KDDI 株式会社
株式会社 KDDI研究所


2002.7.11

5GHz帯を用いたブロードバンド無線アクセスによる伝搬及びHDTV伝送実験の開始



KDDI株式会社と株式会社KDDI研究所(本社:埼玉県上福岡市、所長:浅見徹)は、福島県いわき市においてブロードバンド伝搬・伝送実験を開始するため、本日、東北総合通信局から5GHz帯(4.91〜4.99GHz)の周波数を使用した高速無線アクセスシステム等の実験用無線局の予備免許を取得しました。
実験では、50〜80MHzの広帯域無線システムにより、FWA(Fixed Wireless Access:固定無線アクセス)、NWA(Nomadic Wireless Access:ホットスポット型無線アクセス)及び移動通信などの利用を目的とした屋外における各種無線環境の評価試験、データ解析を行います。また、5GHz帯を用いた高速無線アクセスシステムのサービス例として、KDDI研究所が開発した高速無線アクセス装置(名称:RBBR49: Reconfigurable BroadBand Radio in 4.9GHz band)によるHDTV(High Definition Television)伝送実験を国内で初めて行います。実験期間は、本年7月から2年間の予定です。
KDDIグループでは、本実験により、5GHz帯の伝搬特性を考慮したシステムの構築・運用技術のノウハウを蓄積し、商用サービスに向けた準備を進めて行きます。

今回使用する5GHz帯は、電子レンジ等と周波数を共用している2.4GHz帯と異なり、通信専用の帯域として利用できることから、干渉等の面で有望視されています。また、利用範囲が屋内に限定されている5.15GHz帯とも異なり、利用場所の制限がなく、駅、空港など人が多く集まるホットスポット以外でも、屋内・屋外の様々な場所で高速な情報通信サービスを提供することができます。KDDIグループでは、このような5GHz帯での無線アクセスシステム等の有望性・将来性に鑑み、伝搬・通信実験へ向けた研究開発を進めてきました。

今回の実験では、KDDI研究所が開発した高速無線アクセス装置RBBR49とHDTV小型蓄積伝送端末VAST-hdを組み合わせることにより、5GHz帯では国内初となるHDTVリアルタイム画像伝送も屋外無線環境において行います。これまでの2.4GHz帯無線LANシステムでは、最高でも11Mbit/sの速度であり、このため、20Mbit/sのスループットを必要とするHDTVリアルタイム画像伝送は不可能でした。
高速無線アクセス装置RBBR49は、OFDM変調方式(注1)を実装した20MHz帯域で情報速度36Mbit/sを達成する小型・軽量の無線アクセス装置であり、それに、無線区間で発生するパケット誤りを再送制御によって100%補償できるVAST-hd(注2)とを組み合わせることにより、高信頼・高効率なHDTV伝送を可能としています。
(注1) OFDM : Orthogonal Frequency Division Multiplex(直交周波数分割多重)
(注2) VAST-hd : Video & Audio Storage and Transmission system for HDTV(IP網対応HDTV小型伝送システム)

今後、伝搬・通信実験を通じて、5GHz帯無線環境の特性解析、モデル化を順次進める予定としています。また、本解析結果を元に5GHz帯高速無線システムの方式検討、システム構築・運用技術の検討を進めると共に、実用化に向けた技術的要件の明確化を図っていく予定です。



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