NTTファイナンス株式会社による料金請求・回収業務の統合に係る意見申出書の提出について 〈別紙〉

意見申出書

平成24年3月13日

総務大臣 殿

郵便番号
105-0001
住所
東京都港区二丁目10番1号
氏名
イー・アクセス株式会社
代表取締役社長 エリック・ガン
郵便番号
163-8003
住所
東京都新宿区西新宿二丁目3番2号
氏名
KDDI株式会社
代表取締役社長 田中 孝司
郵便番号
104-0031
住所
東京都中央区京橋一丁目12番5号
氏名
社団法人 日本ケーブルテレビ連盟
理事長 西條 温
郵便番号
100-0005
住所
東京都千代田区丸の内一丁目8番1号
氏名
株式会社ジュピターテレコム
代表取締役社長 森 修一
郵便番号
105-7316
住所
東京都港区東新橋一丁目9番1号
氏名
ソフトバンクテレコム株式会社
代表取締役社長兼CEO 孫 正義
郵便番号
105-7304
住所
東京都港区東新橋一丁目9番1号
氏名
ソフトバンクBB株式会社
代表取締役社長兼CEO 孫 正義
郵便番号
105-7317
住所
東京都港区東新橋一丁目9番1号
氏名
ソフトバンクモバイル株式会社
代表取締役社長兼CEO 孫 正義

電気通信事業法第172条の規定により、次のとおり意見の申出をします。
なお、本申出は株式会社明石ケーブルテレビ、株式会社秋田ケーブルテレビ、旭川ケーブルテレビ株式会社、株式会社アミックスコム、イー・アクセス株式会社、石垣ケーブルテレビ株式会社、イッツ・コミュニケーションズ株式会社、入間ケーブルテレビ株式会社、更生会社 株式会社ウィルコム、株式会社STNet、株式会社エヌ・シィ・ティ、株式会社エネルギア・コミュニケーションズ、株式会社エム.ビー.エス、沖縄通信ネットワーク株式会社、香川テレビ放送網株式会社、金沢ケーブルテレビネット株式会社、関西ブロードバンド株式会社、北ケーブルネットワーク株式会社、九州通信ネットワーク株式会社、九州テレ・コミュニケーションズ株式会社、近鉄ケーブルネットワーク株式会社、株式会社ケイ・オプティコム、株式会社ケイ・キャット、株式会社KCN京都、KDDI株式会社、Knet株式会社、ケーブルテレビ株式会社、ケーブルテレビ徳島株式会社、株式会社広域高速ネット二九六、高知ケーブルテレビ株式会社、こまどりケーブル株式会社、株式会社コミュニティネットワークセンター、彩ネット株式会社、狭山ケーブルテレビ株式会社、株式会社CCJ、株式会社シー・ティ・ワイ、ジャパンケーブルネット株式会社、株式会社ジュピターテレコム、湘南ケーブルネットワーク株式会社、上越ケーブルビジョン株式会社、仙台CATV株式会社、ソフトバンクテレコム株式会社、ソフトバンクBB株式会社、ソフトバンクモバイル株式会社、丹南ケーブルテレビ株式会社、株式会社中海テレビ放送、中讃ケーブルビジョン株式会社、中部テレコミュニケーション株式会社、株式会社ティエイエムインターネットサービス、株式会社テレビ岸和田、株式会社テレビ鳴門、東京ケーブルネットワーク株式会社、東京ベイネットワーク株式会社、東北インテリジェント通信株式会社、鳥取中央有線放送株式会社、となみ衛星通信テレビ株式会社、株式会社長崎ケーブルメディア、株式会社新潟通信サービス、社団法人日本ケーブルテレビ連盟、株式会社ニューメディア、株式会社東阿波ケーブルテレビ、東松山ケーブルテレビ株式会社、株式会社ひろしまケーブルテレビ、フュージョン・コミュニケーションズ株式会社、株式会社ふれあいチャンネル、株式会社ベイ・コミュニケーションズ、北陸通信ネットワーク株式会社、北海道総合通信網株式会社、株式会社マイメディア、ミクスネットワーク株式会社、株式会社南東京ケーブルテレビ、三原テレビ放送株式会社、UQコミュニケーションズ株式会社、ゆずの里ケーブルテレビ株式会社、計74社の総意のもと、上記の7社が代表して実施するものです。宜しくお取り計らいの程、お願い申し上げます。

項目 内容
申出対象の電気通信事業者等の氏名又は名称及び住所

エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
東京都千代田区内幸町1丁目1番6号

株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
東京都千代田区永田町2丁目11番1号 山王パークタワー

西日本電信電話株式会社
大阪府大阪市中央区馬場町3番15号

東日本電信電話株式会社
東京都新宿区西新宿3丁目19番2号

申出の内容

本年2月2日付けで、日本電信電話株式会社殿 (以下、「NTT持株殿」) 及びNTTファイナンス株式会社 (以下、「NTTファイナンス殿」) より、東日本電信電話株式会社殿及び西日本電信電話株式会社殿 (以下、「NTT東・西殿」)、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ殿 (以下、「NTTドコモ殿」)、並びにエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社殿 (以下、「NTTコム殿」) (以下、あわせて「NTTグループ四社」) の料金の請求・回収業務等の統合 (以下、「本施策」) について、報道発表がなされました。

また、NTTグループ四社の各事業会社の料金請求・回収部門と計8,500人の従業員を切り離し、NTT持株殿が90% 以上を出資する子会社であるNTTファイナンス殿に組織を統合するものとも報じられています (2012年2月2日付け日本経済新聞朝刊)。
本申出は、本施策に対する喫緊の対応として、総務省において、早々の調査と本施策の実施延期や見直しを含む指導を検討するとともに、並行して、オープンな場 (例えば、情報通信審議会下の「ブロードバンド普及促進のための競争政策委員会」) において、今後の公正競争確保の観点から十分な調査審議を行い、必要な措置を取っていただくことを求めるものです。
また、本施策、または本施策に伴い実施が想定される施策について、以下の関連法令等に違反、潜脱しているものでないかの判断、またそのように判断した理由、弊社共「届出の理由」の各項目への考え方の提示を求めるものです。なお、以下に挙げる以外の法令等についても、違反、潜脱等が考えられるものがある場合は、該当法令等、及びそのように考える理由についても併せて提示を求めるものです。

  1. 電気通信事業法第十九条第二項第一号、第二十条第三項第一号、第二十九条第一項第四号
  2. 電気通信事業法第十九条第二項第四号、第二十条第三項第四号、第二十九条第一項第二号
  3. 電気通信事業法第十九条第二項第六号、第二十条第三項第六号、第二十九条第一項第五号
  4. 電気通信事業法第二十九条第一項第十二号
  5. 電気通信事業法第三十条第三項第一号
  6. 電気通信事業法第三十条第三項第二号
  7. 日本電信電話株式会社の移動体通信業務の分離の際における公正有効競争条件 (2) 取引条件等
  8. 日本電信電話株式会社の移動体通信業務の分離の際における公正有効競争条件 (3) NTTとの人的関係
  9. 日本電信電話株式会社の移動体通信業務の分離の際における公正有効競争条件 (5) 資材調達
  10. 日本電信電話株式会社の事業の引継ぎ並びに権利及び義務の承継に関する基本方針 (平成9年郵政省告示第664号) における承継会社への事業の引継ぎに当たって電気通信の分野における公正な競争の確保に関し必要な事項に関する基本的な事項 (二)
  11. 日本電信電話株式会社の事業の引継ぎ並びに権利及び義務の承継に関する基本方針 (平成9年郵政省告示第664号) における承継会社への事業の引継ぎに当たって電気通信の分野における公正な競争の確保に関し必要な事項に関する基本的な事項 (四)
  12. 日本電信電話株式会社の事業の引継ぎ並びに権利及び義務の承継に関する基本方針 (平成9年郵政省告示第664号) における承継会社への事業の引継ぎに当たって電気通信の分野における公正な競争の確保に関し必要な事項に関する基本的な事項 (七)
  13. 日本電信電話株式会社の事業の引継ぎ並びに権利及び義務の承継に関する基本方針 (平成9年郵政省告示第664号) における承継会社への事業の引継ぎに当たって電気通信の分野における公正な競争の確保に関し必要な事項に関する基本的な事項 (八)
  14. 日本電信電話株式会社の事業の引継ぎ並びに権利及び義務の承継に関する基本方針 (平成9年郵政省告示第664号) における承継会社への事業の引継ぎに当たって電気通信の分野における公正な競争の確保に関し必要な事項に関する基本的な事項 (九)
  15. 「日本電信電話株式会社の在り方について-情報通信産業のダイナミズムの創出に向けて-」
    3 再編成の具体像 3-2 新しい市場におけるNTTの姿
    (1) 基本的視点 (イ) (ウ)
  16. 「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方について」の第一次答申
    3 NTTの在り方 (2) IT革命推進のためにNTTが果たすべき役割 (a) (b) (c)
申出の理由

本施策が競争に与える影響について一切検証が行われることなく、かつNTTグループの市場支配力が依然として高く、競争事業者がNTTと対等かつ有効に競争できる環境が十分とは言えない中、NTTグループがこのような施策を一方的に進めようとしていることは極めて問題であると考えます。しかしながら、それに止まらず、本施策により、NTTグループの延べ1億3千万人に上るユーザー、合わせて8兆円を超える料金債権がNTTファイナンス殿へと集約され、「ヒト・モノ・カネ・情報」というグループの経営資源がNTT持株殿の元に統合されることについては、NTTグループの組織の再統合・独占回帰という、より本質的な問題が存在します。
公社時代から線路敷設基盤を始めとする設備や加入電話の顧客基盤を独占しているNTTに対しては、公正競争環境の整備を通じて、料金の低廉化、サービスの高度化・多様化やそれに伴う国民利便向上を図るため、これまでも1992年の移動体通信業務分離や1999年のNTT再編といった、巨大な独占組織を分離・分割するための構造的な措置が取られてきました。
その後も、総務省によって引き続き競争政策が推進されてきましたが、2010年の「光の道」構想を受けて2011年に施行された改正電気通信事業法では、NTT東・西殿に対する機能分離の実施や、共同営業等のグループドミナンスの抜け道となっていた県域等子会社に対する監督義務付けという措置が取られました。これらの措置を始めとする競争政策については、毎年度の継続的なチェックに加え、包括的検証を実施し、NTTの在り方の見直しを含めた更なる措置について検討が行われることになっているところです。
そのような中で今回NTTが発表した本施策は、これまで積み重ねられてきた、移動体通信業務分離やNTT再編を始めとする競争政策の流れを無視して、なし崩し的にグループの再統合、独占への回帰を図っているという点で、NTT法の趣旨に反する脱法的行為であると考えます。
また、上記「申出の内容」において、本施策、または本施策に伴い実施が想定される施策が法令等に違反、潜脱しているものでないかの確認を求めた各項目については、その理由を以下に記載します。

  1. 電気通信事業法第十九条第二項第一号、第二十条第三項第一号、第二十九条第一項第四号
    本施策の実施に伴い、NTTグループ会社のみを対象とした割引 (ポイントによるキャッシュバック等を含む) を行うこととなった場合、当該施策は本条文の「料金についてその額の算出方法が適正かつ明確でない」に該当するものと考えます。
  2. 電気通信事業法第十九条第二項第四号、第二十条第三項第四号、第二十九条第一項第二号
    競争事業者等がNTTグループと同一条件で同施策と同等のサービス (自社サービスに係る債権の譲渡・請求回収業務の委託やNTTグループ四社サービスに係る債権の譲受・請求回収業務の受託) を実施可能かが不透明な状態です。また、競争事業者がNTTグループとの一括請求に申し入れすることは、NTTグループにマーケティング情報を渡すことになる等の障害が存在するため、実質的に困難な事態も想定されます。従って、本施策は、「不当な差別的取扱い」に該当するおそれがあると考えます。
  3. 電気通信事業法第十九条第二項第六号、第二十条第三項第六号、第二十九条第一項第五号
    本施策により、NTTグループ四社の膨大な顧客情報やNTT東・西殿、NTTドコモ殿が回収代行を行うにあたり必要な他社ISP、直収電話事業者等の顧客情報がNTTファイナンス殿に集約されることになります。当該顧客情報は、料金の請求・回収に係る問い合わせ業務のため、ユーザーの契約事業者 (ISP、マイライン等) や通信量等の詳細な情報が含まれていることが想定され、これはクロスセル営業等に活用できる重要なマーケティング情報といえます。当該情報は、競争事業者が取得することはできない一方で、NTTグループ四社は、NTTファイナンス殿への出向等により、実質的に取得、活用できる状況にあります。こうした状況は「不当な競争」を引き起こすものであるため、本施策は、本条文に該当するものと考えます。
    なお、本施策において、料金の請求・回収業務等の統合事業者がNTTファイナンス殿ではなく、NTTグループ外の事業者であった場合においても、当該情報の集約により、NTTグループ四社が一体となったクロスセル営業に活用される等の懸念は上記同様に存在するため、同様に本条文に該当するものと考えます。
  4. 電気通信事業法第二十九条第一項第十二号
    上述の「3. 電気通信事業法第十九条第二項第六号、第二十条第三項第六号、第二十九条第一項第五号」と同様の理由により、本施策は、本条文に該当するものと考えます。
    なお、本施策において、料金の請求・回収業務等の統合事業者がNTTファイナンス殿ではなく、NTTグループ外の事業者であった場合においても、同様に本条文に該当するものと考えます。
  5. 電気通信事業法第三十条第三項第一号
    NTT東・西殿、NTTドコモ殿が他社ISP、直収電話事業者等の回収代行等を行うにあたり取得した顧客情報は、「接続の業務に関して知り得た」情報に該当するため、当該情報が目的外利用された場合、本条文に該当するものと考えます。
  6. 電気通信事業法第三十条第三項第二号
    上述の「2. 電気通信事業法第十九条第二項第四号、第二十条第三項第四号、第二十九条第一項第二号」と同様の理由により、本施策は、本条文に該当するおそれがあると考えます。
    また、本施策の実施に伴い、以下のような施策を行うことになった場合、当該施策は本条文の「特定の電気通信事業者に対し、不当に優先的な取扱いをし、若しくは利益を与え、又は不当に不利な取扱いをし、若しくは不利益を与えること」に該当するものと考えます。
    • 本施策により集約されるコールセンターへの問い合わせ時の営業行為
    • NTTグループ会社のみを対象とした割引 (ポイントによるキャッシュバック等を含む)
    • 料金明細送付時のグループ各社の商品案内、申込書等の同封
  7. 日本電信電話株式会社の移動体通信業務の分離の際における公正有効競争条件 (2) 取引条件等
    「9. 日本電信電話株式会社の移動体通信業務の分離の際における公正有効競争条件 (5) 資材調達」と同様の理由により、本施策は、本要件を満たしていないものと考えます。
  8. 日本電信電話株式会社の移動体通信業務の分離の際における公正有効競争条件 (3) NTTとの人的関係
    本項目のNTTとは現在のNTT持株殿とNTT東・西殿であり、当該三社とNTTドコモ殿の出向形態による人事交流を禁じるものです。本施策は、NTTグループ四社が出向形態により人事交流を実施するものであることから、本要件を満たしていないものと考えます。
  9. 日本電信電話株式会社の移動体通信業務の分離の際における公正有効競争条件 (5) 資材調達
    本施策は、NTTグループ四社それぞれの利用者に対する債権をNTTファイナンス殿に一括して扱わせることによる、各社のコスト削減 (口座振込手数料、クレジット決済手数料、印刷費用、システム一括化、人件費削減等) を目指すものです。NTTファイナンス殿は、NTT持株殿から90%以上の出資を受ける被特別支配会社であり、実質的にNTT持株殿の一事業部門に過ぎません。従って、本施策は、NTTドコモ殿の請求をNTT持株殿がまとめようとするものに等しく、またNTTドコモ殿がNTT東・西殿、NTTコム殿の請求ボリュームを利用してコスト削減を図ろうとするものといえます。これは、「NTT (現在のNTT持株殿とNTT東・西殿) の購買力を使用した共同資材調達」に他ならず、標題の公正有効条件を著しく逸脱するものと考えます。
    なお、本施策は、NTT東・西殿、NTTドコモ殿、NTTコム殿の請求ボリュームも相互的に作用するため、その影響は上記条件が典型的に想定する態様のものよりもさらに大きくなるものと考えます。
  10. 日本電信電話株式会社の事業の引継ぎ並びに権利及び義務の承継に関する基本方針 (平成9年郵政省告示第664号) における承継会社への事業の引継ぎに当たって電気通信の分野における公正な競争の確保に関し必要な事項に関する基本的な事項 (二)
    「8. 日本電信電話株式会社の移動体通信業務の分離の際における公正有効競争条件 (3) NTTとの人的関係」と同様の理由により、本施策は、本要件を満たしていないものと考えます。
  11. 日本電信電話株式会社の事業の引継ぎ並びに権利及び義務の承継に関する基本方針 (平成9年郵政省告示第664号) における承継会社への事業の引継ぎに当たって電気通信の分野における公正な競争の確保に関し必要な事項に関する基本的な事項 (四)
    「9. 日本電信電話株式会社の移動体通信業務の分離の際における公正有効競争条件 (5) 資材調達」と同様の理由により、本施策は、本要件を満たしていないものと考えます。
  12. 日本電信電話株式会社の事業の引継ぎ並びに権利及び義務の承継に関する基本方針 (平成9年郵政省告示第664号) における承継会社への事業の引継ぎに当たって電気通信の分野における公正な競争の確保に関し必要な事項に関する基本的な事項 (七)
    上述の「2. 電気通信事業法第十九条第二項第四号、第二十条第三項第四号、第二十九条第一項第二号」と同様の理由により、本施策は、本要件を満たしていないものと考えます。
    また、「6. 電気通信事業法第三十条第三項第二号」において示した、本施策の実施に伴い想定される施策が実施された場合も、地域会社と長距離会社との間の電気通信役務の提供に関連する取引条件が、NTT東・西殿と競争事業者との間で同一にならないため、本要件を満たしていないものと考えます。
  13. 日本電信電話株式会社の事業の引継ぎ並びに権利及び義務の承継に関する基本方針 (平成9年郵政省告示第664号) における承継会社への事業の引継ぎに当たって電気通信の分野における公正な競争の確保に関し必要な事項に関する基本的な事項 (八)
    本要件において、NTTコム殿は、「独立した営業部門を設置すること」になっていますが、料金の請求・回収業務は営業行為の一部であるため、NTTグループ四社の同業務部門を統合した本施策は本要件を満たしていないものと考えます。
  14. 日本電信電話株式会社の事業の引継ぎ並びに権利及び義務の承継に関する基本方針 (平成9年郵政省告示第664号) における承継会社への事業の引継ぎに当たって電気通信の分野における公正な競争の確保に関し必要な事項に関する基本的な事項 (九)
    上述の「3. 電気通信事業法第十九条第二項第六号、第二十条第三項第六号、第二十九条第一項第五号」において述べた状況を踏まえると、NTT東・西殿とNTTコム殿との間で提供される顧客情報は、明らかに他の電気通信事業者との間のものと同一ではないため、本施策は本要件を満たしていないものと考えます。
  15. 「日本電信電話株式会社の在り方について-情報通信産業のダイナミズムの創出に向けて-」
    3 再編成の具体像 3-2 新しい市場におけるNTTの姿
    (1) 基本的視点 (イ) (ウ)
    本施策において、請求・回収業務等が統合されることにより、NTTグループ四社間の直接競争が損なわれ、多元的な主体による競争が阻まれることになります。従って、本施策は、本答申の基本的視点に反するものであると考えます。
  16. 「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方について」の第一次答申
    3 NTTの在り方 (2) IT 革命推進のためにNTTが果たすべき役割 (a) (b) (c)
    本施策において、請求・回収業務等が統合されることにより、NTTグループ四社の自主独立性の確保は困難なものとなり、また、「15. 「日本電信電話株式会社の在り方について-情報通信産業のダイナミズムの創出に向けて-」」において述べたとおり、NTTグループ四社の直接競争も損なわれます。また、こうしたNTTグループ連携を強化する施策により、NCCとの間の公正競争の推進にも支障が生じることになります。従って、本施策は、本答申の基本的視点に反するものであると考えます。
その他参考となるべき事項

〈関連報道発表〉

〈関連法規等〉

電気通信事業法

第十九条

2 総務大臣は、前項の規定により届け出た契約約款が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、基礎的電気通信役務を提供する当該電気通信事業者に対し、相当の期限を定め、当該契約約款を変更すべきことを命ずることができる。

一 料金の額の算出方法が適正かつ明確に定められていないとき。

四 特定の者に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき。

六 他の電気通信事業者との間に不当な競争を引き起こすものであり、その他社会的経済的事情に照らして著しく不適当であるため、利用者の利益を阻害するものであるとき。

第二十条

3 総務大臣は、第一項 (次項の規定により読み替えて適用する場合を含む。) の規定により届け出た契約約款 (以下「保障契約約款」という。) が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、指定電気通信役務を提供する当該電気通信事業者に対し、相当の期限を定め、当該保障契約約款を変更すべきことを命ずることができる。

一 料金の額の算出方法が適正かつ明確に定められていないとき。

四 特定の者に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき。

六 他の電気通信事業者との間に不当な競争を引き起こすものであり、その他社会的経済的事情に照らして著しく不適当であるため、利用者の利益を阻害するものであるとき。

第二十九条

総務大臣は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、電気通信事業者に対し、利用者の利益又は公共の利益を確保するために必要な限度において、業務の方法の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる。

二 電気通信事業者が特定の者に対し不当な差別的取扱いを行つているとき。

四 電気通信事業者が提供する電気通信役務 (基礎的電気通信役務又は指定電気通信役務 (保障契約約款に定める料金その他の提供条件により提供されるものに限る。) を除く。次号から第七号までにおいて同じ。) に関する料金についてその額の算出方法が適正かつ明確でないため、利用者の利益を阻害しているとき。

五 電気通信事業者が提供する電気通信役務に関する料金その他の提供条件が他の電気通信事業者との間に不当な競争を引き起こすものであり、その他社会的経済的事情に照らして著しく不適当であるため、利用者の利益を阻害しているとき。

十二 前各号に掲げるもののほか、電気通信事業者の事業の運営が適正かつ合理的でないため、電気通信の健全な発達又は国民の利便の確保に支障が生ずるおそれがあるとき。

第三十条

3 第一項の規定により指定された電気通信事業者及び第三十三条第二項に規定する第一種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者は、次に掲げる行為をしてはならない。

一 他の電気通信事業者の電気通信設備との接続の業務に関して知り得た当該他の電気通信事業者及びその利用者に関する情報を当該業務の用に供する目的以外の目的のために利用し、又は提供すること。

二 その電気通信業務について、特定の電気通信事業者に対し、不当に優先的な取扱いをし、若しくは利益を与え、又は不当に不利な取扱いをし、若しくは不利益を与えること。

日本電信電話株式会社等に関する法律

第十六条

会社及び地域会社は、総務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。

2 総務大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社及び地域会社に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

日本電信電話株式会社の移動体通信業務の分離の際における公正有効競争条件

(2) 取引条件等
NTTと新会社との間において行われる取引については、取引を通じたNTTから新会社への補助が行われないようにする。また、NTTと新会社との間において行われる鉄塔・局舎の使用、研究開発成果の利用等の取引条件並びにNTTとの間の接続条件、事業者間精算、情報の開示等の条件については、移動体系新事業者と同一とする。

(3) NTTとの人的関係
NTTから新会社への社員の移行は、「転籍」により行うこととし、出向形態による人事交流は行わないものとする。

(5) 資材調達
新会社がNTTの購買力を使用することのないよう、NTTと新会社は共同資材調達を行わないものとする。

日本電信電話株式会社の事業の引継ぎ並びに権利及び義務の承継に関する基本方針 (平成9年郵政省告示第664号) における承継会社への事業の引継ぎに当たって電気通信の分野における公正な競争の確保に関し必要な事項に関する基本的な事項

(二) 地域会社と長距離会社との間において在籍出向は行わないこと

(四) 持株会社及び地域会社は、長距離会社と共同して資材調達を行わないこと

(七) 地域会社と長距離会社との間の電気通信役務の提供に関連する取引条件は、地域会社と他の電気通信事業者との間のものと同一とすること

(八) 長距離会社は、独立した営業部門を設置すること。なお、利用者の利便性維持のために地域会社が長距離会社の販売業務を受託する場合には、その条件は他の電気通信事業者との間のものと同一とすること

(九) 地域会社と長距離会社との間で提供される顧客情報その他の情報は、他の電気通信事業者との間のものと同一とすること

日本電信電話株式会社の在り方について-情報通信産業のダイナミズムの創出に向けて- (平成8年2月29日公表)

3 再編成の具体像

3-2 新しい市場におけるNTTの姿

(1) 基本的視点
次のような基本的視点に基づき、再編成を行うこととする。
(イ) 多元的な主体による公正有効競争を促進する体制とする。
(ウ) 再編成会社間のヤードスティック競争とともに、相互参入による直接競争の創出を目指す。

「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方について」の第一次答申 (平成12年12月21日公表)

3 NTTの在り方

(2) IT 革命推進のためにNTTが果たすべき役割

NTTの在り方については、
(a) グループ内各社の経営の自主独立性の確保
(b) グループ内各社による相互競争の実現
(c) NCC等の競争事業者との間の公正競争の推進
によって、各事業会社がインターネット時代に対応したダイナミックな事業展開をすることにより、利用者ニーズに応えるサービスを提供するとともに通信市場全体の活性化を達成することを基本として検討すべきである。

  • ※ ニュースリリースに記載された情報は、発表日現在のものです。
    商品・サービスの料金、サービス内容・仕様、お問い合わせ先などの情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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