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自治体・パートナー企業と連携した事例紹介
事例紹介: 愛媛県南予地域における観光型MaaSの実証実験〜公共交通の利便性向上・旅のシームレス化を実現〜
事例紹介: 愛媛県南予地域における観光型MaaSの実証実験〜公共交通の利便性向上・旅のシームレス化を実現〜
背景と課題
南予地域の公共交通と観光の活性化が課題

商工観光室 商工観光・労政グループ 担当係長
小林 亘さま
南予は愛媛県内でも高齢化が進んでいる地域であり、それに伴う人口減少という課題を抱えています。人口が減ってくれば、地域経済活動の低下が懸念され自ずと公共交通の利用にも影響が出てきます。今後、南予地域の公共交通を維持・確保していくためにも、地域住民の皆さまに日常生活の足としてご利用いただくだけでなく、観光に来てくださるお客さまに公共交通をお使いいただき、地域経済の活性化につなげていくことが重要と考えています。

本県の場合、自家用車で観光に来られるお客さまが多く、もっと鉄道やバスなどを利用していただくには、なんらかの工夫が必要です。今回のプロジェクトでは、デジタルフリーパスを利用するほどポイントが貯まるしくみを導入しています。ポイントを貯めながら南予を楽しく周遊していただくことで、公共交通は便利だと感じていただくことができれば、公共交通、観光の双方の活性化につながっていくのではないかと期待しています。
県と市町が一丸となって地域の観光を盛り上げる、旅南予協議会
KDDIとともにプロジェクトの事務局を務めている旅南予協議会 (正式名称・南予広域連携観光交流推進協議会) は、平成16年に愛媛県と南予地域9市町、関係団体などが連携し、地域の観光を盛り上げる目的で発足した組織です。
プロジェクトは当初、KDDIと宇和島市から愛媛県南予地方局に提案されたものでしたが、ちょうど南予地域限定の実証実験であり、同協議会の目的とも合致していたことから旅南予協議会としてプロジェクトに参画することになりました。すでに県と各市町の連携のベースがあったことも、プロジェクト推進には適していたといえます。
旅南予協議会×KDDIによる取り組み事例
観光型MaaSによる公共交通・観光課題解決による地域活性化
今回の観光型MaaSの実証実験では、南予地域の交通機関各社を巻き込んだ「えひめ いやしの南予デジタルフリーパス」を発行し、地域内における交通機関のシームレス化を実現。地域外からの観光客誘致を推進し、地域の観光、交通の活性化に取り組みました。
プロジェクト参画団体
南予広域連携観光交流推進協議会、四国旅客鉄道株式会社、全日本空輸株式会社、伊予鉄バス株式会社、宇和島自動車株式会社、株式会社瀬戸内ブランドコーポレーション、一般社団法人愛媛県バス協会、石崎汽船株式会社、KDDI株式会社
「えひめ いやしの南予デジタルフリーパス」
[1] アプリのダウンロード不要・個人情報登録不要・接触不要!
自分のスマートフォンを空港や駅などに設置されたNFCタグにかざすかQRコードを読み込むとデジタルフリーパスの購入画面が表示されます。Google ID、Apple IDと連携し、スマートフォンに登録済の決済手段を呼び出すことで、会員登録、決済ができます。
ANAアプリ上の「空港アクセスナビ」を開くと、デジタルフリーパスのページが表示され、そのまま購入することも可能です。
[2] スマホ1つで公共交通機関をシームレスに利用できる!
デジタルフリーパスの購入後は、NFCタグにかざすかQRコードを読み込むと瞬時にデジタルフリーパスが表示されます。
デジタルフリーパスを見せるだけで、南予地域のJR四国の特急列車、伊予鉄グループの路線バス、宇和島自動車の路線バスが乗り放題。
駅のポスターにスマホをかざせば、周辺の観光施設の情報も検索可能。AppleやGoogleのマップ機能と連携し、最寄り駅からのルート案内なども可能です。
[3] 交通機関の利用状況に応じて観光施設の割引券がもらえる!
交通機関の利用で「南予のりつぎポイント」が貯まり、4ポイントごとに域内観光施設の入場券と交換することができます。
アプリダウンロード不要で、購入のハードルを下げる
実証実験は2カ月という短い期間でしたので、周知というのはなかなか難しいですが、一般の方からもお問い合わせをいただき、徐々に皆さまに知っていただけているのかなと感じています。
今回、KDDIからの提案でアプリのダウンロードが不要となったのは、とても良い取り組みだったと思います。旅行者にとって地域限定アプリのダウンロードはハードルが高いと常々感じていましたので、アプリ不要、WEBサイト上ですべての取引ができることで購入のハードルを下げることができたのではないかと思っています。

観光物産課 観光まちづくりグループ 担当係長
越智 亮治さま
マイクロツーリズムでの活用にも期待
コロナ禍の中、愛媛県では観光支援対策として県内での宿泊割引を単独で実施しています。まず愛媛県民を対象に支援を始め、現在は中・四国と大分、宮崎在住の方にまで対象を広げました。(2020年12月2日現在)
実は、宿泊割引の利用状況を調べたところ、利用者の7割以上が愛媛県在住のお客さまであることがわかりました。今回の実証実験では、地域外からの観光客誘致に重点を置いていましたが、コロナの状況だからこそ、県内にお住まいの皆さまが近場の旅行を楽しむ「マイクロツーリズム」でもお使いいただけるようになればという思いもあります。
実証実験により公共交通機関のまとまりがより強固に
令和元年度の末頃からKDDIと共に各機関との協議を始めました。非常に良い取り組みで、我々としてもプロジェクトの成功に向けて熱が入りましたし、KDDIの取り組みは大変ありがたかったと思っています。結果的に、地域の公共交通がひとつにまとまり、これまでにない取り組みとなりました。キャッシュレス化などの課題はあったものの、鉄道やバスの現場でも、大きな戸惑いはなく受け入れていただけたと思います。今回の実証実験を経て、個人的には公共交通にも観光にも、これ以上の取り組みができるのではないかという期待がありますし、他の分野にも展開できるようなものになっていけば、公共交通を担当する者としても大変喜ばしいことだと思っています。

交通対策課 交通政策グループ 担当係長
松浦 祐介さま
これからの時代の公共交通にデジタル技術を活かす
この観光型MaaSの実証実験では、デジタルフリーパスの利用情報がクラウド上に集約され、利用者がどのように行動されたのかを分析することができます。こうしたデジタル技術をさらに活用していけば、電車やバスの混雑状況などを把握し、「この時間帯は空いています」など、必要な人に必要な情報を提供することも可能になると思います。南予に限らず、コロナ禍で公共交通機関は対応に苦慮していますので、そうした状況の打破にも貢献できるのではないかと考えています。
今後の展望
令和3年の「えひめ南予きずな博」でも実証実験を実施

平成30年の西日本豪雨では、南予地域は大きな被害を受けました。復興は未だ道半ばの状況ですが、災害発生から3年目を迎える令和3年に全国からいただいたご支援に感謝し、皆さまとの絆をより深めていこうという思いと、復興に向けて頑張っている地域の姿を通して南予の魅力を伝えたいという思いから「えひめ南予きずな博」を開催することになりました。
このような目的ですから、大型イベントで人を呼ぶというよりも、地域課題の解決につながるようなプロジェクトをいくつも立ち上げ、創造的復興を推進していくものになる予定です。KDDIとの観光型MaaSの実証実験についても、さらなる実証実験を行うべく話し合いを続けているところです。
本県ではサイクリングでの観光に力を入れており、「えひめ南予きずな博」でも「南予中にE-バイクのレンタサイクルを広めよう」というプロジェクトを企画しています。次の観光型MaaSの実証実験でも、このレンタサイクルとの連動を検討中です。
南予地域は、トレッキングやキャニオ二ングといったアクティビティが充実していますし、景色も大変いいところですから、公共交通機関で観光地へ行き、そこからはサイクリングで観光を楽しんでいただけたらという思いがあります。
南予地域×KDDIでできることはたくさんある
行政として地域に様々な課題を感じていても、その解決方法をなかなか見いだせていないという状況は、観光や交通に限らずたくさんあります。国内大手の情報通信事業者であるKDDIの知識・技術と、我々の抱えている課題がマッチングする部分は多々あると思いますので、これからもご提案をいただいたり、こちらからご相談させていただいたりすることができれば、いろいろな分野で共同事業が生まれてくるのではないかと期待しています。
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