2020年3月期決算説明会 (決算ハイライト・質疑応答)

日時 2020年5月14日 (木) 17:00-18:00
場所 KDDIホール (東京都千代田区大手町)
登壇者 髙橋社長、東海林専務、村本専務、森専務、森田常務、雨宮常務、吉村技術統括本部長、最勝寺経営管理本部長、本郷IR室長 (司会)

決算ハイライト

決算説明会の模様

決算説明会では、「新型コロナウイルス感染症対応」、「2020年3月期連結業績ハイライト」、「事業戦略」、「2021年3月期業績予想」の4点について、社長の髙橋より説明しました。

1. 新型コロナウイルス感染症対応

新型コロナウイルス感染症により、亡くなられた方に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、罹患された方、不安で辛い日々を過ごされているすべての皆さまに心からお見舞い申し上げます。また、感染拡大防止にご尽力されている皆さまには深く感謝申し上げます。当社は通信事業者としての責務を果たすとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に努めてまいります。

当社は、会社の目指す姿に「社会の持続的な成長に貢献する」ことを掲げ、2030年へ向けた目標、「KDDI Sustainable Action」を策定いたしました。この目標に基づき、ライフラインを支える企業として重点的に取り組む、「新型コロナウイルス感染症対応基本方針」を定めました。
[1] お客さまおよび従業員の安全、[2] 通信サービスの維持、[3] 政府・自治体への協力など、[4] DX推進によるレジリエントな社会基盤の構築、[5] 生活の不安低減、の5つです。

この基本方針に基づき、既に様々な取組みを実施しており、引き続き事業を通じて社会と生活の安定に貢献してまいります。

2. 2020年3月期連結業績ハイライト

2020年3月期 (2019年4月~2020年3月) の連結売上高は5兆2,372億円、連結営業利益は1兆252億円となり、売上高、営業利益ともに期初予想を上回り、増収増益を達成しております。

成長領域であるライフデザイン領域が330億円、ビジネスセグメントが254億円の増益となり、引き続き業績を牽引しています。一方でミャンマーの決算期変更や3G加速償却などの一時的減益要因168億円に加えて、その他としてau PAYキャンペーン関連費や新型コロナウイルス感染症の影響を見据えた減損などを計上し、連結営業利益は対前年比で115億円の増加となりました。

今後も持続的成長に向け、着実に事業を推進してまいります。

3. 事業戦略

【1】パーソナルセグメント
「グループID×エンゲージメント×総合ARPU」の最大化を目指し、今期はあらためて「エンゲージメント」を中心に据えて戦略を推進しております。エンゲージメントとはお客さまとの信頼関係であり、エンゲージメントが向上すれば、当社サービスの利用頻度が上昇し、解約率の改善、グループID・総合ARPU向上につながります。
エンゲージメントの指標としてNPSの向上に継続して取り組んでおり、お客さまとの接点が増加すればNPSが向上する相関関係があります。通信とライフデザインのさまざまなサービスを重ね合わせ、お客さま接点の拡大に継続して取り組んでまいります。

お客さま接点拡大の中心に位置付けている「au PAY」については、本年2月から3月にかけてキャンペーンを実施し、au以外のお客さまにも多くご利用いただいた結果、認知度が大きく上昇し、決済件数は2倍超となりました。キャンペーン終了後もお客さまのご利用を定着させる取り組みを実施しており、引き続き決済件数が伸びております。また5月末よりau WALLET ポイントとPontaポイントを統合し、国内最大級の1億超となる会員基盤が誕生します。

グループ全体でのID基盤強化に向けて、グループのブランドを活用したお客さまの流出の抑止、流動性の高いMVNO市場からグループ会社への新規獲得を強化いたします。また、5Gの高品質な通信や体験価値等を訴求し、auへのアップセルによるグループ内循環構造を確立してモメンタムの強化を目指してまいります。
このグループ戦略を加速させるため、2020年10月 (予定) にUQモバイル事業を当社に統合いたします。UQモバイルは低価格で高品質なサービスにより200万の契約者を有しております。auとUQモバイルの全国の営業体制を強化し、両ブランドの特色を生かしたお客さまへの新たな価値の提供、グループ経営資源の集約による競争力の強化を目指してまいります。

5Gについては、本年3月からサービス提供を開始いたしました。5Gへの移行を促進するために、端末・料金・サービスそれぞれの面で取り組みを行っております。端末では、フラッグシップモデルに加え、ミドルレンジモデルまで業界最多の7機種のラインナップになります。
料金は、5Gでも4Gのデータ無制限と同じ料金水準で提供し、映像や音楽コンテンツといった付加価値サービスを組み込んだプランにより5Gへの移行を促進してまいります。さらにauスマートパスプレミアムには、5GならではのAUGMENT体験をご用意し、新たな料金と体験価値の提供によりアップセルを目指してまいります。

パーソナルセグメントの中期目標に対する進捗は、ライフデザイン領域売上高が1兆2,180億円で進捗率は49%、決済・金融取扱高が6兆5,370億円で、進捗率は134%となりました。auじぶん銀行での決済総額の増加や、au PAY決済などの高進捗により、中期目標の6兆円を前倒しで達成しております。

【2】ビジネスセグメント
売上高は、中期目標の1兆円に向けて2020年3月期は9,235億円となり、順調に進捗しております。当社はお客さまのDXを推進することで、既存の通信事業からなる基盤事業、IoT5G事業・国内外のグループ会社からなる新規領域が、共に成長しております。今後も引き続き、お客さまDXの推進により両領域の成長を目指してまいります。

当社はDXを通じてお客さまと共に新たな価値を創造しております。具体例としては、物流センターを5G化することで、安全・品質・生産性の高度化を共同で実現する取組を日立物流さまと実施、また三愛石油さまとは、通信とAIを活用した業務効率化のため、KDDI ガスプラットフォームの提供を始め、ガス契約者のCS/CXの最大化に寄与しております。このように環境変化に強いレジリエントな基盤づくりへ貢献してまいります。

ビジネスセグメントの中期目標に対する進捗は、売上高が9,235億円で進捗率は33%、IoT累計回線数が1,150万回線で進捗率は35%となりました。IoT累計回線数は、2022年3月期末まで1,800万回線の目標に対して前倒しで進捗しており、KDDI「IoT世界基盤」を核として、グローバルベースで事業の拡大を目指してまいります。

4. 2021年3月期連結業績予想

現時点で見通せる新型コロナウイルス感染症影響は織り込んだものの、先行きの情勢を慎重に見極めつつ精査を進めるとともに、基本方針に基づき、社会・生活の安定に貢献し、業績予想および中期経営計画の達成を目指してまいります。
2021年3月期の連結売上高は5兆2,500億円、営業利益は1兆300億円と、売上高・営業利益ともに前年度同水準を見込んでおりますが、引き続き事業成長を目指してまいります。新型コロナウイルス感染症の状況によっては見通しが変動する可能性があり、業績予想修正の必要が生じた場合には速やかに開示いたします。
また、中期経営計画の振り返りとなりますが、今年度は前年度同水準の売上高・営業利益を見込んでおり、中長期的な成長を目指すことに変更はありません。引き続き持続的成長と株主還元強化の両立を目指してまいります。

昨年度は中期経営計画において、事業戦略、企業活動に連動した「KDDIが目指すSDGs」を発表しました。今年度はさらに長期の2030年を見据え、「KDDI Sustainable Action~私たちの『つなぐチカラ』は、未来のためにある~」として、事業に根差した目標に定義しました。「社会の持続的な成長に貢献する会社」として、取り組みを推進してまいります。

外部評価については、イノベーション、サステナビリティともに賞をいただいており、「イノベーティブ大企業ランキング」では2年連続1位を獲得いたしました。
サステナビリティでは世界の代表的な社会責任投資の指標であるFTSEとMSCIの構成銘柄に2017年以降毎年選定されており、引き続き社会の期待に応えられる企業を目指してまいります。

また、安全な国民生活と経済回復に向けて、新型コロナウイルス感染症対策とその先を見据え、当社は国内通信事業者の使命として、[1] 国民生活と経済活動を維持する強靭なネットワーク整備、[2] 国内経済力の回復・成長のためのDXの推進、大きくこの2つを実行します。日本社会に必要な設備投資を継続し、Society5.0の早期実現に向けて取り組んでまいります。

株主還元については、持続的成長を伴うDPS成長を重視しております。2021年3月期の1株あたり配当金は120円を予定し、19期連続となる増配を目指します。

最後は、これまでにご説明した内容を踏まえた企業価値最大化についてです。「財務」においては、中期経営計画の推進に加え、収益性や効率性等の改善に取り組んでまいります。「非財務」においては、ESGおよびSDGsの取組み、人財ファースト企業に向けた変革を推進することで、「財務」「非財務」両面において、長期且つ安定的にリターンを確保できるよう、構造改革に取り組んでまいります。

質問者1

  • Q今年度の業績見通しを出しており、増配ということで方針も明確に示されている。コロナの影響を織り込んでいるとのことであるが、コロナのマイナスをカバーする利益のドライバーは?
    A
    今期の業績見通しを社内で議論し、ネガティブな要素を切り出した。
    まず、ネットワークトラフィックの影響や、販売におけるパートナーの影響をどのようにリカバリーするか。次に、フローのビジネスを手掛けている英会話のイーオンや旅行関係の子会社などの影響。加えて、法人関係では、厳しい環境に置かれているお客さまの影響など。その中で持続的成長を何とか実現していくため、1兆300億円という見通しを出した。
    今後、リカバーする為、構造改革によりコストを削減している他、プラス要素としても、巣ごもり需要におけるコンテンツコマース、OTTのバンドルプラン等に加え、お客さまが大容量の安心を求められて5Gでも6割がデータMAXを選んで頂いている状況などがある。法人もニューノーマルな世界に向けた旺盛なリモート需要もある。
    状況をしっかり見定め、開示した業績予想について、修正があれば速やかに開示させていただく。
  • Q20.3期のパーソナルの300億円の減益要因や一次的な損失影響が今期戻ってくると考えれば、コロナの影響がその範囲内に収まれば増益になるのではと思うが、前期比との比較ではどうか?
    A
    20.3期の4Qで発生した減損などの影響が今期どうなるかにもよるが、何とか増益を実現したい。
  • QUQモバイルの子会社化、Pontaの統合、それぞれシナジーがどれくらい見込めるのか?
    A
    UQモバイルはグループ会社のため、営業面で協力していたが、実質的に一体化されるので営業面の指揮命令の統合やショップの効率化等も図れる。お客さまにとって低~中容量はUQ、大容量はauと選びやすくなるラインナップとなった。競合であるソフトバンクはYモバイルとの一体営業をうまくやっているが、今後は伍して戦える体制になり、モバイル事業のモメンタム向上につながっていく。auとUQのダブルブランドの上に付加価値サービスを提供していく効果もある。
    Pontaとの統合は近々発表できるが、1億を超えるポイントの会員基盤にau PAYを浸透させ、国内最大級の共通ポイント、決済基盤を構築していく。また、KDDIの技術とローソンの14,600店舗網を活かし、次世代型のコンビニ提供を目指す。シナジーとして、エンゲージメントの強化がau解約率低下につながる他、ローソンのオープンタッチポイントを活かしたauへのコンバージョンなどが見込める。次世代コンビニの提供については三菱商事、ローソン、ロイヤリティマーケティングと協議させて頂いており、年内に施策を発表できると思っている。
    上位レイヤーのオープン化を順次展開していく。UQとの統合は10月に発表になるが、その後具体的な効果も表れていくと思う。

質問者2

  • Q成長領域について、通常は投資が先行すると思うが、足元から利益が出ている要因は? また、利益は今期来期と続いていくのか?
    A
    ライフデザイン領域は20.3期について、売上は全ての分野で拡大しており、利益は育成してきたエネルギー分野が貢献。また、利益率の高いauスマートパスプレミアムを中心としたコンテンツ分野も貢献。要因は、ストックビジネスのモデルになっており、お客さまが拡大しているので伸びる構造。auスマートパスプレミアムの浸透、及びエネルギーのauユーザーへの浸透余地はあり、これからも持続的成長が可能。
    ビジネス領域は20.3期の成長は基盤事業と新規領域の夫々で売上規模が拡大。利益に関しても基盤事業はモバイルと固定があるが、モバイルはIDを順調にのばしていることに加え、ARPU及び付加価値を上に載せる形で、掛け算で毎月売上及び利益が伸びている。新規領域も国内、海外グループ会社ともに利益を伸ばしている。国内グループは中小企業ビジネスが伸びている他、コールセンタービジネスも拡大。IoT、DX等は投資を先行させているが、ゼロからのスタートではなく、既存事業基盤を活かし、利益を上げながら新しいところに投資をかけて成長。このあたりは中期的にも伸ばしたい。
  • Q中期経営計画EPS1.5倍に向けて、今後加速的にEPSが伸びる姿が期待される。従前から営業利益、バイバック両輪でという話であるが、現時点で目標達成にあたっての両輪の見方は?
    A
    EPS1.5倍は必ず目指していきたい。コロナの影響はあるが、持続的成長をできるよう、構造改革や利益の拡大施策は議論中で、しっかり目指していく。その中でも株主還元強化も両立することは明言しており、配当性向40%はしっかり守るということで増配をアナウンスしている。バイバックについては、足元環境を踏まえ、まずは社会の持続的成長への貢献に軸足を置き、何ができるのかを考慮したうえで余力があればバイバックも検討したいと考えている。

質問者3

質問者4

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