サプライチェーンマネジメント

KDDIグループのアプローチと体制

グローバル化が進んだ現代の企業活動では、世界各国の社会的な問題が調達活動にも影響を及ぼすようになってきています。
KDDIグループは、自社のみならず、サプライチェーンも含めてサステナビリティの取り組みを強化していくことが、より持続可能な事業活動に結びつくと考えています。このような考えから、KDDIは、お取引先さまにおいても、人権や安全衛生に関する労働上の問題などが起こらないパートナーシップ体制の構築を目指し、お取引先さまと協働・協力しながら、人権、環境を中心としたサステナブル調達水準のさらなる向上を目指しています。
中期経営戦略(2022-24)において策定した重要課題(マテリアリティ)ではサプライチェーンにおける人権侵害の撲滅を掲げ、KDDIグループ調達額上位約90%のお取引先さまを対象とした人権デューデリジェンスの徹底を2024年度までの目標としています。
また、重要なパートナーである販売代理店に対しても、適切な事業活動の実施に向けた各種支援を充実させています。

持続可能な責任ある調達に向けて

KDDIグループ持続可能な責任ある調達方針と多言語対応

社会インフラを担う総合通信事業者として、より高い水準で社会的要求にお応えし、サプライチェーン上の調達リスクをできる限り回避するため、KDDIは、「KDDIグループ持続可能な責任ある調達方針」を施行し、国内外すべてのお取引先さまに対してリスクの把握・マネジメントの強化に取り組んでいます。この方針では、適切なサプライチェーンマネジメントとして、お取引先さまとの共存共栄、地球環境への配慮、公平・公正な取引、人権・労働環境への配慮、適正な情報管理、品質と安全性の確保、社会との共生および適用範囲の8項目を定めています。
お客さまにご満足いただけるサービスの提供、企業と社会の持続的発展をお取引先さまと共に達成するため、同方針に基づく要請・支援を国内外すべてのお取引先さまに対して拡げています。同方針はサプライチェーン全体への浸透を目指して日本語、英語、中国語、韓国語の4か国語で展開しています。

お取引先さまの選定について

KDDIは、新たにビジネスを開始するお取引先さまとは、外部の調査機関なども活用し、環境や社会問題に対するリスクアセスメントを実施しています。お取引先さまの規模、過去の経歴、信用状況、営業状況、財務状況などを精査し、一定の基準を満たす場合にお取引を行います。万が一、お取引先さまが人命に関わるような重大なコンプライアンス違反を起こした場合には、コミュニケーションを通じて改善策を検討し、是正措置が完結するまで、取引の見直しなどを含め対応しています。
また2018年度より、一次お取引先さまに対するサステナブル調達アンケートを通じて、二次以降のお取引先さまにおいても「人権」や「紛争鉱物」などの調査を実施し、「KDDIグループ持続可能な責任ある調達方針」の遵守を確認しています。
2023年度から、一定調達額以上の案件にかかわるお取引先さま選定についてサステナビリティ評価を実施しています。

人権、環境に配慮したガイドラインの策定と公開

当社は、調達方針を遂行するための指針となる「KDDIグループ持続可能な責任ある調達ガイドライン」を策定し、ホームページにて公開しています(日本語・英語)。ガイドライン策定にあたっては、RBA(Responsible Business Alliance)の行動規範や一般社団法人電子情報技術産業協会(以下、JEITA)の「責任ある企業行動ガイドライン」を参考に取り組むべき項目をまとめ、お取引先さまや調達品選定の際は、品質・価格・納期・安定供給に加え、環境や社会への配慮を重視した判断基準としています。2020年3月に実施した人権影響評価の結果を受け、2021年3月には、人権への配慮をより拡充した内容に改訂しました。
なお、KDDIの購買活動が「KDDIグループ持続可能な責任ある調達方針」や「KDDIグループ持続可能な責任あるガイドライン」の遵守事項と常に整合性が取れるように、定期的に見直しを行っています。
また、サプライチェーン全体でCO2排出量削減に取組むためのグリーン調達ガイドラインを制定し、お取引先さまとカーボンニュートラル達成に向けて協調、協力を進めています。

サステナブル調達推進

KDDIグループのサプライチェーン全体の状況の把握、リスクアセスメントの目的で、主要なお取引先さまに対してアンケートを行い、サステナブル調達の重要性をご理解いただけるよう啓発・支援するとともに、課題や取り組み状況の共有をお願いしています。お取引先さまのコンプライアンス違反に対しては、原因究明と改善を求め、必要に応じて指導・支援を行います。アンケート結果をはじめとしたサステナブル調達の推進に関する事項は、サステナビリティ担当役員(コーポレート統括本部長)に定期的に報告され監督されています。
2023年度からは、第三者評価プラットフォームのEcoVadis※1と、3社(NTT、KDDI、ソフトバンク)共通SAQ※2を導入し、お取引先さまとのさらなるエンゲージメント強化に向けて取り組みます。
なお、KDDIは行動指針に基づき、「反社会的勢力」との取引には一切応じません。

  1. ※1「環境」、「労働慣行と人権」、「倫理」、「持続可能な資材調達」の4つのパートで構成される、サステナビリティ評価サービス
  2. ※2Self-Assessment Questionnaire(自評価調査)

パートナーシップ構築宣言

パートナーシップ構築宣言

KDDIは、サプライチェーンのお取引先さまの皆様や価値創造を図る事業者の皆様との連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップを構築するため、「パートナーシップ構築宣言※3」を策定・公表しています。

  1. ※3関係閣僚(内閣府、経産省、厚労省、農水省、国交省および内閣官房副長官)と経団連会長、日商会頭、連合会長をメンバーとする「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」において、創設された仕組みです。

お取引先さま向けの相談・申告窓口(苦情処理メカニズム)

KDDIグループでは「KDDIグループ人権方針」を策定し、お取引先さまやビジネスパートナーに対して、人権を侵害しないように働きかけ、協働しながら人権尊重を推進しています。またお取引先さまに対しては「KDDIグループ持続可能な責任ある調達ガイドライン」においても、強制労働や非人道的な扱い、児童労働、差別の禁止などを明示して理解を促し、実践をお願いしています。
「KDDIグループ人権方針」や「KDDIグループ持続可能な責任ある調達ガイドライン」から逸脱するような人権問題を含む企業倫理や法令遵守への違反行為などについての相談または申告を受け付ける窓口として、KDDIグループのお取引先さまの従業員などを対象としたヘルプラインを設置し、社内窓口および外部専門家と連携した社外窓口を通じて、常時、メールなどで相談や申告を受け付けています。

お取引先(仕入先)さま向け ヘルプライン(日本語、英語対応)
メール:kddi-supplier-helpline@city-yuwa.com

※KDDIグループ従業員からの通報窓口とは異なります

相談・申告対象について

・KDDIグループ社員の暴力行為、圧力行為
・下請法違反の疑い
・強制労働、児童労働、差別を含む「人権」にかかわる内容
・長時間労働など「労働・安全衛生」にかかわる内容 など

相談者のプライバシーや通報者の保護に十分配慮し、匿名での申告も受け付けています。また「公益通報者保護法」にのっとり、相談・通報したことを理由に不利益な扱いを受けないよう守秘義務を徹底し、相談者・申告者の保護に努めています。KDDIは、共に課題解決に取り組む社外窓口と秘密保持契約を締結しています。
なお、人権への影響を引き起こした、または人権への影響を与えたことが確認された場合、KDDIは影響を受ける当事者を救済することを約束します。

紛争鉱物への対応

米国政府は、米国上場企業に対して、コンゴ民主共和国などの紛争地域で産出される鉱物(以下、紛争鉱物※4)の製品への使用状況を開示することを義務づけています。
KDDIは、米国上場企業ではありませんが、調達活動における社会的な責任を果たすため、サステナブル調達アンケートによる調査などを通じて、お取引先さまと連携し、紛争鉱物の不使用に向けた取り組みを推進しています。

  1. ※4タンタル、スズ、金、タングステン、コバルト、そのほか米国国務長官が指定する鉱物が該当