接続料規則改正案によれば、ZC接続料が12％を超える大幅な値上がりとなっております。またGC接続料はわずかに値下がりとなっているものの、トラヒック減少に伴い事後精算制度を導入することとされているため、結果的には現行水準に比べ値上がりとなるおそれがあります。今回の改正案は、以下の点において重大な問題があり、容認されるものではないと考えております。

1.消費者の利益を損なうおそれ

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これまでの電気通信事業は、公正競争を促進し、各々の事業者が創意工夫した結果、料金競争やサービス競争による消費者の利便性の向上を確保してきたと認識します。一方、今回の省令改正案は、ZC接続料の大幅な値上がりを見込んでいる上、事後精算制度の導入も予定しています。仮に、トラヒックが2年連続で15%程度減少した場合、事後精算の結果、接続料(ZC接続/3分)は7円程度まで跳ね上がることも予想され、競争事業者の接続料負担は増加し、その競争力を低下すると考えられます。この競争力の低下は、競争事業者の事業活動を制限し、電気通信業界全体の競争による活性化を停滞させることも予想されます。特に2年前に競争が入ったばかりの市内通信分野においては、ＮＴＴ東西の独占に戻ることも予想されます。したがいまして、今回の省令案については、これまでの競争政策に逆行するだけでなく、消費者の選択肢を狭め、消費者の利益に反することとなります。

2.重要な事項に対する検討不足

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問題点の先送りや検討が充分になされていない重要な事項があることから、このような状況での今後２年間の接続料に係る条件を決定する省令改正には大きな問題があると考えます。 (1)国際的に割高な接続料 ・ ＮＴＴ東西の接続料は国際的に見て依然として高い水準にあり、例えば英国に比べて2.5倍となっています。更なる値上げは国際的な接続料低廉化の流れに逆行しています。 (2)基本料の在り方／東西別料金の問題が未解決なままの値上げ ・ ＮＴＴ東西の接続料が高い理由の１つは、ＮＴＳコスト(Non Traffic Sensitive Cost：通信量に依存しない固定的費用)を含んでいるからです。ＮＴＳコストは欧州等の先進国では、接続料から除かれています。情報通信審議会答申でも、ＮＴＳコストの帰属について基本料のあり方を含めて検討を行う旨が提言されたにも関わらず、その議論を行わないまま結論を先送りにし、値上げのみが行われております。 ・ 東西別料金の実施について、消費者団体・学識経験者の緊急声明や、公開ヒアリング等における消費者団体からの意見の提示がありましたが全く考慮されず、十分な説明がないまま、昨年の審議会答申を覆す結果となっております。 (3)公平性を欠く事後精算制度 ・ 長期増分費用方式は競争原理が働きにくい接続料に仮想的に競争原理を働かせるという考え方で成り立っています。したがって、入力値(トラヒック)の入替をする際に過去に遡って精算するという考え方はなじまないものであり、現行の接続料には事後精算が導入されていないと認識します。 ・ また、仮に３年前の接続料設定のときに事後精算が導入されていれば、トラヒックが増加傾向にあったことから接続事業者は払い戻しを受けられましたが、精算制度は導入されませんでした。トラヒックが減少傾向にある状況になって事後精算を導入することは、行政の施策として公平性に欠いているとも考えます。公平性に配慮し、事後精算する条件として15％乖離した場合とされておりますが、これを超えた場合にはNTT東西の努力分の5％分を除き全額を精算することとなっており、事後精算を実施しなかったトラヒック上昇時との一貫性が全くとれておりません。 ・ さらに、専用線等の過去原価方式による接続料は、従来半額のみ精算となっているにもかかわらず、トラヒックが減少傾向にある現段階における今回の省令改正案ではほぼ全額が精算対象とされました。さらに、トラヒックの入れ替えのみに焦点が当てられており、コストの入替えについては、十分に考慮されておりません。以上のことからも事後精算制度は総じて公平性・一貫性を欠いていると言わざるを得ません。

	提 言
	1. 検討が不足している以下の2、および3の課題が解決するまでは、接続料の改定を凍結し、現行の接続料を継続する 2. NTSコストの帰属について、基本料のあり方を含めて結論を得る 3. 改定LRICモデルについて、不十分な点を見直す 1)LRICモデルに用いる伝送装置の耐用年数は米国・英国並にする 2)NTT東西が昨年5月に行った合理化をLRICモデルの入力値に反映する 4. 事後精算制度を導入しない