CEOメッセージ

Tomorrow, Together 5Gを核に新たなライフスタイルを提案し、共創によりレジリエントな未来社会の実現を目指します

2021年3月期を振り返ると、新型コロナウイルス感染症の流行により、これまで当たり前だと思っていた日常が一変し、あらゆる領域で急速なデジタルシフトが進んだことで、通信の果たす役割もますます重要になっています。
お客さまのニーズが変化し、「au PAY」のような非接触決済サービス利用の増加、オンラインでのイベントの利用機会の増加、働き方変革によるテレワーク需要が急速に進むなど、新たな価値提案の機会が拡大しています。従来は「フィジカル空間」での活動がメインでしたが、インターネット上などでデータのやり取りが行われる「サイバー空間」での活動の比重が高まっています。こうした変化は一時的なものではなく、ニューノーマルな時代において生活を豊かにするものだと考えています。

環境変化に強いレジリエントな社会基盤の構築に貢献するために、2030年を見据え、それぞれ「KDDI Accelerate5.0」および「KDDI Sustainable Action」を策定しました。
「KDDI Accelerate 5.0」では、KDDI総合研究所とともに、未来社会の構築を目指し、ネットワークレイヤの5G展開を軸に据え、プラットフォームレイヤ・ビジネスレイヤの進化、それを支える7つの分野のテクノロジーとオーケストレーション技術を駆使し、政府が推進する「Society 5.0」の実現を加速します。
「KDDI Sustainable Action」では、そのテクノロジーを活用しながらパートナーとともに事業を通じて、「命をつなぐ」「暮らしをつなぐ」「心をつなぐ」ことで、社会の持続的な成長に貢献します。

当社は今期が最終年度となる「中期経営計画 (2020年3月期-2022年3月期)」において、「既存事業の持続的成長」と「新たなイノベーションへの挑戦」という両軸での成長を目指します。
ここでは、2021年3月期を振り返るとともに、現中期経営計画の最終年度としての目標、さらに新たな中期経営計画策定に向けた取り組みについて説明します。

KDDI株式会社 代表取締役社長 髙橋 誠

2021年3月期の振り返り

中期経営計画2年目を終えて

現中期経営計画では持続的な利益成長と株主還元強化の両立を目指します。
成長領域であるライフデザイン領域とビジネスセグメントの売上高・営業利益は堅調に拡大しており、中期目標として掲げた目標のうち、ライフデザイン領域では「決済・金融取扱高」、ビジネスセグメントでは「IoT累計回線数」を前倒しで達成しました。
その結果、業績面では、近年の格安スマホを始めとした低価格帯の料金プランへのシフトの影響やエネルギー事業での卸売市場の価格高騰の一過性の影響はあったものの、それを上回る成長領域の伸びが増益を牽引し、連結営業利益は期初予想を超える実績となりました。

マルチブランド戦略と5Gの展開

新規通信事業者の参入や競争の促進によって、サービス・料金プランが多様化し通信業界も大きく変化しました。
当社は、そのような環境下において、安心の使い放題「au」、シンプル・お手頃価格の「UQ mobile」、トッピングで自由に選べる「povo」のマルチブランド戦略を通じて、多様なニーズや生活スタイルに寄り添った料金の提供に努めていくとともに、5Gならではの体験価値「AUGMENTED EXPERIENCE」を実感できる環境を早期に創り上げていきます。
また、2020年3月に15の都道府県で5Gサービスを開始し、12月には全国47都道府県での提供を開始しました。
さらに、2021年3月に全国主要都市をカバーしたほか、6月には多くのお客さまがご利用される山手線・大阪環状線全駅ホームで5Gのご利用が可能となるなど、生活動線を重視したエリア展開を行っています。2022年3月末の人口カバー率約90% (注) に向けてエリア拡大を加速し、より多くのお客さまに途切れることなく5Gをご利用いただけるよう取り組みます。

  • 注)
    人口カバー率は国勢調査に用いられる約500m区画において、50%以上の場所で通信可能なエリアを基に算出。700MHz帯が対象です

成長領域の取り組み

ライフデザイン領域

お客さま接点として、スマホ決済サービスの「au PAY」と、5Gを活用した新たなエンターテインメントなど次世代のワクワク体験が楽しめる「auスマートパスプレミアム」を中心に強化し、ポイント流通においてはPontaポイントの使える場所の拡大とともにポイントの魅力化も進めます。これらのお客さま接点強化とポイント流通により、金融、エネルギー、コマースを中心にau経済圏の最大化を目指します。直近では2021年6月に発表したmenu株式会社との業務提携を通じ、フードデリバリーをはじめとした飲食業界など、消費行動の入り口となるリアル接点を強化します。

ビジネスセグメント

企業のデジタルトランスフォーメーション (DX) はビジネスの在り方やお客さまとの関係性において大きな変化をもたらしつつあります。当社は、強みである通信とIoTを軸に、お客さまのDXを加速します。このDXを中心とした「NEXTコア事業」を新たに定義し、ビジネスセグメント全体の成長を目指します。お客さま自身のスマートワークを支援する [1]「コーポレートDX」、お客さまのビジネスに貢献する [2]「ビジネスDX」、データセンターやコールセンター等の [3]「事業基盤サービス」といった、今後をけん引する「NEXTコア事業」へと事業ドメインを拡大し、お客さま数の拡大、エンゲージメントの向上などを通じて、既存のモバイル・固定通信事業の「コア事業」とのシナジーを創出し、お客さまのビジネスをトータルでサポートします。
また5G時代の本格化に向けて、新規ビジネスの開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」、新たなライフスタイルを提案する研究開発拠点「KDDI research atelier」の2拠点が連携し、オープンイノベーションを加速します。

成長戦略 既存事業の安定成長と成長領域の拡大を目指す

お客さまのエンゲージメント向上に向けて

「既存事業の持続的成長」と「新たなイノベーションへの挑戦」の両軸の成長を目指すにあたり、最も重視しているのは、お客さまとのエンゲージメントの向上です。スマートフォンが主流になり、均一化されることでお客さまとの接点が少なくなってきており、「auだ」と思っていただける瞬間が少なくなってきたように感じます。これからはお客さまを知ることが大事な時代になってきます。
当社のサービスをご契約いただいたあと、au経済圏の中でどのように継続的にご利用いただいているか、お客さまデータの分析をすることで、より心地良いご提案ができるよう真剣に取り組みます。
法人のお客さまにおいても同様です。お客さまがその先のエンドユーザーさまと長くお付き合いいただけるよう、通信が溶け込むことで法人のお客さまのビジネスモデルをレジリエントなリカーリングモデルに変革していくことこそがDXであると考えます。従来のワンショットのご支援だけではなく、DXを通じて長くお客さまとつながっていけることに注力します。

非財務における取り組みについて

当社は、非財務における取り組みも推進します。
「KDDI Sustainable Action」において、災害対策・通信基盤の強靭化、地球環境の保全、多様性の尊重などさまざまな課題に取り組みます。

脱炭素に向けた取り組み

2021年4月、「気候関連財務情報開示タスクフォース (TCFD)」の提言への賛同を表明しました。今後、TCFDの提言に沿った情報開示・発信を行うとともに、再生可能エネルギーへのシフトを強力に推進していくとともに、2050年までのCO2排出量実質ゼロ実現に向け、2030年度までにCO2自社排出量を2019年度比で50%削減する目標を設定しました。CO2排出量削減に向け、携帯電話基地局や通信設備などでの省電力化や、再生可能エネルギーへのシフトを推進します。

KDDIグループ全体で脱炭素に向けた取り組みを推進

人財ファースト企業への変革

当社は人財を最も大切なリソースと捉え、その育成・強化を経営の根幹に置く「人財ファースト企業」への変革を目指し、「KDDI版ジョブ型人事制度の導入」「KDDI新働き方宣言の実現」「社内DXの推進」の3つの柱で推し進めています。
社内DXの一環として、ゼロトラスト対応のセキュアPCを全社員に配備したほか、さらなる生産性の向上に向けて、働き方データの可視化を進めています。
多様性の尊重を推進するとともに、お客さまや社内の変革を推進するDX人財の育成にも積極的に取り組みます。

お客さまやパートナーとの共創により、サステナブルな関係を構築し、ともに成長を目指します。

新たな中期経営計画策定に向けて

2022年5月に公表する新たな中期経営計画の策定に向けて準備を進めています。2021年4月より新規ビジネス創造を加速させるため、事業創造本部を新設しました。事業部門を横断したアセットを結集し活用することで、共創によるオープンイノベーションの推進、グループにおけるデータ利活用の基盤構築など、次なる利益の源泉を見出し、スケール化までこだわり、ライフデザイン領域とビジネスセグメントの次となる柱を作ります。
事業創造の一例としては、2020年12月に発表した東日本旅客鉄道株式会社さまとの場所や時間に捉われない多様な働き方やくらしを創出する新しい分散型まちづくり「空間自在プロジェクト」です。本プロジェクトに基づくまちづくりのコアシティとなる品川開発プロジェクトの共同推進、分散拠点としてのサテライトシティの開発、コアシティとその周辺におけるモビリティサービスの開発を検討し、共同事業化を目指します。

持続的成長と株主還元強化の両立を目指す

現在の中期経営計画では、持続的な利益成長をベースとして、2025年3月期のEPSを、2019年3月期対比で1.5倍とすることを目標に掲げました。2021年3月期のEPSは、前期比3.1%増の284.16円となりました。引き続き利益成長をベースに中期経営計画の達成を目指します。
通信料金の値下げや競争環境の激化、新型コロナウイルス感染症による生活様式の大きな変化などの環境変化を事業機会と捉え、成長領域のさらなる拡大、構造改革を伴うコスト削減の推進、安定的なキャッシュ・フローを強みとした成長投資と株主還元の強化など、あらゆる努力を尽くし持続的成長と株主還元強化の両立を目指します。

Tomorrow, Together
企業理念に掲げる「豊かなコミュニケーション社会の発展」を追求し、5Gを核に新たなライフスタイルを提案し、共創によりレジリエントな未来社会の実現を目指します。

今後とも、KDDIグループへの変わらぬご支援とご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

中期経営計画 (2020年3月期~2022年3月期) に向けた進捗

2019年5月に発表した中期経営計画では、持続的な利益成長をベースとして、2025年3月期のEPSを2019年3月期対比で1.5倍に拡大することを目標に掲げています。
また株主還元については、配当性向を「40%超」へ着実に引き上げるとともに、機動的な自己株式取得を実施します。これらの取り組みにより「持続的な利益成長と株主還元強化の両立」を目指します。

ライフデザイン領域・ビジネスセグメントの売上高ともに中期経営計画達成に向けて順調な進捗

環境変化を事業機会と捉え、持続的成長を目指す

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