いいコミュニケーションが、
ひとつでも多く
生まれますように。
手話によるお客さま対応
KDDIプリシード (出向)
au Style SHINJUKU
三原 毅
聞こえない人と
auとのつながりをサポート
スマートフォンや携帯電話は、聴覚障がい者にとっても重要なツール。SNSやビデオ通話でリアルタイムにコミュニケーションが取れたり、インターネットや動画アプリで情報収集ができたりと、生活の向上に役立つ機能がそろっています。
KDDIでは、障がいの有無によらず、誰もが暮らしやすい社会を実現していこうと、バリアフリーの取り組みを実践。聴覚障がいのあるお客さまに対しては、一部auショップでの常駐手話プランナーのサポートや、ビデオ通話による手話通訳対応などを実施しています。
私はライフデザインサービスの複合的な提案を行うau Style SHINJUKUの店頭で手話接客を行うほか、全国の直営店との遠隔手話対応も担当。現場で顕在化した課題を社内にフィードバックし、改善活動を推進しています。また、手話対応店舗の認知拡大のためのプロモーションも行っています。
聴覚障がい者の働く場の拡大も視野に
聞こえないお客さまへの接客は、筆談だけでは情報が限られ時間もかかりますが、手話であればスムーズなご案内が可能です。納得して商品やサービスを選び、効果的に活用していただくことで、生活向上のお手伝いをしたいと思っています。
機種や料金プランはもちろん、障がい者割引制度や便利なアプリ、サービスのご案内も実施。手話は地域や環境、年代で語彙が異なり、モバイルのリテラシーにも違いがあるので、一人ひとりの状況に合わせて丁寧に説明しています。お客さまからは「初めて知った機能があった」、「今まで聞きたかったことが伝わり、涙が出るほどうれしかった」とお褒めのお声をいただくことも多く、リピーターも大勢いらっしゃいます。
au Style SHINJUKUでは手話サポートを希望するお客さまが増えてきたことで、それまで私一人で対応していたところ、2019年から手話プランナーを3名増員。日頃から手話プランナー同士が手話で意見交換を行うことで、働きがいの向上と同時にメンバーの成長につなげています。聞こえるプランナーも手話を覚えてくれる、とても働きやすい職場です。
最近は、聴覚障がいのあるスタッフが手話や筆談で接客するレストランなども徐々に増えていますが、当店でも聴覚障がい当事者の職場を開拓することで、多様性を認め合う社会につなげていきたいと考えています。
お客さまの声を大切に、
サービスに生かして
聞こえないお客さまと接するなかでいただく、切実なご要望。その方々の声を聞き、課題に取り組むことは、社会に対して影響を与えることでもあると思います。聴覚障がいの当事者として、その声をあきらめずに会社に伝え続けた結果、実現したサービスもいくつかあります。
たとえば、「メールやFAXでは時間がかかり、電話を紛失したときなどの緊急時に困る」という声に応え、お客さまセンターで手話通訳による対応を開始。手話接客のあるショップまで来られないお客さまのために、2020年から「遠隔手話サポート」も導入し、全国のauショップやau Styleで店頭のテレビ電話を使う手話通訳のサービスを提供しています。また、「auのCMのセリフがわからず、楽しめない」とのお声を受け、YouTubeではCMに字幕をつけました。
すべて実現につながったのは、積み重ねてきたチャレンジと、会社の理解があったから。転機になったのは、営業のサポートで携わった聴覚障がい者向けイベントでお客さまからいただいた声でした。それに応えようとau初の旗艦店立ち上げのスタッフ公募に挑戦し、au Style NAGOYAに初の手話プランナーとして配属。そのおかげで現場の声をタイムリーに社内へ届ける道をつくることができたと思っています。
通信の力を、聞こえない人の幸せにつなげたい
通信の技術革新は、障がい者が活躍できる範囲の拡大へ確実につながっています。長年、聴覚障がい者の社会参加には大きな壁がありましたが、テレビ電話や既読確認できるチャットのおかげで、聴覚障がいの有無を超えたコミュニケーションが当たり前にできる社会になりました。しかし、まだその技術を使えていない聴覚障がい者も多く、ご案内を続けることの社会的意義は大きいです。
今後は手話プランナーや遠隔手話サポートをさらに拡大し、誰でも気軽に利用できるサービスづくりを目指していきたいと思っています。今、構想しているのは、法令化によって2021年に開始する予定の「電話リレーサービス」に携わること。手話通訳オペレーターがオンラインで音声通話を聴覚障がい者に伝える制度で、自立の幅が広がることが期待されます。KDDIとして、この制度に関わることができないかと考えています。
生まれつきのろう者である私は、幼い頃から聞こえる人とのコミュニケーションに苦労してきましたが、技術が進歩したおかげでその垣根が非常に低くなりました。これからも、テクノロジーとスキルの両面を生かして、自分の経験を人々に伝え、その幸せをつなぐお手伝いをしていきたいです。
- おすすめコンテンツ
-