選手にも、ファンにも、
新しい体験を。

学生スポーツを支えていく

パーソナル事業本部 サービス統括本部
5G・xRサービス戦略部

三堀 大祐

スポーツビジネスの仕事を志望し、2020年にKDDIへ転職。5GやAR (拡張現実) やMR (複合現実) といったXR (クロスリアリティ) 技術を用いて、スポーツの新たな楽しみ方を提案している。同時に選手とファンがつながり、支え合う世界の実現を目指す。

5GとXRで近未来を感じてほしい

5G・xRサービス戦略部の役割は、5Gならではのサービスをお客さまとともにつくり、それを大勢の方に身近な存在として実感してもらうことです。5Gが実用化されて間もない今、映画やゲームの中の世界が目の前で繰り広げられるような、これまで見たことのない体験を通して、超高速・低遅延・大容量通信の価値や、ワクワクする可能性を届けたいのです。

特に私が注力しているのは、スポーツにおける5Gの活用です。2021年に、横浜DeNAベイスターズと連携して、「ベイスターズプライムカメラ powered by au 5G(β版)」アプリを開発しました。これは、球場内に設置された10台以上のカメラを、お客さま自身が自由に切り替えながら試合を観戦できるというもので、5Gの特性をうまく活かせた事例です。その他にも、名古屋グランパスエイトや京都サンガF.C.とも協力して、5G・ARを使った新しい観戦体験のあり方をお届けしてきました。

これまでに、プロスポーツチームやスポーツ団体を中心に、5G活用の可能性を模索してきましたが、最近新たに取り組んでいるのが、大学スポーツ協会 (UNIVAS) との連携です。野球やバレーボールなど、UNIVASが保有する全28競技の大学スポーツの試合映像を、ライブやアーカイブで視聴できるアプリ「UNIVAS Plus」の提供を開始しました。

このサービスの背景にあるのは、新型コロナウイルス感染症の流行です。スポーツに打ち込む学生の活動の場が制限されていたり、無観客試合が続くことがあったりと、スポーツファンとの間にも隔たりが生まれているという課題がありました。先行きが見えない中ですが、映像によるコミュニケーションを実現することで、選手とファンとの新しいつながり方を生み出していけるのではと考えています。

スポーツの新しい楽しみ方を

UNIVASとの協業は映像配信に限ったものではありません。今後は試合映像だけではなく、学生自身が撮った練習風景などのコンテンツを増やす予定です。また、これらのコンテンツに対し、映像を視聴したファンの方が「いいね」とリアクションしたり、メッセージを送れたりするなど、双方向性のあるサービス開発を前向きに進めています。

また、ファンから学生に経済的な支援を届ける仕組みも構想しています。大学ごとのスポーツにかける予算の違いもありますし、学生も一人ひとり経済状況が異なるため、環境に左右され思うような練習ができない場合も、少なくないのです。そこで、声援を送るというアクションが、学生の具体的な支援につながる仕組みづくりを検討しています。

一般的には、プロスポーツのほうが大きく注目されがちですが、日本全体でスポーツが盛り上がるためには、学生スポーツの存在は欠かすことができません。KDDIがさまざまなサービスを提供することで学生スポーツが充実し、次世代、さらにその次の世代へとつながっていくきっかけになることを私たちは目指しています。

また、XR技術やIoTに強みを持つKDDIであれば、学生が自らの競技レベルを向上するためのサポ―トもできます。例えば、横浜DeNAベイスターズの事例のように、競技場に多数のカメラを設置し、さまざまな角度からプレーを視聴できると、ファンが楽しめるだけでなく、学生が自身のプレーの振り返りに役立てることができます。他にも、IoTセンサーを埋め込んだボールを利用することで球速や回転数などを「見える化」し、ピッチングの改善につなげることもできます。こうした取り組みはすでにプロスポーツチームと始めており、ノウハウを蓄積しているところです。

小さい頃に感じた熱狂を次の世代へ届ける

そもそもKDDIに入社した理由は、スポーツビジネスへの関心からでした。私は幼い頃からJリーグのファンで、よく超満員のスタジアムに足を運んでは選手とファンが発する熱気に活力をもらっていました。中学に入ると、今度は自分が人に活力を与えられる存在になりたいという想いを持つように。そこから社会人になっても、その気持ちが変わることはなかったのですが、前職ではスポーツと違う分野の業務に携わっていました。そんなときに、KDDIの募集を見て、私がこれまで培ってきたITのスキルとKDDIの技術を掛け合わせることで、スポーツを盛り上げることができるのではと、転職を決意しました。

スポーツを通して、活き活きとした日本へ

一度でもスタジアムを訪れたことがある人は、あの場の熱狂がいかに貴重なものだったのか、肌身で感じているのではないかと思います。

私がバーチャルな場で同じような熱狂をつくることはできないだろうかと試行錯誤しているのも、同じ理由です。5Gのネットワークや最新のXR技術をスポーツと掛け合わせることで多くの人に活力を与えられるのだと、自らの体験から確信しています。今後もプロや学生といった枠にとらわれず、あらゆる世代やカテゴリーを横断できるようなサービスを開発して、スポーツを応援していきたいと思います。アフターコロナも見据えつつ、リアルとバーチャルをつないでスポーツの盛り上がりをつくること。そして今まで以上に多くの人をワクワクさせる世界を理想として、走り続けます。

  • 所属・内容等は取材当時のものです。