労働安全衛生の推進

方針

KDDIは労働基準法および労働安全衛生法に則り、職場における労働者(事業活動に関わるすべての従業員、派遣社員、請負業者など)の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とし、KDDIグループ全体で労働安全衛生に取り組んでいます。

体制

「安全衛生管理規程」および「労働協約」を遵守し、各事業所には総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者、産業医、メンタルヘルス推進担当者、安全衛生委員を選任し、安全衛生管理体制を整えています。
労使一体となって企画・運営し、各事業所で毎月1回開催されている「安全衛生委員会」では、「健康経営」「健康管理」「メンタルヘルス」「働き方改革」「時間外労働・長時間労働」「防火・防災」「交通安全」などをテーマとして、リスクの特定や対応策を協議しています。さらに労働安全衛生に関する取り組みの内部監査を受けることにより、継続的に職場改善を行っています。
また、KDDIは「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します」との企業理念のもと、「健康経営宣言」を掲げています。健康経営の根幹となる社員の健康増進に取り組むため、KDDI・KDDI健康保険組合・KDDI労働組合が一体となって、社員の心とからだの健康作りを推進しています。

KDDIグループ健康経営宣言・推進体制

取り組み

  • 長時間労働の未然防止・36協定遵守のため、人事部門から個別にメールによる警告を実施し、また各本部のトップおよび人事担当者と対象者の情報を共有するなどの取り組みを行っています。さらに勤務管理やハラスメントに関するセミナーを定期的に開催し、法令違反のリスクへの対応を行っています。
  • 法令遵守の徹底を図り、社員の安全と健康を守るため、「安全衛生管理体制づくりの手引き」を作成し、既存事業所の安全管理体制の継続的な整備と、新規事業所立ち上げに際しては、適正な安全衛生管理体制づくりができるよう取り組んでいます。
  • 快適な職場環境作りとして、法令で定められた空気環境測定を2カ月に1回実施し、気温、湿度、気流、二酸化炭素、一酸化炭素、浮遊粉塵を測定し、異常があれば、ビル管理会社と連携して、換気、清掃などを行っています。
    加えて、月1回実施している産業医による職場巡回においては、衛生面のほか、照明、騒音などの職場環境の状況を把握し、必要に応じて改善を図っています。
    また、2020年度より、全オフィス内の喫煙室を廃止し、受動喫煙のリスクを低減させました。
  • 年1回の「全国労働安全週間」では、各事業所で安全衛生委員が中心となり、職場巡回を行い、危険個所の確認と是正を行うほか、安全衛生委員会では事故事例を共有して、事故防止に努めています。

また、社員が健康でイキイキ働き、活力ある企業であり続けるために、健康指標となる推進ポイントを定め、目標達成に向け、健康経営に取り組んでいます。

基地局建設工事や設備の運用保守における安全管理

請負工事や工事管理の受託、設備の運用保守などを行うKDDIエンジニアリング株式会社では、高所からの落下、感電などの事故を防止するため、業務に携わる社員を対象に、「危険体感研修」「工具研修」などのOJTや、「職長・安全衛生教育」などの法定教育を定期的に行い、安全管理の徹底に努めています。
また、KDDIは、高所作業など危険作業が伴う基地局建設工事やネットワーク設備工事を行う協力会社向けに安全大会を年1回、安全会議を四半期に1回開催し、安全に関する事例共有や安全スキル向上に向けての情報提供を行っています。

労働災害への対応

KDDIでは、労働災害発生時は所定の報告ルートを通じて報告され、速やかに調査などの対応を行い、再発防止策を講じる体制を構築しています。
労働災害の原因として最も多い転倒事故については、事例・要因・対策例をまとめた資料を作成し、事故報告フローの周知とともに従業員への注意を促し、事故防止の啓発を行っています。

労働安全衛生に関する重点施策

KDDIは、人命を尊び、常に職場における従業員の安全確保と心身の健康保持増進を図るとともに、快適な作業環境を維持するという基本方針のもと、「健康経営」を推進するさまざまな取り組みを行っています。

社員の健康増進のための取り組み

法定項目以上の健康診断の実施

KDDIは、法定項目以上に詳細な検査項目で定期健康診断を実施し、2022年度の実施率は99.9%となっています。事後フォローとしては、「有所見者」全員へのメール情報提供に加え、重症度の高い「有所見者」に対して医療機関の早急な受診を勧める「緊急受診勧告」を行い、2022年度は99.7%受診させています(コロナ禍の影響で例年よりやや減少)。2020年度からは「緊急受診勧告」の対象者の中でもさらに重症域の社員を「改善勧告」の対象として、職場の上司を交えて産業医面談や保健指導を行っており、改善が見られない場合には就業制限の措置を検討する取り組みを行っています。また、人間ドックへの会社補助制度に加え、35歳以上の女性社員に対し、乳がん検診の全額補助制度を実施しています。加えて2023年度からは20歳以上の女性社員に対し、子宮頸がん検診の全額所補助制度を導入しました。
さらに、前年度の健康診断の生活習慣病関連で有所見のあった社員のうち希望者に対し、健診前の3カ月間、保健師指導を行う「健診前チャレンジ」を行っており、2022年度の健診では対象者の有所見率が29%減と大きな成果を上げました。
また、KDDI健康保険組合と連携して、疾病の重症化予防のための施策(データヘルス計画)を積極的に推進しています。KDDI健康保険組合と共同で行っている2022年度「特定保健指導」での動機付支援における終了率は、95.1%でした。なお、KDDI健康保健組合においてグループ全体としての特定保健指導(積極的支援、動機付支援)を行っており、終了率向上のためメールによる継続支援などの取り組みを続けています。また、健康増進に向け、KDDI健康保険組合による事業所への健康セミナー講師派遣のほか、無料歯科検診、禁煙プログラムなどの保健事業を行っています。

その他の健康管理施策

施策 対象 内容
ヘルスケアルーム 正社員、契約社員、派遣社員 体調不良時の一時的な休養や応急処置、健康相談などを実施
リフレッシュルーム 正社員、契約社員、派遣社員 国家資格を持つマッサージ師、はり師による施術を実施
福利厚生 正社員、契約社員
  • 「出産・育児」「介護・福祉」「健康維持」「自己啓発」「家事手伝い」などに対して、KDDIグループ共済会が補助金を拠出(社員の自由選択)
  • KDDI健康保険組合によるスポーツクラブ優待利用制度の実施

海外に赴任する社員・帯同家族への安全衛生管理

KDDIは、海外で働く社員の健康と安全を確保するためにさまざまな取り組みを行っています。赴任前の社員に対しての産業医面談、赴任中社員に対しては医療スタッフによる定期健康診断の結果のフォローを行っています。
また、海外赴任中の社員に対してもストレスチェックを実施し、必要に応じて、体調確認などのフォローをしています。さらに、海外に赴任または出張する社員の健康管理、安全配慮の観点から、「海外への赴任者・出張者に対する予防接種・健康状況報告ガイドライン」を定めて対応しています。
本人や家族の傷病により、産業医が日本での治療が必要と判断した場合は、傷病者の帰国費用を会社が負担する「治療帰国」の制度を導入しています。
さらに、緊急時の備えとして、全海外出張者・海外赴任者を対象に、テロや政情不安となった場合に国外へ退避するための「緊急国外退避サービス」と、重篤な疾病やけがなどの治療のために国外へ搬送するための「緊急医療搬送サービス」を導入しています。