CFOメッセージ
サステナビリティ経営による、
企業と社会の
持続的成長の実現

経済の好循環実現に向けて
当社はサステナビリティ経営を中期経営戦略の軸に据え、パートナーとともに企業価値の向上と社会の持続的成長の好循環を目指しています。サステナビリティ経営の実現は、当社のみではなし得ず、ステークホルダーの皆さまとともに持続的に成長していくことが必要だと考えます。昨今、社会全体であらゆる価格の見直しが進んでいる中、パートナー企業の労務費などコスト増加分を適切に取引価格に転嫁していく「取引適正化の推進に向けた基本方針」を定め、パートナーへの還元を推進してきました。当社としては、今回の「au Starlink Direct」や「Pontaパス」を軸としたサービス改定により、通信の高度化やAIなど未来への再投資を実施するとともに、さらなるステークホルダーへの還元を後押しし、経済の好循環を実現していきます。
サテライトグロース戦略を支える財務運営
EPS1.5倍達成に向けて
現中期経営戦略では、26.3期EPS目標として19.3期対比で1.5倍水準を目指しています。最終年度となる26.3期は連結ベースの売上高6兆3,300億円(前期比+7.0%)、営業利益1兆1,780億円(前期比+5.3%)、親会社の所有者に帰属する当期利益7,480億円(前期比+9.1%)と増収増益、このEPS目標を達成する計画を掲げております。
26.3期営業利益は、①通信の高付加価値化によるモバイル収入増、②金融・エネルギー・ローソンの持続的成長、③IoTやデータセンターなどグロース領域成長によるビジネスセグメント収入増、④技術構造改革などによる増益により、楽天ローミング収入減やパートナー共創への投資などを吸収し、25.3期対比で+593億円の増益を目指します。
中期EPS目標(単位:円)
26.3期 EPS:194.38円(予)
19.3-26.3期 EPS成長:CAGR6.0%

持続的成長と株主還元の両立、資本効率の向上
当社は中期経営戦略として、5G通信をベースとし、データドリブンの実践と生成AIの社会実装を進めるコア事業を中心に、これと連携してKDDIの成長を牽引する事業領域「Orbit1(DX/金融/エネルギー)」と、将来の成長分野である「Orbit2(モビリティ/宇宙/ヘルスケア/Web3・メタバース/スポーツ・エンタメ)」に取り組むサテライトグロース戦略を推進しています。
この実現に向けては、中長期的な投資とコストバランスの適正化が必要だと考えます。通信は当社の重要な強みであるため設備投資を緩めることはありませんが、AIなどの先端技術投資を積極的に行うため、インフラシェアリングや低稼働設備の見直しなどの効率化を進め、CAPEX・OPEX水準を適切にコントロールしていきます。
また、当社は持続的成長に加え、株主還元も重視しており、配当性向40%超と持続的な増配にもこだわっています。26.3期のDPSは、対前年で+10.3%成長となる80円、24期連続の成長を目指します。あわせて、総額4,000億円を上限とした自己株式取得も決議しました。
1株あたり配当金80円(7.5円増)、24期連続DPS成長を目指す
- 発行済株式総数の5%を超える自己株式の消却を決議※1
- 総額4,000億円(上限)の自己株式取得(取得期間2025年5月15日~12月23日(予定))
うち3,500億円(上限)の自己株式公開買付けを決議
- ※1消却後の自己株式比率が5%となるよう自己株式を消却
- ※26.3期の1株当たり配当は予想。2025年4月1日の株式分割(2分割)を反映済み。過去の配当は分割後の1株あたり相当額を記載(小数点第2位を四捨五入)
近年ますます重要性が高まっている資本効率を意識した経営に向け、当社はROEにも注目しています。25.3期の金融事業を除くROEは13%台となり、株主資本コストを上回っておりますが、26.3期は事業成長と株主還元の両立により、さらなるROEの向上を目指しています。今後も、持続的な事業成長に加え、バランスシートの効率的な運営を意識していきます。
経営基盤強化
会社の業績・財務状況は、財務価値として経営の結果を表す大きな要素ですが、ESGへの取り組みなど非財務価値が企業価値を表す要素として重要です。サステナビリティ経営を支える経営基盤の強化として、人財ファースト企業への変革、カーボンニュートラルの実現、ガバナンス強化によるグループ経営基盤強化などへの取り組みも推進し、財務だけでなく非財務の価値向上にも取り組んでいます。また、付加価値の高い商品やサービスを創出するには、特許などの知財権獲得やノウハウ・ブランドなどの無形資産により差別化することが求められていますので、当社として、これらの知財・無形資産を稼ぐ力に結び付けるべく、事業戦略と一体になった知財・無形資産戦略を策定し、推進していきます。
人財ファースト企業への変革
個と組織の力を進化させるため、「働き方アップデート」を実行し、より働きやすい環境づくりに取り組んでいます。
当社は2025年4月よりTAKANAWA GATEWAY CITYのTHE LINKPILLAR 1 NORTHに順次移転し、2025年7月に新本社をグランドオープンしました。新本社のコンセプトは「つなぐチカラを進化させ、ワクワクする未来を発信し続けるConnectable City」です。
新本社は、さまざまな部署やグループ会社に加えて、お客さまやパートナーを含む社内外との共創を促進するコラボレーションスペースやイベントエリアを設けるなど、さまざまな垣根を越え、自由で生産性の高い働き方を試行錯誤し、常に働き方をアップデートし続けられる“新しい働き方の実験場”としています。新本社のグランドオープンを起点に、社員が会社・部門を超えた共創・シナジー創出に向けて挑戦する風土を醸成していきます。
さらに、KDDI版ジョブ型人事制度を進化させ、多様な属性の社員が活躍できる環境を整備し、人財ファースト企業への変革を続けてまいります。
カーボンニュートラルの実現
カーボンニュートラルについては、2040年度末までにネットゼロ達成を目指すなどの4つの環境目標を策定し、グループ全体で取り組んでいます。特にAIの利用拡大に伴うデータセンター設備の電力消費拡大は当社にとっても重要なテーマであり、2025年度中に全世界のデータセンターで利用する電力をすべて実質再生可能エネルギーとすべく、省エネルギー技術の導入や再生可能エネルギーへの転換を進めています。中でも、2025年度に稼働開始予定の大阪堺データセンターでは、直接液冷方式と空冷方式のハイブリッド型を採用し、再生可能エネルギー由来の電力を100%利用する予定です。携帯電話基地局のカーボンニュートラル化についても、KDDI Green Partners Fundの出資先との協業によりペロブスカイト太陽電池を活用した通信基地局の実証を行うなど、着実に取り組みを進めています。また、auリニューアブルエナジーが提供する太陽光発電の利用や、取引先との対話を通じたサプライチェーン全体でのCO2排出量削減も引き続き推進します。
カーボンニュートラルに加えて、スマートフォンアプリ「Biome」を活用した市民参加型生物調査を環境省や地方自治体とともに実施するなど、生物多様性保全に向けても取り組んでおり、TCFDのみならず、TNFDなどのフレームワークに基づいた環境関連の情報開示も積極的に進めています。
ガバナンス強化によるグループ経営基盤強化
近年、第三者によるサイバー攻撃などによって、重要な機密情報が外部流出する事故やサービスの不正利用が世界的に発生しており、大きな社会問題となっています。また、サテライトグロース戦略の推進に伴い、事業の多様化とグループ会社の増加が進んでおり、グループ全体でのリスク対策がますます重要になっています。このような環境下において、これまでのリスクマネジメント体制を見直し、経営上の重要リスクを一元的に集約して審議するリスクマネジメント委員会を設置いたしました。委員長の松田社長を筆頭に、重要リスクを特定し、対応責任者を選定の上、対応方針を策定していきます。リスクマネジメント委員会で審議した内容は、取締役会に付議・報告することで経営上の重要リスクを取締役レベルで審議するリスクマネジメント体制といたしました。
また、すべての事業活動が人権尊重を前提に成り立つものと認識し、「KDDIグループ人権方針」を定めています。社員や取引先をはじめ、事業活動に関わるすべてのステークホルダーの人権を尊重し、人権侵害を防止、軽減する責任があると考えています。
昨今ではAIをはじめとするテクノロジーの発展に伴い、データプライバシーなどの人権リスクも高まっています。AIガバナンスの強化に向けては、「KDDIグループAI開発・利活用原則」の遵守、一般社団法人AIガバナンス協会への参画、AIのセキュリティに関する情報を一元化して発信するポータルサイト「AIセキュリティポータル」公開などの取り組みを推進していきます。
次の成長に向けて
次の成長に向けては、営業キャッシュフローを安定的に創出し、設備投資や戦略的事業投資を実施した上で、株主還元などへ配分していくキャッシュアロケーションが重要です。当社の強みである良好な財務基盤の維持は前提としつつ、次の事業成長を支える財務・キャッシュアロケーション方針を計画的に考えていきます。
2025年9月
取締役執行役員専務
CFO コーポレート統括本部長
サステナビリティ担当役員
最勝寺 奈苗

