人財育成
方針
KDDIは、「人財ファースト企業への変革」という方針に沿って人財を確保・育成し、社員力の向上を図ることを最重要課題と定めています。
この課題を背景に、2020年に「プロを創り、育てる」をコンセプトにした「KDDI版ジョブ型人事制度」を導入しました。
制度導入により、高い専門性を持つ人財を惹きつけるだけでなく、個の能力、ライフステージに合わせて挑戦できる風土を作り、挑戦を通じた成長の好循環が生まれることを目指しています。
「KDDI版」としている制度の特徴は大きく2つあります。
まず、30の専門領域を定義し、職務やスキルを具体化することで、社員が専門性を深化できる環境を整備しました。
次に、共創と協業を重視し、組織を成功に導く「人間力」が評価されるようにしています。評価に応じて、ダイレクトに報いる報酬体系となっています。
さらに、社員の専門性と人間力の向上をサポートするため、社内教育機関の「KDDI DX University」を始めとしたキャリア形成支援制度を取り揃えております。
グレード制度・専門領域
KDDIでは、職務役割の大きさと期待される人財要件の違いで区分される等級を「グレード」として定め、そのうち管理職(経営基幹職と呼称)をリーダー系統とプロ系統で分けています。各グレードで求められる職務役割や人財要件を、グレード定義書で定めており、キャリア形成や目標設定、評価制度、グレード任用の指標など、あらゆる制度の基準として活用しています。
KDDI版ジョブ型人事制度において、KDDI社員一人ひとりがプロとして活躍するための専門性の単位を「専門領域」と位置付けています。専門領域ごとに、グレード定義書をより具体化したものを専門領域定義書で定めており、実際の仕事内容とあわせて求められる役割や能力、専門性の度合いを社員一人ひとりが把握できます。
- ※30の専門領域は以下の通り。
「コンシューマ営業」「法人営業」「営業支援」「事業戦略・事業管理」「マーケティング」「監査(リスクマネジメント)」「M&A」「渉外」「総務」「人事」「リーガル・知財」「アカウンティング」「購買・物流」「カスタマーサービス」「RAN・コア・固定系 NWエンジニア」「衛星・短波・海底ケーブル」「建設系NWエンジニア」「商品開発エンジニア」「ソリューションSE」「ファシリティエンジニア」「情報セキュリティ」「ネゴシエーター」「NWアーキテクト」「アナリスト」「研究開発」「ビジネスディベロップメント」「コンサルタント&プロダクトマネージャー」「テクノロジスト」「エクスペリエンスアーキテクト」「データサイエンティスト」
評価・報酬制度
KDDIは、公正で透明な人事評価を実現するため、職能や年次に基づく評価を廃止し、「成果・挑戦」と「能力」に基づく評価を重視しています。
「成果」は成果そのものに加えその挑戦行動に、「能力」は人間力と専門性に焦点を当てています。社員一人ひとりが成果を最大化し、能力を開発するために、上司との1on1を定期的(月1回)に行い、信頼関係の構築やキャリア形成を支援しています。
成果・挑戦評価では期初に成果目標とそのために行う挑戦行動を設定し、期中の1on1を通じて軌道修正を行い、期末に振り返り、評価を実施します。
能力評価では、人間力・専門性を360度評価や上司評価を通じて評価します。
これらの評価結果を基に、社員の立ち位置を可視化し、キャリア開発と報酬に反映します。
賞与は、会社業績賞与と個人業績連動賞与の2つで構成され、会社業績と個人の成果を基に決定されます。
キャリア形成支援制度
各職位に応じた研修プログラムやキャリア支援を整備し、社員のスキル向上と成長をサポートしています。
KDDI DX Universityを通じて、全社員が共通して受けられる教育機会を提供し、新任ライン長研修やキャリア相談など、階層別の支援も実施しています。
また、選抜型の研修や部門固有の研修を通じて、個別のキャリアニーズにも対応しています。

KDDI DX University
KDDI DX Universityでは、KDDIの事業を担うプロ人財の育成と社員のキャリア実現のために必要なスキルを学ぶプログラムを通年で開講しています。
30の専門領域ごとに定義された約120の「専門スキル」と、KDDIが定義する18のコアスキルやDX・AIの基礎を含む「ポータブルスキル」があり、オンライン・対面・eラーニング※1の多様な研修スタイルで社員のスキル向上をサポートしています。
自身のスキルやキャリアプランに応じて必要なプログラムに参加することができます。
- ※1eラーニングは社外出向者、受入出向者、契約社員(嘱託社員)も受講可能
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プログラムの特徴 | |
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専門スキル KDDIの事業を支える30の専門領域ごとのスキルを学ぶ研修プログラム |
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各専門領域ごとの有識者・外部パートナーが開発しており、実務で活用しやすい実践的なプログラム |
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ポータブルスキル 仕事を進めるうえで基盤となるスキル、知識を学ぶ研修プログラム |
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多岐にわたる事業フィールド・キャリア機会がある中で、専門領域や部署が変わっても能力発揮できる強固な土台を培える、多様なプログラム |
ポータブルスキル研修例
- 生成AI基礎スキル研修
全事業/全部門で、生成AIを活用し、生産性向上を推進すること、各社員が生成AIの概念を理解し、基本的な使い方、順守すべき注意点を正しく理解することを目的とした研修です。
生成AIスキルレベルをLv.0からLv.4の5段階で設定しており、Lv.2「少し長い文章の質問や指示ができる」人財を増やすことを目指しています。
24年6月から25年2月でLv.2以上の社員が、57%から67%と10pt増加しました。 - リーダーシップと組織マネジメント(コアスキル研修)
リーダーに求められる自組織のパフォーマンスを高めるために必要な行動について学習し、現場ですぐに実践できるようになることを目的としたeラーニングです。
専門領域別研修例
- DX領域研修
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内容 - DXに特化した人財育成を目的に、ビジネスディベロップメント、コンサルタント&プロダクトマネージャー、テクノロジスト、データサイエンティスト、エクスペリエンスアーキテクトをDX専門領域と定義し、DXに関する体系的な研修カリキュラムを提供
- 研修プログラムは現業と並行し1年間受講する一般受講と、短期集中型の注力育成の2コースを設置
目的・ビジネス上の利点 ビジネスディベロップメント、データサイエンティストなど、社内外の変革に向けてデータをベースにビジネスデザインを行い、さまざまな関係者を巻き込んだ上で新たな事業開発や社内改革を推進していく能力を持った「DX人財」の充実 ビジネス上の定量的な利点 2024年度の総受講人数731人のうち215人がKDDIが定めるDX領域のプロ人財として成長し、最注力領域であるDX領域の成長を支えている プログラムに参加しているFTEの割合 7.7%
- KMU(KDDI Marketing University)(営業・マーケ系領域研修の一つ)
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内容 - マーケティングプロ人財6職種のジョブ・スキルを定義した上で、スタンス・基礎・マーケティング領域共通・職種別専門の3スキル・全60講座を約1年間をかけて一気通貫で習得する独自の学習プログラム(リアル講座)※2
- スキル習得度を可視化する定期的なスキルアセスメントやフォローアップ体制も整備
目的・ビジネス上の利点 - ブランド・コミュニケーション本部にてプロ人財育成強化を開始した2021年当時、新型コロナウイルスやDX化の進展によりお客さまのライフスタイル・ビジネスが急速に変化しており、これに対応するためにはこれまでの広告代理店さまなどパートナー企業依存から脱却し、自社内で専門スキルの高い少人数メンバーが戦略/PR/制作までの幅広い業務を担う、「インハウスマーケティング(内製化)によるコミュニケーションの高度化」が大きな課題だった
- 22年度より本部の目指す姿を「世の中の変化・競争環境の変化を捉え、2030年ビジョン・目指す姿の実現に貢献するプロ人財組織への変革」とし、成果創出できるプロのマーケターを育成・輩出し、自本部内のノウハウ蓄積→マーケティング高度化→内製化促進により、継続的なアウトプットの実現を目指し、本取り組みを開始
- 専門スキルを備えたプロのマーケターの育成・輩出と、社員が活躍できるフィールドが拡がったことによるエンゲージメントスコア(やりがい・成果に対する承認など)の向上という成果にもつながっている
ビジネス上の定量的な利点 - プロ人財の育成
全社プロ人財の基準である専門スキルレベル「4」に相当する人材を5名輩出。(KMU1~3期生63名)
それぞれ経営基幹職(グループリーダー・エキスパート)に就任中。 - エンゲージメント向上
全社エンゲージメントサーベイの総合スコアにおいて、KMU1期生+6pt、KMU2・3期生+10pt上昇※3【23年度11月前年同月比】
特に、「やりがい」1期生+8pt、2・3期生+22pt、「成果に対する承認」1期生+9pt、2・3期生+15ptと増加などからは、日常業務への好影響を確認。 - 点内製化・業務効率化の推進への貢献
「SNS企画・運用」・「Web運用関連」「動画・グラフィック制作」関連業務において、KMU卒業生もメンバーとして、内製化・効率化を推進し、制作・運用・広告費用の削減に貢献※4
プログラムに参加しているFTEの割合 6% - ※2KMUの詳細
- 1スタンス研修
プログラムのスタートにあたり、クリエイティブな場で、プロのマーケターから、キャリア自律への道を学び、志・目標を設定する - 2基礎スキル研修
プレゼンテーション・デザインシンキング・プロジェクトマネジメントなど“使える”スキルの習得を目指し、講義時間の半分近くは演習やアクティビティを実施して体得する - 3マーケティング共通スキル研修
プロマーケターに必要な3つの共通スキル「徹底したお客さま視点」・「市場適応力」・「協働力」を、3ステップに分けて学ぶ - 4マーケティング専門スキル研修
各職種に分かれ知識・実戦経験を並行して体得し、各領域のプロマーケターとしての土台を醸成する - 5スキルアセスメント
KMU受講生の成長と、組織全体のプロ人財集団としての変革状況の把握を目的に、スキルディクショナリ(スキル定義書)を整備、そこで定義した習熟度基準に則り、定期的なスキルアセスメントを実施
- 1スタンス研修
- ※3参考値:未受講生(ライン長除)+3pt、全社平均は+1pt増加
- ※4削減費用は関係社外秘のため非公表
その他の人財育成制度・施策
主な人事制度・施策
ジョブ型人事制度、キャリア形成支援制度のほかに、定期的に自身のキャリアについて考える機会を設けることで、毎月実施する上司との1on1やキャリアコンサルタントへの相談などを通じて方向性を定め、社内副業や異動など、具体的なキャリア開発に向けた取り組みにつなげることを促進しています。
| 制度 | 概要 |
|---|---|
| キャリアプラン申告 | 年に1度、自身のキャリアについて考える機会を設け、キャリア自律を促進すること、キャリア情報の一部を全社に公開し、人財マッチングの土台とすることを目的に、将来目指す姿やそれを実現するための具体的なキャリアプランを策定する |
| 能力開発計画 | キャリア実現やスキル向上のためのアクションプランの実効性を高めることを目的に、上司と対話しながら、自身の成果・能力発揮度の振返り、および1年間のアクションプランを策定する |
| 個別キャリア相談 | 年々増加するキャリアに関する相談に対応することで現場の上司との1on1以外にも社員を見守る体制を整備することを目的に、キャリアコンサルタントの資格を持った社員もしくは社外のキャリアコンサルタントから選択してキャリア相談ができる |
| グループ副業制度(社内副業制度) | ジョブローテーション制度・公募制度と並び、自律的なキャリア形成を支援することを目的に、業務時間の20%を上限に本業とは異なる実践の場を提供する制度 |
| 公募制度 | KDDIグループの広範な事業領域を活用した社員のキャリア実現を支援することを目的に、社員自らの意志で新たなポジションに挑戦できる機会を提供する制度 |
| 社内FA(フリーエージェント)制度 | 成長領域や重要ポジションに優秀層を異動させ、組織・事業成長を推進することと、キャリア実現への挑戦機会を提供することを目的とした制度 |
| 役員補佐制度 | 次世代リーダー候補が取締役などの役員の補佐役として業務を行う職位に就き、経営者の考え方を間近で学ぶ |
| 海外トレーニー | グローバル人財を育成することを目的に、海外拠点(KDDI海外現地法人など)で1年間の営業・技術・コーポレート業務などの実務経験を積む制度 |
部門固有での育成施策
経営基幹職候補への育成プログラムについては、各部門の課題に対応するため各部門で企画・実行しています。
コミュニティ活動
KDDIでは、社員自身が主体となってコミュニティ活動を運営しています。チームやネットワークを通じたこれらの活動は、業務におけるスキルやノウハウの共有を目的としており、組織全体の成長を促進しています。
オンラインチャットツールでの情報共有や、社員自らが講師を務める勉強会やセミナーが主な活動となっています。これにより、社員は最新の知識や技術を常に学び合うことができます。







