2019年3月期決算説明会 (決算ハイライト・質疑応答)

日時 2019年5月15日 (水) 17:30-19:00
場所 KDDIホール (東京都千代田区大手町)
登壇者 髙橋社長、内田副社長、東海林専務、村本専務、森常務、森田常務、最勝寺経営管理本部長、堀井IR室長 (司会)

決算ハイライト

決算説明会の模様

決算説明会では、「2019年3月期」の業績と「新たな成長のためのM&A」、「2020年3月期業績予想」、そして2022年3月期に向けた「新中期経営計画」の4点について、社長の髙橋より説明しました。

1. 2019年3月期の業績ハイライト

2019年3月期 (2018年4月~2019年3月) の連結売上高は5兆804億円、連結営業利益は1兆137億円となり、営業利益は18期連続で増益し、初めて1兆円を達成しました。解約率は前期比マイナス0.1ポイントの0.76%に改善、au通信ARPA収入は、2017年7月にauピタット/フラットの分離プランを導入して以来初めて、前年同期比でプラスに転じております。
また、au経済圏流通総額は前中期目標の2兆円を大きく上回り、2兆5,170億円、付加価値ARPAは3期連続で2桁成長を続けており、通期実績で700円となりました。事業環境の変化が激しい中において、引き続き、持続的な成長を続けてまいります。

2. 新たな成長のためのM&A

KDDIのM&Aの基本方針は、グループ会社が当社のアセットを最大限に活用し成長することを優先しており、その結果、現在では連結業績をグループ会社の成長が牽引しています。またこの3年間のM&Aは一貫して、[1] 国内通信、[2] ライフデザイン、[3] 新規事業領域、の3つのポイントに注力してきました。[1] 国内通信ではJ:COMとのauスマートバリューによる相互送客やコスト効率化によって、4,100億円のシナジーがありました。[2] ライフデザインの代表例はエナリスで、電力需給管理のノウハウを生かし、auでんきのサービスをバックアップ、auでんきは2019年3月末で200万件を突破しました。[3] 新規事業領域においては、SORACOMのテクノロジーで、最先端のIoTサービスを創出。今後、5G時代のネットワーク効率化への貢献も期待されます。

3. 2020年3月期業績予想

新たな中期経営計画の達成に向け、初年度となる2020年3月期は、連結売上高5兆2,000億円 (前期比2.4%増)、連結営業利益1兆200億円 (前期比0.6%増) を目指します。今期は料金値下げや他社の携帯電話事業への新規参入など事業環境の変化にしっかりと対応しながら、着実に増収、増益を目指します。
一方、5月13日には新料金プランを発表しました。当社は他社に先駆けて分離プランを導入。既にauのスマートフォンユーザーの3分の2にあたる1,400万人のお客さまにご利用いただいております。今回の新料金プランは、auピタット/フラットプランを導入する以前の料金と比較して最大4割の値下げとなり、競争力を強化しました。さらに5G時代を見据え、国内で初めてデータ容量の上限がないauデータMAXプランを導入しております。
決済においては4月9日よりau PAYを開始し、開始からわずか35日でご登録者が200万人を突破いたしました。「便利で、お得な」サービスに今後も力を入れ、決済事業を拡大いたします。
2019年3月期の配当は、株主の皆さまの3年間のご支援に感謝の意を表して、期初予想から5円増配となる通期105円、2020年3月期も110円 (配当性向41.7%) と、持続的な利益成長を伴った増配を目指します。さらに、1,500億円 (上限) とする自己株式取得を決議し、今後も持続的な利益成長と株主還元強化の両立を目指します。

4. 2022年3月期に向けた「新中期経営計画」の発表

新中期経営計画のスタートにあたり、KDDIブランドは「Tommorrow, Together」、auブランドは「おもしろいほうの未来へ。」とブランドスローガンを一新しました。お客さまや社会とともに未来へ向かって持続的に成長・発展していくという想いを表しております。また「通信とライフデザインの融合」をさらに進めるためにセグメントの変更を行いました。個人のお客さま向けの「パーソナル」、法人のお客さま向けの「ビジネス」の2つのセグメントに集約し、グローバル事業を国内事業の延長線上の位置づけに変更しております。
事業戦略の方向性は、[1] 5G時代に向けたイノベーションの創出、[2] 通信とライフデザインの融合、[3] グローバル事業のさらなる拡大、[4] ビッグデータの活用、[5] 金融事業の拡大、[6] グループとしての成長、[7] サステナビリティの7つを掲げ戦略を推進してまいります。
5Gはこの4月に周波数の割当てを受け、2019年9月からプレサービス、2020年3月末までに端末の販売を開始する計画です。様々な分野のパートナー企業さまとの提携により、5Gを通じてイノベーションを創出してまいります。また地方創生への5G活用を推進するため、30億円規模の「地方創生ファンド」を設立いたしました。ベンチャー企業さまとともに5Gを活用したデジタルトランスフォーメーションを推進します。
通信とライフデザインの融合においては、「ライフタイムバリューの最大化」に努め、安定的な総合ARPA収入の成長を目指します。成長分野であるライフデザイン領域の売上高については2022年3月期までに1.5兆円まで拡大いたします。さらに国内で培ったライフデザイン事業のノウハウを海外で生かし、グローバルにおいても国内と同等の経済圏創出を目指します。ビジネスではパートナー企業さまとリカーリングビジネス創出を進め、IoT事業を中心に新たな成長領域への取組みを強化します。2022年3月期までにIoT累計回線数を1,800万回線に拡大し、ビジネスセグメントの売上高は1兆円を目指します。
ビッグデータの活用においては、AI分析によりお客さまに最適なサービスのご提案を強化するほか、金融事業においては、スマートフォンを通じてお客さまの日常生活における決済、金融サービスをより身近な存在にしてまいります。
またサステナビリティの取組みは「社会の持続的な成長に貢献する会社」を目指し、「KDDIが目指すSDGs」を策定しました。当社が事業を通じて解決する社会課題と、企業活動を通じて解決する社会課題を明確にし、定量的な目標を設定して取組みを進めてまいります。
またコスト効率化に向けた取組みを行い、3年間で1,000億円規模の利益創出に努めてまいります。
以上の戦略や取組みによって、持続的成長を目指すと共に、より一層の株主還元強化の両立を目指します。EPSは6年後の2025年3月期までに2019年3月期比較で1.5倍の成長を目指し、配当性向は40%超へ引き上げ、機動的な自己株買いの実施と、取得した全ての自己株式の消却を実施してまいります。

質問者1

  • Q中期計画について、EPS成長1.5倍という高い目標に対して、利益の大まかなドライバーと、新料金施策の影響についてお伺いしたい。
    A
    EPS成長1.5倍について、おおよそのCAGRに戻すと約7%となる。EPSなので当然自社株買いなども影響してくるが、例えば今期の自社株買い1,500億円は、だいたいEPSを2%押し上げる計算になる。これを一つのサンプルとして考えれば、利益成長はだいたい5%ぐらいのイメージで考えているが、このあたりは環境によっていろいろ変化する。前回の中期計画が営業利益成長CAGR7%だったので、若干ステイブルになっているが、しっかりと持続的成長の数字を作っていきたい。
    新料金施策の影響は、おとといの新料金発表の際に全体で4,000億円と申し上げたが、これは1年半ほど前にピタットプラン、フラットプランを導入してからの累計で4,000億円程度のお客さま還元を考えており、前期末までにおおよそ3,000億円程度を実施済。今からの3年間であと1,000億円程度ということになり、今後は毎年、浸透率の関係で数字は少しづつ増えていくようなイメージになるので、今期の影響は軽微と思っている。そのあたりの減収影響をいろいろな工夫で吸収して、今期もなんとか増収増益、という予想を出している。コスト削減などでの利益成長1,000億円を実施し、中期的にも持続的成長の姿を示したい、というのが今回の中期計画の我々の方針である。
  • Q経営資源の配分について、今回の中期計画では5G含めた設備投資や株主還元、M&Aによる事業投資など、どういうバランスでキャッシュを配分していくのか。
    A
    事業投資については、前回の中期計画で5,000億円の計画を発表したが、M&Aを予算化するべきではないとのご指摘が多く聞かれた。今後の事業投資については、引き続き今のauを中心とした稼働の拡大、ライフデザイン事業の拡大、それから東南アジアを中心とした事業拡大・データセンターの投資等は考えているが、今回の中期計画では枠として設定せず、是々非々で対応していきたいと思っている。M&Aの件数については過去3年やってきたが、今はちょっと落ち着いている形になると思うので、この三つの領域を主軸に置きながら、投資は継続していきたいと思っている。

質問者2

質問者3

  • Qライフデザイン領域について、利益や解約率を含めたコストダウンへの寄与、楽天対策等の差別化、などの観点からライフデザインやエンゲージメントなどの説明を再度お願いしたい。
    A
    ライフデザイン領域については、売上高が前期9,460億円から1.5兆円へという説明をさせていただいた。これまでのライフデザインセグメントでやっていたライフデザイン領域と、パーソナルセグメントでやっていたライフデザイン領域と両方あったので、これを合算をしないと分かりづらいだろう考え、整理してこのような形でお出しした。今後はドコモなどとも比較しやすいと思う。利益率については、できれば今ある利益率をそのままで、売上を伸ばしていきたいと思っているので、利益率と利益額については、そのように逆算していただくとだいたい出てくるのかなと思う。
    一方、他事業者との差別化の問題だが、ドコモ、ソフトバンクに比べるとKDDIはライフデザイン領域において、ちょっと一歩先を行っているつもりがある。例えば金融領域において、じぶん銀行を持っていたり、あるいはアッパーレイヤーサービスで例えばauスマートパスプレミアムというのがあるが、非常に安定的なストックビジネスになっている。
    楽天はコマースも金融もかなり展開されているので、そこはちょっと追いついていかなければならない分野だと思う。ただ我々は、通信という大きな母体を持ちながらライフデザインへ向かい、彼らは収益源としてそんなに大きくないライフデザインから、通信の大きな投資に向かうことになるので、これを同軸の競争とは思っていない。基本的に我々の、auという通信が中心にあるということを強みにしてしっかりと戦っていく、というのがスタンスである。
  • Q設備投資額が上昇する理由と、設備強化によって、他社差別化の観点で、どういうふうに考えているか教えて欲しい。
    A
    設備投資額は、17年3月期から19年3月期の3期合計1.68兆円から、今後3期の合計で少し上振れる計画。まず3Gは22年3月に停波するため今後の設備投資は発生しない。4Gに関しても、19年3月期はかなり投資してきたが、今後は減少する方向だと思っている。5Gに関しては来期以降は投資を本格化していくが、4G投資の減少分を5Gで増やしていき、そこのバランスで多少は増えるだろう、と見込んでいる。
    ただし、ネットワーク仮想化によるコスト効率化ということで、今まで数年間、仮想化についてかなり内部で試験などを実施し、オペレーションなどを固めてきており、そのあたりでかなり削減ができてくるだろうと思っている。また、運用保守の自動化も、オペレーションコストがかなりかかっているので、今まで培ってきたもので4Gを5Gと組み合わせてうまくオペレーションできるような形を考えている。他通信事業者との設備共用との記載もあるが、他事業者も5Gになるとかなり展開が厳しくなるので、一緒にやっていくことを考えている。

質問者4

質問者5

質問者6

質問者7

質問者8

質問者9

質問者10

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