地域で光る元気企業
第2回
システムリニューアルをきっかけに従業員が会社を変え始めた!
千葉県の漬物卸売業「千代田漬物」は、従業員が主体となって基幹システムを導入。押しつけではない業務改革とIT導入により、従業員の力を伸ばすことに成功しました。
<会社概要>
千代田漬物株式会社
千葉県千葉市美浜区高浜2-2-1(千葉市中央卸売市場内)
他に成田市に拠点を持つ
設立:昭和50年
従業員数:20人
事業内容:
漬物の卸売り(卸売市場の店頭販売30%、県内約170店舗への外商70%)

2006年3月1日午前5時。すでに活気を帯びている千葉市中央卸売市場内にある千代田漬物のオフィスで、新しい基幹業務システムが稼働を開始した。早朝から駆けつけ待機するITベンダーやITコーディネータ。慣れない動きに現場には「黄色い声」が飛び交い「戦争」状態に…。しかし、今回は「9年前」とは違う。1週間もすると新システムは社内に確実に定着していった。

「9年前に販売管理システムを入れたときは、『これを使いなさい』と従業員に押し付けてしまいました。ちょうど業績が下降線に入っていた時期と重なり、ボーナスも出ないのに機械にお金を払うのかと従業員から猛反発を受けました」
漬物卸売業・千代田漬物の柿澤利行社長は9年前の苦い経験をこう説明する。システム導入がきっかけとなり、当時30人いた従業員の約半数が退職。会社は存続の危機に立たされた。
なんとか苦境を乗り切り、システムのリニューアルを目指した千代田漬物は、導入を指南するアドバイザーの必要性を感じ千葉県産業振興センターからITコーディネータ鬼澤健八氏の紹介を受ける。
柿澤社長の「今度は従業員が主体となってシステムを作る」という構想を、鬼澤氏が後押ししていくこととなった。
IT導入の会議なのに仕事の現状を話し合う!?
従業員6名で構成した新しいプロジェクトは「改革円陣隊」(通称:改円隊)と名付けられた。定期的に会議を開き、新しいシステムの内容を吟味していくチームだ。
「でもスタートは全然ITではありませんでした。鬼澤さんの問いかけは『皆さんはどんな仕事をしているのか』というものだったのです」とリーダーの柿澤好徹営業部長は説明する。参加メンバーが主役となり、会社の現状や強み弱み、それをどう変えていけばよいかを話し合う場が形成されたのだ。鬼澤氏は考える材料(データ)を提供したり、会議を進行させる役割を担った。

会議が軌道に乗り出すと、「うちはこんな会社なんだと見えてきた。主要な取引先はどこか、どう売っていくかを考えなければと気がついた」(柿澤部長)と、メンバーは徐々に当事者意識を高め、自ら改革の方向を考え始めたのだった。
業務の見直しが進み、次はいよいよIT導入のステップへ。今回は、従来からの販売管理に加え、在庫管理と会計処理をシステム化したが、システム内容や費用、業務フローを勘案し、あえて手書きを残した部分もあったという。
ITベンダーの選考も鬼澤氏の指導のもと従業員自らが行った。新システムはパッケージソフトをカスタマイズなしに利用。パッケージソフトの標準的な業務フローに合わせることで、結果的に構築費用を抑えることができた。
また、もう一つの拠点である成田営業所との間をブロードバンドでVPN接続し、リアルタイムでデータを利用する体制を整えた。
次はデータを生かし営業手法の改善へ
導入後は、在庫管理が適正になり粗利益率が約1%アップ。一方で、従業員には売上データを元に販売方式を工夫する動きも出てきたという。
「得意先の売上アップに役立つ提案をしたい」「地元の土産店に外国産の漬物が並ぶ昨今、千葉県らしい地産の漬物も広めたい」。
こうした柿澤社長の問題意識は改革プロジェクトを通じて従業員と共有することができた。

卸売市場の店舗

千代田漬物のオリジナル商品
「景気が悪いとどうしてもマイナスの方に頭が動く。しかし、やることが見えれば活気が出てくる。これが経営者としては一番うれしい」と柿澤社長は力を込めた。千代田漬物はIT導入をきっかけに、従業員の力を伸ばすことに成功したのである。





