知的財産マネジメント

KDDIは、知的財産をサステナブルな事業成長のための重要な経営資源と位置付けており、事業戦略と一体化した知的財産活動を推進しています。

通信を核としたイノベーションの推進

KDDIは、研究開発、サービス企画・運用の各場面で、知財・無形資産(技術、発明、ノウハウ、ブランド、デザイン、データ、ソフトウエア、パートナリング、サプライチェーンなど)を創出・活用しており、これらは会社を支える重要な経営基盤となっています。5G通信を核とした注力領域の拡大を目指す「サテライトグロース戦略」推進のため、これらの領域における事業競争力の向上を図るべく特許ポートフォリオの充実やノウハウの獲得に取り組んできました。その結果、特許件数とパテントスコア(特許の注目度)は増加しています。

KDDIの特許件数とパテントスコア※1の推移

グラフ:KDDIの特許件数とパテントスコアの推移(特許の領域:コア、金融、DX、エネルギー、Orbit2※2、その他)
  1. ※1株式会社パテント・リザルトのBiz Cruncherを使用し、KDDI作成
  2. ※2モビリティ、宇宙、ヘルスケア、Web3・メタバース、スポーツ・エンタメ

注力領域におけるイノベーションをさらに推進し、事業拡大に向けて、競争優位性のある特許ポートフォリオとノウハウを拡充していきます。

「つなぐチカラの進化」を支える知財・無形資産

(1)高い通信品質を支える無形資産

サテライトグロース戦略のコアである通信は、社会的に欠かせないインフラであり、継続的に品質改善を行っています。
カスタマーセンターへのご要望やSNSに書き込まれたお客さまの声、端末や基地局の通信ログなどに加え、外部評価機関のデータを取り入れ分析を行っています。また、ネットワーク全体の通信経路見直しなど、年間100件以上のチューニングを繰り返し実施しています。
これらの地道な取り組みを通じて蓄積された技術・ノウハウこそが、KDDIの高品質な通信を支える無形資産です。
データの分析やお客さまへの調査を通じて、将来における利用動向の予測を丁寧に積み重ね、社会の急速な変化や多様化するニーズにも柔軟に対応できるよう備えています。
競合他社にはない無形資産によって、KDDIにしか提供できない高い付加価値を提供し、持続的な企業価値の向上につなげています。

通信品質改善の取り組み

イメージ:通信品質改善の取り組み

高品質な通信を支える無形資産

図表:高品質な通信を支える無形資産

(2)通信エリアの差別化を支える知財・無形資産

通信品質だけでなく、エリア差別化にも取り組んでいます。「au Starlink Direct」により、お客さまのスマホから「空が見えれば、どこでもつながる」を実現しています。
この実現に当社は制度整備から携わってきました。世界無線通信会議(WRC-23)に当社社員が日本代表として参加、国際的な制度化の道を開くことに成功しました。また、国内においては、他システムとの共用調整の実施など、衛星直接通信のための技術的条件策定に貢献することで、制度改正、免許交付を受け、サービス開始に至っています。
さらに、衛星通信によるテキストメッセージの送受信や、位置情報の共有などが可能となる「衛星モード」を幅広く端末に搭載するために、端末プラットフォーマーやメーカーなどとの交渉・調整を実施。地上周波数との共用によるauのお客さまの体感品質維持を両立するためのチューニング作業など、KDDIの技術・ノウハウが活かされています。
このように、KDDIの技術・ノウハウやパートナリングを活かすことによって、お客さまにとって高い付加価値の創出に至っています。
技術・ノウハウ、パートナリングなどの無形資産の活用だけでなく、お客さまとの接点を強化するため、差別化した通信エリア上でのビジネスモデル特許などの知的財産権を獲得し、サービスでも競争優位を築き、事業成長を支える取り組みを行っています。

差別化した通信エリア上でのビジネスモデル特許

イメージ:差別化した通信エリア上でのビジネスモデル特許(特許7662911)
サーバが、ユーザ端末から所定情報と宛先を衛星局を介して受信し、宛先が登録されている場合に送信する。

ブランド価値の向上

「KDDI VISION 2030」の実現に向けた取り組みを発信するオウンドメディア「KDDIトビラ」を中心に、TVCMや協賛活動、ブランド体験施設「GINZA 456」など、さまざまなお客さま接点を通じて、KDDIブランドへの共感や期待の醸成を図っています。
また、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の未来社会ショーケース事業「フューチャーライフ万博・未来の都市」のプラチナパートナーとして、「Society 5.0と未来の都市」をテーマに株式会社日立製作所と共同出展しました。本出展では、通信・デジタル技術を活用した未来都市の姿を体験型展示で発信し、KDDIの技術力と社会課題解決への姿勢を広く認知していただくことができました。次世代を担う子どもたちが、自らの未来について考え、行動を起こすきっかけとなる体験を提供するとともに、当社の技術やアイデアを実際の展示に活用することで、その価値を社会に示し、持続可能な未来への貢献を体現しています。
ブランドメッセージ「Tomorrow, Together」のもと、パートナーとともに持続的に成長・発展する未来に向けて、新しい体験価値を創造し、ブランド価値を高めていきます。

事業共創のためのパートナーシップの深化

「サテライトグロース戦略」において、当社の強みである5G通信とシナジーのあるサービスの拡充を進めるには、多様なパートナーの皆さまとのコラボレーションが必要となるため、パートナーシップの深化を図っています。
例えば、大企業連合でスタートアップの成長を支援する事業共創プラットフォーム「KDDI ∞ Labo」、KDDIグループが支援するコーポレートベンチャーキャピタル「KDDI Open Innovation Fund」などがあります。いずれも新規事業を創出するための重要な無形資産と位置付けています。

290社超のスタートアップと100社のパートナー企業をマッチング(2024年度実績)

スタートアップ152社に出資
(2025年4月末までの合計)

スタートアップ10社に出資
(2025年4月末までの合計)

スタートアップ10社に出資
(2025年4月末までの合計)

KDDIグループの事業成長のための知的財産活動の推進

KDDIは、グループ会社やスタートアップなどとの共創事業の成功のためには、共創相手の知的財産活動(侵害リスク回避、特許取得など)の適切な実行が必要となることから、知的財産管理の体制に課題を抱えるグループ会社や出資先のスタートアップに応じた最適な知的財産活動が実施されるように支援しています。

知財活動の支援先(グループ会社・スタートアップ)の企業数推移

グラフ:知財活動の支援先(グループ会社・スタートアップ)の企業数推移