TCFD提言への対応

TCFD提言への対応

TCFD

KDDIは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を2021年4月に表明しました。TCFDの提言に従い、「ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標」の情報開示フレームワークに基づき積極的な情報開示に努めます。また、気候変動に対応する具体的な対策を講じ、行動していきます。

ガバナンス

KDDIは、事業を通じた社会課題の解決(SDGs)・社会貢献・気候変動対策などのサステナビリティ(持続可能性)に関する課題を審議する機関として、代表取締役社長が委員長を務め取締役会の主要メンバー等で構成するサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会では、KDDIにおける気候変動に関する重要な課題や取り組みについて確認および議論を行い、リスクと機会に関する監視、監督を行うとともに報告事項などの承認を行う責任を担っています。上期には「前年度目標達成状況の確認」と「目標未達の場合はその要因分析と対策確認」、下期には「当年度目標進捗状況の確認」と「次年度目標の設定」を行います。また、取締役会は四半期ごとに気候変動に関するサステナビリティ委員会からの報告を受け、重要な課題や取り組みに対する施策実施の監督および指示を行っています。

戦略

KDDIは、2030年を見据えたKDDIのSDGs「KDDISustainableAction」を2020年5月に発表し、その中で地球環境の保全を社会課題の一つとして考え、エネルギー効率の向上と2050年までにCO2排出量実質ゼロの達成を目指すことを公表しました。具体的には、COP21で採択されたパリ協定の合意を受けた「急速に脱炭素社会が実現する2℃未満シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が2℃未満)」と「気候変動対策が何らされず物理的影響が顕在化する4℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇が4℃)」の2つの分析を行いました。その結果、2017年3月に発表した「2030年度にCO2排出量を2013年度比で7%削減」という目標よりも、より高い水準での活動が必要と考え、「2030年度までにCO2排出量を2019年度比で50%削減」と目標を上方改定し2021年7月に発表しました。同時に、2017年3月に策定したKDDI環境保全計画「KDDIGREENPLAN2017-2030」を「KDDIGREENPLAN2030」に改称し、「KDDI環境憲章」のもと、「気候変動対策」「循環型社会の形成」「生物多様性保全」を推進し、地球環境保全により一層貢献することを発表しました。
さらに2022年4月、より積極的なカーボンニュートラルの実現に向けた検討を行った結果、従来の目標を20年前倒しし、2030年度までに自社の事業活動におけるCO2排出量実質ゼロ実現を目指すことを発表しました。

シナリオ分析結果

  • 急速に脱炭素社会が実現する2℃未満シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温上昇を2℃未満とする目標が達成される未来)

参照:IEA(International Energy Agency)World Energy Outlook 2018 Sustainable
Development Scenario(SDS)、IEA Energy Technology Perspectives 2017 Beyond 2℃ Scenario(B2DS)、ETP(Energy Technology Perspectives)2017、2020

移行リスク分析 KDDIとしてのリスク内容 KDDIの対応
政策・法規制 炭素税 炭素税課税リスク※1 化石燃料電力から再生可能エネルギー電力への切り替えを計画中
都条例
排出規制
削減量未達となったCO2排出量に対するクレジット(排出枠)買い取りのコスト増加リスク 第三計画期間の削減未達見込み排出量(約5万t-CO2)への対応として、第二計画期間排出権を購入
消費電力削減・CO2排出量削減への新技術導入 基地局におけるAI技術や各種設備における省エネ化新技術の開発、CCUS※2開発等のコスト増加リスク 各種技術開発への投資
市場・評判 KDDI GREEN PLAN 2030目標未達や再生可能エネルギー化の取り組み遅れによるKDDI企業評価低下および加入者減のリスク 化石燃料電力から再生可能エネルギー電力への切り替えを計画中
  1. ※12030年度のCO2排出量見込みは約50万t-CO2 のため、炭素税7,700円/t-CO2の場合、年間約38.5億円の課税を想定
  2. ※2Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage(CO2回収・貯留技術)
  • 気候変動対策が何らされず物理的影響が顕在化する4℃シナリオ(産業革命前からの世界の平均気温が4℃上昇する未来)

参照: IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)第5次評価報告書

物理的リスク分析 KDDIとしてのリスク内容 KDDIの対応
急性 (台風や洪水等の)異常気象による災害の激甚化と頻度の上昇 迅速な通信網復旧対応を行うための緊急復旧要員人件費等のコスト増加リスク BCP※3の見直しと災害時復旧訓練実施による効率的な復旧作業への備え
慢性 平均気温上昇 お客さまからお預かりしたサーバを冷却するための、KDDIデータセンターの空調電力使用量の増加リスク 高効率空調装置の導入や再生可能エネルギーへの置換
  1. ※3Business Continuity Plan(事業継続計画)

リスク管理

KDDIグループのリスク管理を主管するリスクマネジメント本部は、気候変動を含め、当社の財務上および経営戦略上、重大な影響を及ぼすすべての事業部門のリスクの抽出を年2回、半期ごとに実施しています。抽出されたリスクの中で、気候変動に関するリスクについては、環境ISOの仕組みを活用し、環境マネジメントシステム(EMS)のアプローチで管理しています。管理対象のリスクは、関係する各主管部門においてリスク低減に関する定量的な年間目標を策定し、四半期ごとに進捗評価を行ないます。進捗評価で指摘された改善内容については、サステナビリティ委員会傘下の部会である環境部会で報告され、全社・全部門に関係するリスクと機会については、サステナビリティ委員会で議論のうえ承認されます。

指標と目標

KDDIは、2012年度よりKDDI単体、2021年度よりKDDIグループのサプライチェーンの温室効果ガス排出量(スコープ1、2、3)を算出し環境負荷の定量的把握を通じて、気候変動が当社に及ぼすリスクと機会の管理を行っています。以下の指標と目標を掲げ、今後も温室効果ガス排出削減にむけ活動を進めていきます。

カテゴリー 2019年度排出量(t-CO2
(連結
目標
(KDDIグループ)
スコープ1 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出 25,169 2030年度までに2019年度比50%削減
スコープ2 他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出 1,352,131 2030年度までに2019年度比50%削減
スコープ3 スコープ2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他者の排出) 2030年度までに2019年度比14%削減
  1. KDDIおよび主な連結子会社28 社
    株式会社mediba、株式会社KDDI総合研究所、株式会社KDDIテクノロジー、KDDIエンジニアリング株式会社、株式会社KDDIエボルバ沖縄、株式会社KDDIチャレンジド、KDDIまとめてオフィス株式会社、KDDIまとめてオフィス東日本株式会社、KDDIまとめてオフィス中部株式会社、KDDIまとめてオフィス関西株式会社、KDDIまとめてオフィス西日本株式会社、沖縄セルラー電話株式会社、沖縄通信ネットワーク株式会社、日本通信エンジニアリングサービス株式会社、中部テレコミュニケーション株式会社、国際ケーブル・シップ株式会社、UQコミュニケーションズ株式会社、ビッグローブ株式会社、TELEHOUSE International Corp. of Europe Ltd.(UK)、TELEHOUSE International Corp. of Europe Ltd.(France)、TELEHOUSE International Corp. of America.(US)、TELEHOUSE Deutschland GmbH(Frankfurt)、HKCOLO.NET LTD.(香港)、TELEHOUSE Beijing BEZ Co., Ltd.(北京)、TELEHOUSE BEIJING BDA Co., Ltd.(北京)、TELEHOUSE Shanghai Co., Ltd.(上海)、KDDI Singapore Pte Ltd.(シンガポール)、TELEHOUSE International Corp. of Vietnam(ハノイ)

KDDI グループ環境マネジメント体制

環境