100年つづく
豊かな暮らしを、
みんなのチカラで。

分散型まちづくり

ソリューション事業本部 サービス企画開発本部
企画開発戦略部

学生時代のau販売スタッフの経験をきっかけに、2008年に新卒で入社。コンシューマ事業部、ソリューション事業部を経て、海外勤務も経験。幅広い経験が評価され、2021年にサービス企画開発本部へ異動。JR東日本とKDDIが共同で進める分散型まちづくり「空間自在プロジェクト」を担当している。

交通と通信の融合で実現する
新しい働き方・暮らし方

コロナ禍における行動の制限によって、多くの人々が他者と自由に会うことも、思いのままに旅行することもできない状況が続いています。我々が手掛けている「空間自在プロジェクト」は、こうした状況下にあっても、人々が他者との出会いや新しい場所での体験を楽しむことを実現していくプロジェクトです。

2020年に品川駅の隣に「高輪ゲートウェイ駅」が開業しましたが、2025年には高輪エリアの大規模なまちびらきを予定しています。そこに向けて、コアシティ及びサテライトシティにおける、5Gを前提とした最先端の通信インフラとサービスプラットフォーム (都市OS) の構築をJR東日本と共同で進めているところです。

私たちが手掛ける「空間自在プロジェクト」は、都市に必要な機能を一極集中させるスマートシティとは異なり、都市部の「コアシティ」と郊外・地方の「サテライトシティ」を交通と通信の融合により、時間や場所にとらわれない働き方や、暮らし方を実現するというコンセプトを掲げています。ポストコロナを見据え、まさに持続可能な社会の実現に向けた分散型のまちづくりです。

時間や場所にとらわれない、「空間自在」な職場の実現に向けた実証実験

私がいま担当しているのは、人々の働き方に関する課題解決を目指す「ワークプレイス」事業です。コロナ禍で、国内でもテレワークが一気に普及しましたが、コミュニケーション不足やチームワーク醸成の難しさが多くの企業で課題となっています。これを解決するキーワードが「空間の越境」にあると我々はみています。

まず取り組んだのが、オフィスの壁一面に高精細な4K映像を投影して、別の拠点にリアルタイムで表示する試みです。モニターを使ったウェブ会議では空間的な距離を感じますが、壁への投影によって空間が一体化し、会議参加者からは「ウェブ会議ツールよりも臨場感があって、コミュニケーションが取りやすい」といった声を聞くことができ、確かな手ごたえを感じています。実証実験の中で感情分析と会話分析を行ったところ、ウェブ会議と比較し、参加者の感情が豊かになり、発言量も上がりました。

また、想定していなかった発見もありました。オンラインでつないだ2拠点に5人ずつ分かれてワークショップを実施した場合と、1カ所に10人が集まってワークショップを実施した場合、前者の方が活発な議論ができるという声があがりました。

大人数が1カ所に集まると発言する人物は固定され、全員で会話をすることが難しい場面も少なくありません。しかし、1箇所の人数をコンパクトにすることで、会話のしやすい環境が担保されながらも、オンラインによって空間がつながっているため、自然なかたちで全員が積極的に参加する会議となったのです。リアルの場で課題となっていたことが、オンラインによって解決できたのは大きな発見で、リアルを代替するためのオンライン、という活用法だけでなく、リアルをさらに拡張するような空間づくりを目指していきたいですね。

パートナーとの連携が学びにつながる

本プロジェクトは「空間自在コンソーシアム」として、企業や自治体、スタートアップなど、およそ30のパートナーと連携し、先の実証実験もパートナーの協力を得て実現したものです。これほどの規模で他社や自治体の方とフラットな立場で関わるのは私としては初めての経験で、文化や考え方の違いが学びとなっています。ふだんは接する機会のない、さまざまな領域のプロフェッショナルの方々との意見交換によって互いに刺激しあい、知見を深めていくことでより良いアイデアを出し、今後お客さまに使いやすいサービスを開発していきたいです。

一連の取り組みは、離れた空間を一体化させた職場づくりという観点だけでなく、それこそ家族や友人との食事といったライフスタイルの視点や、ライブイベントや旅行などエンタメ・観光領域でも活用できるはずです。これからもパートナーとの連携のもと「空間自在」がもたらす恩恵を幅広い領域に展開していきたいですね。

未来のまちづくりに通信は必要不可欠

こうして大規模なプロジェクトに携わっていますが、KDDIに入社した頃は自分がまちづくりに関われるなど思いもしませんでした。KDDIにとっても、これほどの規模で通信インフラやサービスをゼロから構築している例は多くありません。

しかし、振り返ってみるとコンシューマ営業時代にはユーザー同士のコミュニケーションを助け、法人営業時代にはIoTを軸にお客さまと新しいビジネスの創出に奮闘してきました。我々が提供する通信サービスは、いまや身の回りのあらゆるモノに溶け込んでおり、分散型まちづくりにおいても、人々の新しい暮らしをデザインする上で必要不可欠なものなのです。

これからも、通信で"つなぐ"ことを意識しながら、人々の暮らしが変わるきっかけをお届けしていきたいと思っています。目先のビジネスだけに注力するのでなく、まちに住む人、働く人、訪れる人の話に耳を傾けて、100年先の未来につながる持続的なまちづくりがしたい。それが私たちの使命でありチャレンジなのです。

  • 所属・内容等は取材当時のものです。