移動が変われば、
暮らしが変わる。
社会が動き出す。

モビリティサービスの進化

事業創造本部
ビジネス開発部

江田 晃一

2010年に新卒で入社。ソリューション営業部門で法人営業、コンシューマ営業部門ではauショップ運営代理店の営業に携わった後、2019年の社内公募に応募しMaaS事業の立ち上げに参加。観光MaaSアプリ「沖縄CLIPトリップ」等のサービス企画やアプリ開発のプロダクトオーナーも務め、現在はWILLER社と協働で、mobi事業の推進を担当している。

移動のニーズに応える、エリア定額乗り放題サービス「mobi」

現在、私はビジネス開発部MaaS (Mobility as a Service) 事業推進グループに所属し、エリア定額乗り放題サービス「mobi」の事業推進を担当しています。所定の場所から乗降場所を選ぶと、mobiで最適なルートで移動できるサービスで、乗降場所が数多くあるので自家用車やタクシーに近い感覚で利用でき、複数のユーザーで乗り合うことから、定額で気軽にご利用いただけます。サービスの実現には通信やデジタル技術も活用し、DX (デジタルトランスフォーメーション) 化につながっています。

2022年4月からWILLERとKDDIによる合弁会社Community Mobility株式会社がスタートし、mobiの事業を展開していきます。そのなかで、私はエリア展開の方針策定やプロダクト改善に向けたデータ分析、利用拡大に向けたプロモーション戦略を主に担っています。

現在、移動や交通をめぐる状況やニーズは変化し、多様化しています。その最たる要因が、新型コロナウイルス感染症の拡大です。自宅周辺で過ごす時間が増えたことで、近距離移動の需要は高まっています。また、共働きの子育て世帯では、子どもの送迎について悩みを抱えている方も多くいらっしゃいます。高齢者の運転免許証の自主返納も顕著に増加していて、2020年の返納件数は2011年の約8倍にのぼりました。一方、地方都市では利用者の減少により毎年全国で約1,000km超の路線バスが廃止され、地域住民、特に高齢者の移動手段がなくなることが社会課題のひとつになってきています。

移動の格差をなくし、すべての人に自由な移動を

そうした交通課題の解消は、持続可能なまちづくりの実現を目指す上でますます重要になっています。MaaSは、狭義には複数の移動手段を連携させてひとつなぎにするサービスを指します。しかし、私たちはこれを広義に捉え「移動や交通をテクノロジーで進化させていくこと・より便利に豊かにしていくこと」だと考えています。mobiのコンセプトは、人とまちがつながり、コミュニティを生み出す「Community Mobility」です。

現在、京都府京丹後市、東京都渋谷区、愛知県名古屋市千種区の3カ所でmobiのサービスを提供しています。それぞれ人口規模や交通事情は異なりますが、そうした環境の違いもカバーしながら「誰もが気兼ねなく、移動したいときに移動できる社会」をつくりたいと私たちは考えています。

エリア展開の方針策定にあたっては、KDDIが持つ人流データを活用し、全国約2,000の自治体の人流を分析しました。ここでは地域ごとの交通課題や特性などを加味することも重要です。実運行データ、ユーザーへのインタビュー、コールセンターへの問い合わせ内容などの解析結果をもとに、サービス品質の改善を図っています。

また、アプリや電話で6~8人乗りの車両を配車し、目的地が近い利用者同士の相乗りにも対応しています。さらに、AIルーティングにより予約状況や道路状況を考慮して、半径約2kmを目安としたエリア内を最適なルートで効率よく移動することも可能になりました。

KDDIだからこそできる、新しいチャレンジ

mobiの取り組みは始まったばかりで、課題もたくさんあります。PRによって認知度を向上させることはもとより、これまで地域の交通を担ってきた既存の交通関連企業との共存は必須条件です。難しい課題ばかりですが、一方で、実際にサービスを使っていただいたユーザーさんから「便利だった」という声も届いており、大きなやりがいも感じています。自家用車で移動することの多い京丹後市では、お酒を飲むときの移動手段として利用される方がいたりと、我々としても新しい発見があります。

mobiのサービス提供が本格化してから、都心から地方まで、さまざまな自治体や企業からお声掛けをいただいています。予想以上に大きな期待を感じ、このサービスを全国に届けなければ、という使命感は日ごとに強くなっています。

こうした新規事業の立ち上げに携わったことで改めて実感したのは、KDDIには新しいチャレンジのための最高の環境が用意されているということです。当社の事業領域は、通信・エンタメ・金融・ヘルスケア・XR・ドローン・eスポーツ・宇宙開発など多岐にわたり、スタートアップとの事業連携も非常に多いことが特長です。各事業推進に携わったエキスパートが社内にいて、気軽に相談ができます。そうした豊富な人材やノウハウを通じて多くの人々がつながるグループ力と多彩なパートナリングはKDDIの強みです。

みんなで移動を「感動」に

コロナ禍によって生活様式が大きく変化した現在、多様な移動のあり方が求められています。また、今後メタバースや自動運転の普及といったデジタル化がさらに進むことで、人が移動するという行為自体が特別なものになる可能性もあります。現在のお客さまに最適なサービスを届けることはもちろんですが、将来の移動に対する変化を予測し、柔軟な想像力で「ヒト・モノ・コト」をつなぐサービスを提供していくことも重要だと思っています。

mobiのサービス拡充は、KDDIのSDGsに掲げられる「暮らしをつなぐ」ことへの挑戦です。同じ状況の地域はひとつとして存在せず、交通課題や住民特性もさまざまです。子育て世帯から高齢者世帯まで、移動や交通には幅広いニーズがあります。「移動を、感動に変えてゆく。」の実現に向け、地域にお住まいの方や地元企業、事業パートナー、自治体の方々とともにサービスを育てていきたいです。

  • 所属・内容は取材当時のものです。