本文へ
KDDI: ユビキタス・ソリューション・カンパニー

サイトマップ

ニュースリリース
2006年
世界初、JPEG2000準拠のIP‐HDTVコーデックの開発について
〜 可変符号速度機能と階層符号化機能によりIP網の品質劣化にも対応 〜

KDDI株式会社
株式会社KDDI研究所

2006年4月20日

KDDI株式会社 (本社: 東京都千代田区、代表取締役社長兼会長 小野寺 正 以下、KDDI) と株式会社 KDDI研究所 (本社: 埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長 秋葉 重幸 以下、KDDI研究所) は、ハイビジョン映像を、IP網により、高画質かつ低遅延で伝送するIP-HDTVコーデック「JH-3000N」を開発しました。「JH-3000N」は、国際標準方式であるJPEG2000の符号化アーキテクチャに独自の高圧縮アルゴリズムを採用し、また、輻輳等によるパケット損失やスループット低下等のIP網の品質劣化に対する耐性を高める機能を搭載した、世界初のIP網対応コーデック装置です。

●1. 開発の背景
地上デジタル放送が開始され、ハイビジョンの映像を視聴する機会が増えてきました。ハイビジョン映像を伝送する場合、非圧縮の状態で伝送すると1.5Gbpsもの回線速度が必要になるため、一般的には映像圧縮伝送装置を使用して低速の回線で伝送しています。
2000年に国際標準として規格化されたJPEG2000は、従来用いられてきたMPEG-2等の他の映像圧縮伝送方式より処理遅延を大幅に抑制することができるようになりました。
KDDIとKDDI研究所は既にJPEG2000を採用した映像圧縮伝送装置「JH‐2000」を製品化していますが、「JH‐2000」ではSDHベースの高価な伝送回線を使用する必要があります。昨今、放送事業者のみならず、医療や企業内通信の分野においてもクリアなハイビジョン映像伝送や双方向の映像伝送のニーズが高まっており、廉価なIP網に直接接続可能な低遅延ハイビジョン映像圧縮伝送装置として「JH-3000N」を開発しました。

●2. 本開発装置の特徴について
可変符号速度機能
IP網では、輻輳等によるパケット損失やスループット低下等の品質劣化が発生しうるため、本開発装置では、IP網の品質 (QoS) の監視に基づく適応的な送出制御機能により、IP網に対する高い品質劣化耐性を実現しています。
適応的な送出制御機能は、受信側で検知したIP網の品質 (パケット損失) を送信側に通知し、送信側では通知されたIP網の品質 (パケット損失) からIP網のスループットを予測して、これに応じたエンコーディングレートの更新を行うことで実現しています。

階層符号化機能
JPEG2000の階層符号化機能を活用し、映像情報を画質の重要度で区分けしており、IP網の優先制御によりパケット損失が発生しても、画質のうえで重要度が低い映像情報だけが喪失されます。これにより、IP網における急激な品質変動時においても、映像にブロックノイズが入ることやフリーズするといった問題を最小限に抑えます。
更に、スループットが保証されたIP網においても、映像の内容によってバースト的に発生する映像信号をそのままIPパケットで送出するとパケット損失が発生しうるため、本開発装置ではこれを避けるべく、高い精度で等間隔のパケットを送出する機能 (シェーパー) を実装しています。

KDDIとKDDI研究所は、今後、本開発装置の各種性能評価を進めていきます。また、放送事業者のみならず、医療や企業内の高品位映像伝送の分野も対象とし、本開発装置を使用したIP映像伝送サービスの提供等について検討を進めていく予定です。

なお、本装置の開発にあたっては、日本放送協会 (NHK) 様の協力をいただきました。また、本装置は4月24日 (月) より米国ラスベガスで開催される2006NAB全米放送協会展で展示します。

●用語説明
1.  JPEG2000
離散ウェーブレット変換をベースとする静止画像符号化方式。2000年9月にISO/IECにて国際標準として規格化。JPEG2000を応用した動画像符号化方式には、フレーム間予測を使用しないため、符号化処理に要する遅延が少ない、圧縮データのフレーム単位の編集が可能といったメリットがあります。SMPTE〈Society of Motion Picture and Television Engineers:全米映画テレビジョン技術者協会〉ではデジタルシネマの符号化方式としてJPEG2000を採用しています。
2.  HDTV
高精細テレビジョンの総称で、国内のデジタル放送では1080i (有効走査線数: 1080本、飛越走査) と720p (有効走査線数: 720本、順次走査) がHDTVとして位置づけられ、既にそのための放送サービスも行われています。
3.  MPEG-2
デジタル放送ならびにDVD用の映像符号化方式として世界的に採用されている動画像符号化方式。1995年にISO/IECにて国際標準として規格化。
4.  SDH
光ファイバー・ケーブルによるデジタル通信の信号を多重化するために、階層的にチャンネルを多重化するITU (国際電気通信連合) で標準化された、155Mbps、622Mbps、2.4Gbps、10Gbpsの速度規格をもつ光の超高速専用線国際規格。


ニュースリリース > 2006年
このページの先頭へ
Designing The Future ここから当ウェブサイトの情報についてのメニューです。
免責事項 リンクについて 推奨環境 プライバシーポリシー Copyright © KDDI CORPORATION. All Rights Reserved.