますが、スペックは向上しつつも消費エネルギーを抑えられたら、まさに一大イノベーションです。すぐに開発するのは難しくとも、いまできる範囲で技術開発を進めていくことで、その目標に近づけるのではないかと考えています。

基地局の電力として太陽光発電や水素電池など比較的環境に優しいエネルギーを利用することもその取り組みの一つです。災害などで停電したときも使えるので、ネットワークの強靭化にも寄与する可能性があります。今後も国内外の最新動向にも注目しながら、KDDIが取り組むべき新規技術の導入を進めていきます。

また通信技術を利用する際の適切な環境づくりにも努めています。東京医科歯科大学とスマホ依存の調査と解明を行ったり、国際電気通信基礎技術研究所や株式会社XNefとともに脳神経科学とAIを活用したスマホ依存を改善・予防するアプリの開発を進めたりしています。通信を取り巻く技術や環境を含め、サステナビリティを志向していきたいと考えています。

通信が起こすイノベーションをこれからも

これまでの通信の発達によって、できるようになったことは数多くあります。私の身近にいる聴覚に障がいを持つ方は、携帯電話でメールが使えるようになってコミュニケーションが格段に取りやすくなりました。安倍政権時代に打ち出された"一億総活躍社会"のように、一人ひとりのポテンシャルが最大限に活かせる社会づくりに通信の力を役立てたいと考えています。

もちろん今の通信の技術ではまだ難しい部分もあります。コロナ禍で会議や飲み会などがオンラインで行われるようになりましたが、いざやってみると「やはり実際に会うのとは違う」と感じた人も多いのではないでしょうか。Beyond 5Gや6Gの世界では、新しいつながり方を見出していきたいと考えています。

人は誰かとのつながりなしに存在できるものではありません。私自身、人と人とをつなぐ通信の力に感動してKDDIに入りました。これからも、人と人とをつなぐ通信の技術をさらに進化させ、新しいライフスタイルを提案していきたいです。

  • 所属・内容等は取材当時のものです。