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事例紹介: Society5.0社会を支えるイノベーション人財を育成する~仙台高専 PBL授業とビジネスコンテストへの挑戦
事例紹介: Society5.0社会を支えるイノベーション人財を育成する~仙台高専 PBL授業とビジネスコンテストへの挑戦
独立行政法人国立高等専門学校機構仙台高等専門学校 (以下、仙台高専) とKDDIは、2020年8月に「地域を担うイノベーション人財を育成する包括的連携協定」を締結。この協定に基づき、両社で具体的な取り組みを話し合い、同校が実施している「融合型PBL」(注1) の2021年度初回の授業で、KDDI社員が講師を務めました。そして、PBLのさらなる実践の場として、同校学生チームがビジネスプランコンテスト (以下、ビジコン) に挑戦することとなり、KDDIはそのサポートも行いました。今回、これらの実施内容について、同校の千葉慎二教授と、実際にビジコンに参加した佐藤優輝さんにお話を伺いました。
背景と課題
未来社会に貢献する技術者を育成する

仙台高等専門学校総合工学科I類 教授
千葉慎二さま
日本が「Society5.0」という新たな社会を目指す中、全国の国立高等専門学校を設置した独立行政法人国立高等専門学校機構は、未来の社会を支えていく技術者・研究者の育成を目指し、「COMPASS5.0」という事業を立ち上げました。
AI、IoT、ロボット、サイバーセキュリティの4分野について、特に重点を置いて教育改革を進めているところですが、仙台高専はその中でIoT分野の拠点校として、教育カリキュラムや教材パッケージを開発する役割を担っています。
KDDIに協力していただいた4年生を対象とした「融合型PBL」授業も、当校のIoT教育に関する取り組みの一つとして実施しているもので、異なる専攻の学生たちが1つのチームを組み、力を合わせて課題発見・課題解決をしていく力を身につけることを目標としています。企業のビジネスの場で培った解決手法、ノウハウなどを教えていただくことで、学生たちは普段の授業とは異なる学びに触れることができます。AIやIoTの専門知識を養うだけでなく、自分たちの学んだ知識やスキルをどのように社会に生かしていくかを考える機会になればと思っています。
PBLからビジコンへの挑戦
「融合型PBL」授業を受け、ここで学んだことをさらに発展させたいと興味を持つ学生には、ビジコンなど学外活動への挑戦を積極的に後押ししていきたいと考えています。今回、ビジコンに出場してみようという学生チームが2つあり、KDDIにその指導もお願いしました。
仙台高専の授業でも、学生が自分のアイデアで何かを作ることはありますが、どうしても学生たちは授業で学んだ知識や技術を使うことだけを考えてしまいがちです。ところがビジコンとなると、そこにビジネスの視点が必要になってきます。技術的な仕様だけでなく、お金を生み出すものを作らなければなりません。言い換えれば「社会の役に立つものを作る」ことに学生が目覚めるきっかけになると思います。
ただし、ビジネスとして社会の課題を見つけるといっても、学生だけでは視野に限りがあり、社会の深刻な課題にまで目を向けるのは難しいものです。KDDIのように世界規模でさまざまなプロジェクトを手がけている企業にサポートいただくことで、学生たちも新たな発見ができると期待しています。
仙台高専×KDDIによる取り組み事例
融合型PBL授業「デザイン思考ワークショップ」+学生たちのビジコン挑戦をサポート
<取り組みの概要>
今回の取り組みは、下記のように [1] の講義があり、それを受けたあとで、[2] の学生チームのビジコン挑戦のサポートを実施した。
[1] PBL型授業で課題解決に関するワークショプを実施
2021年4月、仙台高専の融合型PBL授業内で「デザイン思考ワークショップ」を実施した。
当日は、仙台高専広瀬キャンパスに集まった4年生120名を対象に、KDDIの講師が「デザイン思考」の考え方や特徴についての講義をオンラインで実施。続いて、デザイン思考の実践として、グループワーク形式で課題の発見 (理解、抽出、整理) と解決策の検討 (アイデアの発散から収束) を行った。
オンライン参加したKDDI講師
(左: KDDI地方創生推進部 大野、右: 同 関田)
「デザイン思考」の講義を受ける仙台高専広瀬キャンパスの学生たち
課題発見や課題解決を、チームごとにディスカッションし意見をまとめる
チームでまとめた内容を、それぞれの代表者が発表した
[2]「SPARK! TOHOKU 2021 Startup Pitch」に挑戦する学生をサポート
「デザイン思考ワークショップ」授業の後、PBLのさらなる実践として2つの学生チームが、ビジコン「SPARK! TOHOKU 2021 Startup Pitch」(注2) に挑戦することとなり、コンテストへのエントリーおよびプレゼンに向けた講義とメンタリング (
注3) を実施。
これらのサポートを、以下の2つのフェーズで行った。
第1フェーズ
9月7日に初顔合わせを行い、10月1日のエントリーシート提出期限まで、Teamsによるオンライン講義やMiro (オンライン上で使用できるホワイトボード) を用いたワークショップ、学生メンバーに対するメンタリングを実施。
↓
10月18日、選考結果公表。仙台高専の2チームは、見事に審査を通過。
「SPARK! TOHOKU 2021 Startup Pitch」本選への出場決定!
↓
第2フェーズ
10月中旬から12月19日の本選までサポートを実施。プレゼンのピッチ手法や構成に関するアドバイス、想定QAを通じた実践的なプレゼントレーニング、メンタリングなどを行った。
先生、学生、KDDIによるオンライン上でのオリエンテーションの様子
ピッチの組み立て方や参考例などを講義で紹介
それぞれの学生チームにメンターが付き、疑問点や不安点などへのアドバイスを行った
↓
12月19日、ビジコン本選出場
学生2チーム、それぞれが受賞!
ビジコンに参加した高橋研究室チームの皆さん
タイトル: 仮想学校
受賞: 東北総合通信局長賞,KDDI賞
ビジコンに参加した千葉研究室チームの皆さん
タイトル: IoT防犯ブザーを活用した子供の地域防犯システム
受賞: EO North Japan賞,KDDI賞
大きな発見が得られたPBL型授業

仙台高等専門学校総合工学科I類知能エレクトロニクスコース4年
佐藤優輝さん
今までグループで取り組むことはあっても、「みんなでアイデアを出し合って決める」という経験はなかったですし、事業計画目標を立てるというのも初めてでした。新鮮な気持ちで楽しく授業に取り組めたと思います。
ワークショップでは、自分たちの日常的な行動の中から課題を探し、それをビジネスアイデアにつなげる作業をチームで行ったのですが、暮らしの中にビジネスのヒントがあることに気づいたのは、自分にとって大きな発見になりました。また、メンバーそれぞれの持っている背景によってアイデアが異なることを実感できたのもよかったと思います。
ビジコンの全ての経験が自分のためになった

12月19日、審査員の前でプレゼンを行う佐藤さん
千葉先生から「ビジコンに出てみないか」と声をかけていただいた時、それがどんな雰囲気のものかもわからず、不安もありました。ただ、自分にとっては、とてもいい経験ができる機会になるとも思いました。千葉研究室のメンバーはみんな頼りになる人たちですし、「自分たちになら、できる」と挑戦を決めました。
今回のことで苦労したのは、「自分たちの考えをどうやって審査員の方にわかりやすく伝えるか」ということでした。発表資料をメンバーみんなで締め切りギリギリまで詰め、自分はプレゼンのピッチ手法の練習を繰り返し行いました。研究室で先生やチームメンバーの前で予行練習させてもらったこともあります。
何もかもが初めてで戸惑いはありましたが、今回の一連の活動は自分にとって全てためになったと思います。審査員の方たちの前で考えを発表できたこともいい経験ですし、チームで協力したり、作業を分担したり、グループワークの進め方も少しうまくなったかなと感じています。
将来、どのような道に進むかはまだわかりませんが、社会人になった時、何かを発表したり、周りの人たちと協力して何かを行うことがあるはずですから、そういう時に今回の経験が役に立つと思います。
KDDIの皆さんは、講義もメンタリングも親身になって一つひとつ丁寧に教えてくださいました。全く知らない状態からビジコンで賞をいただくまで、本当に心強いサポートをしていただきました。
今後の展望
学生たちが新たな学びを得た、有意義な経験

千葉先生と研究室の学生の皆さん
今回、ビジコンに参加した千葉研究室のメンバーは、普段はLPWA (低消費電力で長距離のデータ通信を行う無線通信技術) という通信方式の研究を行っています。コンテストで発表するビジネスプランについても、その研究内容を生かしたものにしたいと考えていましたが、最初はなかなかビジネスの視点に至れなかったようです。それがKDDIのメンタリングを受けるうちに、ビジネスの視点でものごとを見られるようになり、社会のニーズに合わせたプランを考えられるようになりました。こうしたことが学べたのは、学生たちにとって非常に有意義なことだったのではないでしょうか。
仙台高専からは2つのチームが出場し、最終的に賞をいただくことができました。KDDIのサポートでは、それぞれのチームを担当するメンターとスタッフがいて、アイデア出しの段階から最後の発表資料の作成まで、非常に丁寧にご指導いただきました。学生たちが最後まで諦めずにできたのは、KDDIの支援があったことが大きかったと思います。
多様な講義や共同研究など、さらなる連携を
これからも、学外のビジコンなどへの挑戦は続けていきたいですし、学内のPBL型授業においても、KDDIの講義の幅をもっと広げていくことができればと考えています。例えば、通常の授業で取り入れるのが難しい最先端技術の話や、技術者視点で情報通信の分野を教えていただく講義などの機会を増やしていきたいです。また、仙台高専は5Gの基地局になっていますので、それを使った授業や共同研究など、今後も連携しながら進めていくことができればと思います。
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