2019年3月期決算説明会 (決算ハイライト・質疑応答)
日時 | 2019年5月15日 (水) 17:30-19:00 |
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場所 | KDDIホール (東京都千代田区大手町) |
登壇者 | 髙橋社長、内田副社長、東海林専務、村本専務、森常務、森田常務、最勝寺経営管理本部長、堀井IR室長 (司会) |
決算ハイライト
決算説明会の模様
決算説明会では、「2019年3月期」の業績と「新たな成長のためのM&A」、「2020年3月期業績予想」、そして2022年3月期に向けた「新中期経営計画」の4点について、社長の髙橋より説明しました。
1. 2019年3月期の業績ハイライト
2019年3月期 (2018年4月~2019年3月) の連結売上高は5兆804億円、連結営業利益は1兆137億円となり、営業利益は18期連続で増益し、初めて1兆円を達成しました。解約率は前期比マイナス0.1ポイントの0.76%に改善、au通信ARPA収入は、2017年7月にauピタット/フラットの分離プランを導入して以来初めて、前年同期比でプラスに転じております。
また、au経済圏流通総額は前中期目標の2兆円を大きく上回り、2兆5,170億円、付加価値ARPAは3期連続で2桁成長を続けており、通期実績で700円となりました。事業環境の変化が激しい中において、引き続き、持続的な成長を続けてまいります。
2. 新たな成長のためのM&A
KDDIのM&Aの基本方針は、グループ会社が当社のアセットを最大限に活用し成長することを優先しており、その結果、現在では連結業績をグループ会社の成長が牽引しています。またこの3年間のM&Aは一貫して、[1] 国内通信、[2] ライフデザイン、[3] 新規事業領域、の3つのポイントに注力してきました。[1] 国内通信ではJ:COMとのauスマートバリューによる相互送客やコスト効率化によって、4,100億円のシナジーがありました。[2] ライフデザインの代表例はエナリスで、電力需給管理のノウハウを生かし、auでんきのサービスをバックアップ、auでんきは2019年3月末で200万件を突破しました。[3] 新規事業領域においては、SORACOMのテクノロジーで、最先端のIoTサービスを創出。今後、5G時代のネットワーク効率化への貢献も期待されます。
3. 2020年3月期業績予想
新たな中期経営計画の達成に向け、初年度となる2020年3月期は、連結売上高5兆2,000億円 (前期比2.4%増)、連結営業利益1兆200億円 (前期比0.6%増) を目指します。今期は料金値下げや他社の携帯電話事業への新規参入など事業環境の変化にしっかりと対応しながら、着実に増収、増益を目指します。
一方、5月13日には新料金プランを発表しました。当社は他社に先駆けて分離プランを導入。既にauのスマートフォンユーザーの3分の2にあたる1,400万人のお客さまにご利用いただいております。今回の新料金プランは、auピタット/フラットプランを導入する以前の料金と比較して最大4割の値下げとなり、競争力を強化しました。さらに5G時代を見据え、国内で初めてデータ容量の上限がないauデータMAXプランを導入しております。
決済においては4月9日よりau PAYを開始し、開始からわずか35日でご登録者が200万人を突破いたしました。「便利で、お得な」サービスに今後も力を入れ、決済事業を拡大いたします。
2019年3月期の配当は、株主の皆さまの3年間のご支援に感謝の意を表して、期初予想から5円増配となる通期105円、2020年3月期も110円 (配当性向41.7%) と、持続的な利益成長を伴った増配を目指します。さらに、1,500億円 (上限) とする自己株式取得を決議し、今後も持続的な利益成長と株主還元強化の両立を目指します。
4. 2022年3月期に向けた「新中期経営計画」の発表
新中期経営計画のスタートにあたり、KDDIブランドは「Tommorrow, Together」、auブランドは「おもしろいほうの未来へ。」とブランドスローガンを一新しました。お客さまや社会とともに未来へ向かって持続的に成長・発展していくという想いを表しております。また「通信とライフデザインの融合」をさらに進めるためにセグメントの変更を行いました。個人のお客さま向けの「パーソナル」、法人のお客さま向けの「ビジネス」の2つのセグメントに集約し、グローバル事業を国内事業の延長線上の位置づけに変更しております。
事業戦略の方向性は、[1] 5G時代に向けたイノベーションの創出、[2] 通信とライフデザインの融合、[3] グローバル事業のさらなる拡大、[4] ビッグデータの活用、[5] 金融事業の拡大、[6] グループとしての成長、[7] サステナビリティの7つを掲げ戦略を推進してまいります。
5Gはこの4月に周波数の割当てを受け、2019年9月からプレサービス、2020年3月末までに端末の販売を開始する計画です。様々な分野のパートナー企業さまとの提携により、5Gを通じてイノベーションを創出してまいります。また地方創生への5G活用を推進するため、30億円規模の「地方創生ファンド」を設立いたしました。ベンチャー企業さまとともに5Gを活用したデジタルトランスフォーメーションを推進します。
通信とライフデザインの融合においては、「ライフタイムバリューの最大化」に努め、安定的な総合ARPA収入の成長を目指します。成長分野であるライフデザイン領域の売上高については2022年3月期までに1.5兆円まで拡大いたします。さらに国内で培ったライフデザイン事業のノウハウを海外で生かし、グローバルにおいても国内と同等の経済圏創出を目指します。ビジネスではパートナー企業さまとリカーリングビジネス創出を進め、IoT事業を中心に新たな成長領域への取組みを強化します。2022年3月期までにIoT累計回線数を1,800万回線に拡大し、ビジネスセグメントの売上高は1兆円を目指します。
ビッグデータの活用においては、AI分析によりお客さまに最適なサービスのご提案を強化するほか、金融事業においては、スマートフォンを通じてお客さまの日常生活における決済、金融サービスをより身近な存在にしてまいります。
またサステナビリティの取組みは「社会の持続的な成長に貢献する会社」を目指し、「KDDIが目指すSDGs」を策定しました。当社が事業を通じて解決する社会課題と、企業活動を通じて解決する社会課題を明確にし、定量的な目標を設定して取組みを進めてまいります。
またコスト効率化に向けた取組みを行い、3年間で1,000億円規模の利益創出に努めてまいります。
以上の戦略や取組みによって、持続的成長を目指すと共に、より一層の株主還元強化の両立を目指します。EPSは6年後の2025年3月期までに2019年3月期比較で1.5倍の成長を目指し、配当性向は40%超へ引き上げ、機動的な自己株買いの実施と、取得した全ての自己株式の消却を実施してまいります。
質問者1
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- 中期計画について、EPS成長1.5倍という高い目標に対して、利益の大まかなドライバーと、新料金施策の影響についてお伺いしたい。
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EPS成長1.5倍について、おおよそのCAGRに戻すと約7%となる。EPSなので当然自社株買いなども影響してくるが、例えば今期の自社株買い1,500億円は、だいたいEPSを2%押し上げる計算になる。これを一つのサンプルとして考えれば、利益成長はだいたい5%ぐらいのイメージで考えているが、このあたりは環境によっていろいろ変化する。前回の中期計画が営業利益成長CAGR7%だったので、若干ステイブルになっているが、しっかりと持続的成長の数字を作っていきたい。
新料金施策の影響は、おとといの新料金発表の際に全体で4,000億円と申し上げたが、これは1年半ほど前にピタットプラン、フラットプランを導入してからの累計で4,000億円程度のお客さま還元を考えており、前期末までにおおよそ3,000億円程度を実施済。今からの3年間であと1,000億円程度ということになり、今後は毎年、浸透率の関係で数字は少しづつ増えていくようなイメージになるので、今期の影響は軽微と思っている。そのあたりの減収影響をいろいろな工夫で吸収して、今期もなんとか増収増益、という予想を出している。コスト削減などでの利益成長1,000億円を実施し、中期的にも持続的成長の姿を示したい、というのが今回の中期計画の我々の方針である。
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- 経営資源の配分について、今回の中期計画では5G含めた設備投資や株主還元、M&Aによる事業投資など、どういうバランスでキャッシュを配分していくのか。
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事業投資については、前回の中期計画で5,000億円の計画を発表したが、M&Aを予算化するべきではないとのご指摘が多く聞かれた。今後の事業投資については、引き続き今のauを中心とした稼働の拡大、ライフデザイン事業の拡大、それから東南アジアを中心とした事業拡大・データセンターの投資等は考えているが、今回の中期計画では枠として設定せず、是々非々で対応していきたいと思っている。M&Aの件数については過去3年やってきたが、今はちょっと落ち着いている形になると思うので、この三つの領域を主軸に置きながら、投資は継続していきたいと思っている。
質問者2
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- EPSのCAGR7%のうち、利益成長で5%を目指したいというお話だったが、それを新しいセグメントで見た場合に、どちらのセグメントが牽引するようなイメージになるのか、もしくは両方ともに伸びていくというイメージになるのか。
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今回、成長領域として説明している領域が大きく二つあり、一つはライフデザイン領域。これは通信からライフデザインにシフトするわけではなく、あくまでも通信を中心としてライフデザイン事業と共に歩みたい、というようなことを強く思っている。総合ARPAのみの開示にしたのも、そういった思いが詰まっており、通信とライフデザインが相互にエンゲージメントを高めてARPAを上げていくことで成長していきたい。
もう一つはビジネスセグメントにグローバルを加え、IoT世界基盤をベースにして成長していきたいという思いがあり、そこを二つ目の成長軸と考えている。
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- EPS1.5倍、CAGR7%というのは、おそらく株式市場での期待値に比べるとちょっと高めかな、という印象。当然、利益成長と自社株買いのミックスになってくると思うが、そのあたりについて、ある意味コミットメントと受けとめていいのか。
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たしかに高い目標かもしれないが、我々からすると、前回の中期計画で営業利益CAGR7%を目指してやってきたので、持続的成長を標榜している以上、何らかの数値は出していかなければならないと思い、今回EPS目標を設定した。我々としてはしっかりと目標を達成するように頑張っていきたい。
質問者3
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- ライフデザイン領域について、利益や解約率を含めたコストダウンへの寄与、楽天対策等の差別化、などの観点からライフデザインやエンゲージメントなどの説明を再度お願いしたい。
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ライフデザイン領域については、売上高が前期9,460億円から1.5兆円へという説明をさせていただいた。これまでのライフデザインセグメントでやっていたライフデザイン領域と、パーソナルセグメントでやっていたライフデザイン領域と両方あったので、これを合算をしないと分かりづらいだろう考え、整理してこのような形でお出しした。今後はドコモなどとも比較しやすいと思う。利益率については、できれば今ある利益率をそのままで、売上を伸ばしていきたいと思っているので、利益率と利益額については、そのように逆算していただくとだいたい出てくるのかなと思う。
一方、他事業者との差別化の問題だが、ドコモ、ソフトバンクに比べるとKDDIはライフデザイン領域において、ちょっと一歩先を行っているつもりがある。例えば金融領域において、じぶん銀行を持っていたり、あるいはアッパーレイヤーサービスで例えばauスマートパスプレミアムというのがあるが、非常に安定的なストックビジネスになっている。
楽天はコマースも金融もかなり展開されているので、そこはちょっと追いついていかなければならない分野だと思う。ただ我々は、通信という大きな母体を持ちながらライフデザインへ向かい、彼らは収益源としてそんなに大きくないライフデザインから、通信の大きな投資に向かうことになるので、これを同軸の競争とは思っていない。基本的に我々の、auという通信が中心にあるということを強みにしてしっかりと戦っていく、というのがスタンスである。
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- 設備投資額が上昇する理由と、設備強化によって、他社差別化の観点で、どういうふうに考えているか教えて欲しい。
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設備投資額は、17年3月期から19年3月期の3期合計1.68兆円から、今後3期の合計で少し上振れる計画。まず3Gは22年3月に停波するため今後の設備投資は発生しない。4Gに関しても、19年3月期はかなり投資してきたが、今後は減少する方向だと思っている。5Gに関しては来期以降は投資を本格化していくが、4G投資の減少分を5Gで増やしていき、そこのバランスで多少は増えるだろう、と見込んでいる。
ただし、ネットワーク仮想化によるコスト効率化ということで、今まで数年間、仮想化についてかなり内部で試験などを実施し、オペレーションなどを固めてきており、そのあたりでかなり削減ができてくるだろうと思っている。また、運用保守の自動化も、オペレーションコストがかなりかかっているので、今まで培ってきたもので4Gを5Gと組み合わせてうまくオペレーションできるような形を考えている。他通信事業者との設備共用との記載もあるが、他事業者も5Gになるとかなり展開が厳しくなるので、一緒にやっていくことを考えている。
質問者4
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- フリー・キャッシュ・フローの使い道として、M&Aの目標値は設定しないが、良い案件があればということだったが、余ったキャッシュはやはりM&Aに向けられていくのか。あるいは自社株買いに向かうのか。フリーキャッシュの配分について教えていただきたい。
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ダイレクトに回答することはなかなか難しいが、今期も、基本的にいろんな不確実性がある中において、まず増収増益を目指す。また、自社株買いについても前期との違いとして、12月までにまず1,500億円をやります、その後、機動的に追加していきます、と考えているので、そういう意味では前期と比べ、よりポジティブに株主還元の方には向いている、というふうに考えていただきたい。
また、今回、最後に+5円の増配を決めたが、これによって19年3月期の配当性向も40%を超えることができた。
ただ今期は特に不確実な時代でもあるので、まず以上の点を方向性としてご理解いただき、今回の新料金なども、お客さまと株主様の両方を見た内容で、どちらも引き続き、大事にしたいと考えている。
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- そうすると、実際はケースバイケースだと思うが、前回の中計よりは、M&Aよりも株主還元の方に寄る可能性がある、と理解してよいか?
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中期計画では、EPS成長を目標として掲げた中で、いろんな可能性があるというふうに思っている。当然、売上・利益が伸びていかなければ株主還元をしっかり出していかなければいけないであろうし、そういうバランスの中で、今回は利益成長ではなくてEPSで表現しているとご理解いただきたい。
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- 金融事業について、いろいろとラインナップを揃えたが、具体的には、他のキャリアのように現状の決済中心で伸ばしていくのか。もしくは、もっと銀行や証券、その他保険など、バランスよく伸ばしていくためには、やはり少し追加投資が必要なのではないか。金融事業に対するスタンスを教えていただきたい。
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決済は最初の取っ掛かりというふうに考えており、スマートマネー構想でもお話した通り、その後ろにはやはり、金融への広がりというのを考えたい。なぜなら、決済自体はそれほど大きなリターンが得られるビジネスはないということが一つと、やはりこれから先、お客さまのライフステージに合わせた商品の提供ということで、お客さまとより、エンゲージメントを深くしていくことを考えていくと、保険やローン、金融商品というものが必要になっていく。
それで今、欠けている物は何か、という話だが、今ようやく、一通りのラインナップが揃いつつあると思っているところで、カブドットコム証券のTOBも発表させていただいたが、ここを乗り切ってラインナップが揃うと思っている。
今、au WALLETのアプリケーションをお客さまに展開しているが、非常に調子が良い。au PAYが使われていて、ポイントも確認出来るため、そのアプリケーションに人が集まっている。そこからいろんな金融サービスへ送客をしようということを始めたが、その効果も結構ありそうなので、決済だけではなくて金融サービス全般をライフデザイン商材としてお客さまへ届けていくという戦略をしっかりとっていきたい。
質問者5
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- 19年3月期の付加価値ARPAが3Qから4Qにかけて720円で横ばいだった要因を教えて欲しい。
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コマースについて、年度末に景気の冷え込み等もありコマース流通額が厳しい状況があり、期待していたほど伸びなかった影響が若干出てきている。それ以外については、ほぼ予定通りであった。
加えて、コマースはポイントをつければ流通額が上がっていくのだが、4Qは利益をある程度確定させなければいけない中で、そういうコントロールをしながら4Qを乗り切った結果、これぐらいの数字となった。楽天も通信セクターに入るので、コマースはしっかり競争力を上げていきたい。
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- IoTの累計回線数について、19年3月期の800万契約を3年で1,800万契約というところで、こちらは以前お話しされていたIoT売上1,000億円の目標値と紐付けて考えてよいのか。
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紐付けていただいて結構だが、大きな一部分である、というふうに考えていただきたい。回線の伸びだけで売上を伸ばしていくわけではなくて、プラットフォーム周辺サービスの付加価値も取り込みたいと考えている。
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- こちらにはソラコムの数字は入っているか?
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入っていると思って頂いて良い。
質問者6
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- 5Gのネットワークで他社競争力確保、とあるが、これは競争優位に持っていき、他社に対して何らかのプラスアルファで5Gのサービス提供や利益確保をしていこうというストラテジーをお持ちなのか? とりあえず他社横並びという意味でのネットワークの競争力を確保するといっているのか? そのあたりもう一度解説して欲しい。
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開設計画をご覧いただくと方向性が明確になる思う。先ほどグローバルベースの周波数が欲しかったから特に開設計画を前向きに出したということもお話ししたが、例えば今回の開設計画を見ると、我々の基盤整備率が93.2%。それに対してドコモが97%、ソフトバンクが64%、楽天はもっと低い56.1%。そういう意味において、5Gの世界まで行ってしまうと、やはり戦うべきはドコモになると思っている。局数についても我々は (3.7GHz帯で) 3万局を出した。他社はそこまで来なかったということから見ても、我々からするとかなり積極的に5Gのネットワークを整備していきたい、これを一つの競争力にしていきたい、ということ。
料金を見ていただいても、我々は料金のパイオニアでありたいと常に思っていて、分離モデルもいち早く投入、今回のデータMAXプランというのも、実は3Gの時代でも定額制は一番に導入している。5Gに繋がる料金としてデータMAXプランを出していくので、そういう意味でも5Gでしっかり戦っていく、というふうにとらえていただいて結構だと思う。
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- 自社株買い、EPS成長の部分について。まず他の売上目標などが22年3月期までなのに対し、利益のEPSは25年3月期まで、というのは何か意図があるのか。また、今期を考えると自社株買いを含めても7%までいかない計画になっていると思うが、来期以降は7%以上でキャッチアップしてくる想定なのか。自社株買いについても、前回の中期計画では余裕があれば毎期、のような感じだったが、今回はよりEPSを意識して機動的にやっていく、という考えなのか。
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まずEPS目標だけを25年3月期とした理由は、1.5倍という数字が非常にインパクトがあるかなと思ったことと、他社の事例も参考にしてEPS1.5倍というのが一つの指標として良いと思ったため。今期を計算をすると、多分7%まで届かないような数字になろうかと思う。これは今期、やはり不確実な要素が多いため、若干保守的な計画を出したつもり。従って今期足りない部分は来期以降でリカバーしていくという方針で考えている。自社株買いの考え方については、ご指摘のとおり機動的に対応していく。これまでの3期よりもアグレッシブに見えていると思うが、そのように理解していただいて結構である。
質問者7
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- コスト効率化の取り組みの背景として、マネジメントとしてKDDI全体を見たときに、例えば同業などと比べて、効率的でないものがあると認識しており、そこに従来のやり方にとらわれずにいろいろな技術を導入して、積極的に費用を下げていくという理解で良いか。
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そのとおり。効率的な運営をするためにRPAやAIの技術を取り入れる、あるいはネットワークの方向性としても、楽天が今年からやると言われている仮想化ネットワークの方向を目指す。これをはじめ、我々自身がデジタルトランスフォーメーションをしていかなければならな。そういう時期に来ているのは間違いないので、これについては社内に対する啓蒙も含めて、この1,000億円の目標に取り組んでいきたい。ただ、これはコスト削減だけではなく、当然成長領域を増やすということも加味して1,000億円という趣旨。
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- ライフデザイン事業に関して、どちらかというとKDDI、auのユーザーだけにビジネス、サービスを広げていくという説明だったように思う。それはある意味現実的ではあるが、例えば、海外のプラットフォーマーや、国内でこの分野で何かをしたいと思っている企業は、全てのユーザーをターゲットにして、アグレッシブにやってくるように思う。そういう中で、あえてau経済圏、au、KDDIユーザーをフォーカスするのか、実はビジネスによってはそうじゃないものが出てくるということなのか。可能な範囲で、どこにフォーカスするのか、もう少し踏み込んだご説明をお願いしたい。
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ライフデザイン領域については、基本的にオープン化の方向だと思っている。我々も4月に、まずauユーザーに対してau PAYを始めたが、実際にこのQRコード決済についてもオープン化を図っていく。また、例えば、スマートパスなども他の事業体に広げていく。au IDもオープン化の検討をしているので、そういう意味においてはオープン化の方向性である。
これは、足元で通信事業者が皆、その方向に動き始めているのは間違いなく、ドコモもdポイントをオープン化し、ソフトバンクはヤフーを子会社化しており、当然の方向性だと思う。ただ、現実的にやはりauユーザーが一番近いので、そこにフォーカスを当てているというのも事実ではある。
質問者8
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- EPSについて、コミットメントと言えるかどうか、微妙であったと思う。EPSをターゲットにするということは、いろんなフレキシビリティがあるからだとは思うが、例えばNTTはコミットメントだと明言しており、利益成長がなかった場合のオプションも明言し、安心してほしいというメッセージを発信している。KDDIのバランスシートを見れば、利益が仮にゼロ成長であってもEPS成長は可能だと思われるが、それでもコミットメントと言い切れないのは、何か理由があるのか。
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中期計画として出している方向性なので、我々としてはこの数字についてしっかり守っていきたいというふうに思っている。ただ、ご存じのとおり、例えば今年度だけ見ても、いろんな不確実な要素があるので、そういうところがコミットメントと言い切れないところなのかもしれないと思っている。6年間というちょっと長いスパンになるので、確度については、このような発表の機会は何度も繰り返されるので、しっかり説明できるようにしていく。
質問者9
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- EPSに関わるところで、最悪の事態があったとしてDebt/EBITDA倍率など、最低限どのあたりを守りたいと思っているのか。それから、1,000億円のコスト削減について、これは3年後に累計で1,000億円の利益が出ているようにしたい、と理解したが、その場合、多分、後半に向けて上がると思うが、1年目2年目3年目のイメージ、考え方を教えて欲しい。
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2点目についてはその通りで考えていただいて結構。ただ、内訳は今、検討している最中なので、1,000億円に向かって上がっていく、ということを目指して頑張りたいと思う。
Debt EBITDA倍率は、ここずっと0.6倍ぐらいで来ていると思うが、格付は現在のAA-というのを維持したいと思っており、そこまで考えた時にまだまだ余裕あると見ているので、そこは柔軟に資金ニーズ等も考えてやっていきたい。
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- 自社株買いで2%程度の成長、残り5%が税引き利益の成長、ということだが、これをオーガニックとインオーガニックで分けるとどんなイメージで思っておけばよいか。
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中期計画の中においては、オーガニックとインオーガニックをどうやって分けるかという議論はあるが、少なくとも成長領域として定義したのがライフデザイン領域と新ビジネス領域。その売上額は、それぞれ1.5兆円、1兆円。それぞれの利益率は、現行の利益率をある程度踏襲したいと思っているので、そこから算定していただくとだいたいお分かりいただけると思う。
質問者10
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- 5Gの設備投資を急いで、ネットワークを構築するということだったが、実際売り上げが立ち始めるのは、商用化以降、つまり来期以降だと思うが、どういったところで収益が伸びていくのか? 世界的に見ても、BtoBはなかなかビジネスモデルができあがっていない状況であると思うが、なぜこんなに急いでいるのか。見通しとあわせて教えていただきたい。
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5Gについては、周波数をいただくために開設計画の提出が必要で、その中である程度コミットしているので、それに対応していく。5Gの拡張のイメージについては、4Gと違って一斉に5Gのネットワークに変わるわけではない。つまり4Gと5Gのハイブリッドネットワーク、ノンスタンドアローンと言うが、そういう形で拡張していくようなイメージを持っている。つまり、そうすると4Gがあくまでもベースで、そこに5Gエリアでの特色を活かしていくというのが、ここ3年間ぐらいの姿だと思う。コアの5G化というのはその後になるイメージを持っている。従って、この3年間は他社の5Gが遅れるとすると、同じように4Gを持っていても、5Gでいかに差別化できるか、ということが全体の商品性には影響してくるんじゃないかな、という思いがある。
法人向けは、確かにIoT料金だけでいうとARPUは小さいので、IoTのプラットフォームもしっかりと作ることによって新たなリカーリングモデルを構築して、それを収益に繋げていくというのが今回の中期計画の方針になっている。
最初の4G+5Gで行うところは、もちろんビジネスのところでも、「大容量」のニーズがあるというふうに思っている。映像などが先に立ち上がってくると考えており、その先に、「低遅延」や「多数接続」といったものが使えるようなビジネスモデルを作っていく。
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- BtoBの領域で一番初めにビジネスモデルとして顕在化しそうなものが、もし具体例としてあったら教えて欲しい。
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映像系では、BtoCとBtoBを重ねたような形だが、例えばスタジアムなど人が集まるところでやっていくようなもの。それと同様に、例えば工場や、事務所、キャンパスみたいなところで、5Gを売っていくというのがあるかなと思う。
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- 今回、EBITDAとフリーキャッシュフローが、かなり高くなるような計画になっているが、このうち、IFRS16号適用影響がどれくらいあるのか。
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今期のフリーキャッシュフローの中には、ご指摘のようにIFRS 16号の影響、リースの会計処理の関係が入っており、EBITDAの増加が約1,000億円、これによってフリーキャッシュフローも1,000億円持ち上がるというような形になっている。
- 決算説明会
- 決算説明会2025年3月期
- 決算説明会2024年3月期
- 決算説明会2023年3月期
- 決算説明会2022年3月期
- 決算説明会2021年3月期
- 決算説明会2020年3月期
- 決算説明会2019年3月期
- 決算説明会2018年3月期
- 決算説明会2017年3月期
- 決算説明会2016年3月期
- 決算説明会2015年3月期
- 決算説明会2014年3月期
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